ミニレポート

ISO感度と高感度NRを検証する

(ソニーα6000)

 ソニーの高感度はディテールがつぶれやすい印象を持っていたこともあって、α6000は高感度NRの設定をオフにして撮っている。しかし、思っていたよりノイズが多い印象だったので、ONにしたほうがいいのかなぁと思いはじめている。

 α6000の高感度NRは、「弱」と「標準」の2段階。ONにするなら「弱」しかないだろうなぁとは思うものの、どれぐらいの差があるのかは気になるところなので、感度違い&高感度NR違いでチェックしてみることにした。

 せっかくなので、手持ちの「OLYMPUS PEN E-P5」とニコン「D600」でも撮り比べてみた。2機種とも自前だからというのもあるが、E-P5とα6000は画素ピッチがほぼ同じなので(E-P5は1,605万画素で約3.8μm。α6000は2,430万画素で約3.9μm)、ピクセル等倍でのノイズの出具合も似たようなものになるはずだ。

 一方のD600は有効2,426万画素。撮像素子サイズは違うが画素数はほぼ同じで、これもまた見比べやすい。エンジンはα6000のほうが新しいので、そのあたりの違いも見てみたい。下限は少々違うものの、上限は3機種ともISO25600までだから見比べやすいこともある。

 使用レンズはα6000が「Touit 12mm F2.8」。E-P5は「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6」、D600は「SIGMA 20mm F1.8 EX DG RF」。

 オリンパスの9-18mmは2010年4月に発売されたお手ごろ価格の超広角ズーム。値段の割りにはキレのいい写りをする。ニコンの20mmは2000年12月発売と少々古めだが、純正の「AF 20mm F2.8 D」よりはずっと新しいし、絞り気味にすれば周辺部まで良好な画質になってくれる(画面中心部は絞り開放でもけっこういける)。画角が少し狭いのはご容赦いただくしかないが。

 ホワイトバランスは太陽光(E-P5とD600は「晴天」)で固定した。シャープネスなどは初期設定の状態にした。仕上がりを見比べたところ、E-P5だけ少し暗めだったので、画面の明るさを統一するために1/3段明るいカットを選んでいる。

 ◇           ◇

 ISO100で高感度NR(E-P5とD600は「高感度ノイズ低減」である)の設定の違いを見比べてみる。D600は「切」「弱め」「標準」「強め」の見分けがほとんどつかないのに対して、E-P5は「off」「弱」「標準」「強」の違いが分かりやすい。

 レベルが上がるにつれて、暗めの部分を中心にもやがかかったようになる。一方、α6000は「切」のほうが若干ディテール再現はいいように見えるが、「弱」のほうがメリハリがあって(Lightroomなどの機能でいうところの「明瞭度」が高い感じ)、解像感が高い印象を受ける。

 「標準」も似たような感じだが、解像感はやや低下する(α6000だけ「強」がない)。ISO200もほぼ同じ印象だ。

以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。クリックするとオリジナル画像を表示します。

ISO100

α6000(高感度NR:切)
E-P5(高感度ノイズ低減:off)
D600(高感度ノイズ低減:切)
α6000(高感度NR:弱)
E-P5(高感度ノイズ低減:弱)
D600(高感度ノイズ低減:弱め)
α6000(高感度NR:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:標準)
D600(高感度ノイズ低減:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:強)
D600(高感度ノイズ低減:強め)

ISO200

α6000(高感度NR:切)
E-P5(高感度ノイズ低減:off)
D600(高感度ノイズ低減:切)
α6000(高感度NR:弱)
E-P5(高感度ノイズ低減:弱)
D600(高感度ノイズ低減:弱め)
α6000(高感度NR:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:標準)
D600(高感度ノイズ低減:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:強)
D600(高感度ノイズ低減:強め)

 ISO400になると、α6000の「切」だけわずかなノイズ感が出てくるものの、ISO100の「弱」に感じたメリハリがなくなって、これなら「切」のほうがいいかな、と思える。

 D600はノイズレスで、高感度ノイズ低減の設定による画質の違いはほとんど判別できない。E-P5もノイズはほとんど気にならない。「off」がいちばんいいのは変わらない。

ISO400

α6000(高感度NR:切)
E-P5(高感度ノイズ低減:off)
D600(高感度ノイズ低減:切)
α6000(高感度NR:弱)
E-P5(高感度ノイズ低減:弱)
D600(高感度ノイズ低減:弱め)
α6000(高感度NR:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:標準)
D600(高感度ノイズ低減:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:強)
D600(高感度ノイズ低減:強め)

 ISO800では、α6000の「切」は、粒の小さなノイズが乗ってくる。解像感は「切」のほうがいいが、「弱」のほうが仕上がりとしてはいいように思う。

 D600のノイズレスなところは変わらず。設定の違いも見分けられない。E-P5はあいかわらず「off」がベスト。ノイズ感もISO400と比べなければ気にならないレベルで、新機種であるはずのα6000の旗色が悪い。

ISO800

α6000(高感度NR:切)
E-P5(高感度ノイズ低減:off)
D600(高感度ノイズ低減:切)
α6000(高感度NR:弱)
E-P5(高感度ノイズ低減:弱)
D600(高感度ノイズ低減:弱め)
α6000(高感度NR:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:標準)
D600(高感度ノイズ低減:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:強)
D600(高感度ノイズ低減:強め)

 ISO1600になると、D600も「切」ではノイズ感が出てくる。が、高感度ノイズ低減によるディテール再現の劣化はあまりなく、「標準」設定で十分使える印象だ。E-P5も「off」ではノイズが目に付くようになり、「標準」「強」はノイズ低減処理による細部の描写のつぶれが見苦しくなってくる。

 一方、α6000は、画面全体にカラーノイズが目立ってくる(特に空などの暗い部分)。が、ノイズの粒が細かいので、大きなサイズにプリントするとかでなければ気になりにくいのではないかと思う。解像感も高い。「弱」にすると、ザラツキはぐっと減るが、細かい部分の描写はもやっとしてしまう。

ISO1600

α6000(高感度NR:切)
E-P5(高感度ノイズ低減:off)
D600(高感度ノイズ低減:切)
α6000(高感度NR:弱)
E-P5(高感度ノイズ低減:弱)
D600(高感度ノイズ低減:弱め)
α6000(高感度NR:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:標準)
D600(高感度ノイズ低減:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:強)
D600(高感度ノイズ低減:強め)

 ISO3200ともなると、画素ピッチが大きなD600でも、高感度らしいノイズが見えてくる。高感度ノイズ低減のレベルをあげていくと、ノイズが減るのと引き替えに、少しずつ解像感が悪くなっていく。それでも画質の落ちる度合いは小さい。

 E-P5は「off」でものっぺりした印象になっていて、フィルターを1枚かませているかのようなアマさになる。もしかしたら、「off」でも弱いノイズ低減処理がはたらいているのかもしれない。

 α6000も「切」ではかなりノイズが増え、コントラストの低いエッジ部分が見えづらくなってくるが、解像感はD600よりもいいぐらいだ(レンズの違いとシャープネスのかけ方の違いもあるから、単純にα6000のほうが優秀とはいえないが)。

 高感度NRは「弱」はまだ見られるが、「標準」は塗っている感が強くて、個人的には許容範囲外となる。

ISO3200

α6000(高感度NR:切)
E-P5(高感度ノイズ低減:off)
D600(高感度ノイズ低減:切)
α6000(高感度NR:弱)
E-P5(高感度ノイズ低減:弱)
D600(高感度ノイズ低減:弱め)
α6000(高感度NR:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:標準)
D600(高感度ノイズ低減:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:強)
D600(高感度ノイズ低減:強め)

 ISO6400は、フルサイズ機でも非常時以外では使いたくない感度で、D600でもかなりノイズは増えてくる。が、高感度ノイズ低減を「強め」にしても、それなりにディテールが残ってくれているので、高感度でしか撮れないシーンであれば実用的な画質だと思う。

 E-P5はかなりしんどい画面だが、低感度と比べて彩度が落ちたり色味が変わったりといった見苦しさはない。α6000は「切」ではノイズが多く、悪くいえば細かい砂をまぶしたような印象で、粒々の並び方にデジタル特有のざわざわした感じが気になってくる。ディテールはわりと残っているが、D600に比べるとだいぶ落ちる。感度でいえば1段以上2段未満の差があるように思う。

ISO6400

α6000(高感度NR:切)
E-P5(高感度ノイズ低減:off)
D600(高感度ノイズ低減:切)
α6000(高感度NR:弱)
E-P5(高感度ノイズ低減:弱)
D600(高感度ノイズ低減:弱め)
α6000(高感度NR:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:標準)
D600(高感度ノイズ低減:標準)
E-P5(高感度ノイズ低減:強)
D600(高感度ノイズ低減:強め)

 ISO12800以上は、3機種とも、ここまで画質を落としてでも撮りたいものが思いつかないレベル。オマケとしか思えないので評価も控える。

 ◇           ◇

 個人的には、高感度はISO1600か、せいぜいISO3200までしか使わないし(フルサイズ機だともう1段ぐらい引っ張るが)、ノイズの少なさよりも解像感の高さのほうが大事だと考えているので、α6000の高感度NRは「切」にしておこうと思う。

 E-P5に比べてもノイズは多めだが、見比べてみると、高感度NR以外のノイズ低減処理が弱めなのではないか、だからその分、ノイズが多めに出ているのではないか、そういう印象を受けた。

 その一方、「弱」にしたときのディテール再現の落ちる度合いが大きいのが気になってしまう。ほかの2機種よりも「切」と「弱」の差が大きいのだ。「弱」より弱めの「微弱」設定があればいいのに、と思うが、ないものねだりをしても仕方がない。

 「切」と「弱」のどちら、といわれると、ディテール再現のいい「切」のほうが好みには合う。まあ、何かのひょうしに気が変わるかもしれないが、それまでは「切」でやっていこうと思う。

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら