メーカー別「撒き餌レンズ」まとめ

キヤノン:「あのレンズ」だけじゃない!パンケーキを忘れないで

年の瀬の最中、唐突に始まった「撒き餌レンズまとめ」。いささか品のないタイトルに軽い非難が巻き起こっているようですが、気にせず第2回のキヤノン編行ってみましょう。

撒き餌レンズって何?という人は、前回の「オリンパス:低価格でお買い得……なのに“PREMIUM”の実力派!をどうぞ。(編集部)

「撒き餌レンズ」の認定基準(デジカメ Watch 独自解釈)

大手量販店の店頭価格が消費税込みで4万円程度を下まわっている。
現行のカメラメーカー純正レンズで、比較的明るい単焦点レンズである。
比較的発売時期が新しい、もしくは定評のある光学系を採用している。

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キヤノンにおける撒き餌レンズの傾向と対策

原稿執筆時点において、キヤノンの交換レンズは、35mm判に対応する一眼レフ用のEF、TS-E、MP-Eレンズがそれぞれ49本、4本、1本、コンバーター類が3本。APS-Cサイズ一眼レフ専用のEF-Sレンズが13本、APS-Cサイズミラーレスカメラ用のEF-Mレンズが5本の、合計75本もの陣容を誇る。

その数の割に、撒き餌レンズと認定できるのは、EF-M 22mm F2 STM、EF-S 24mm F2.8 STM、EF 40mm F2.8 STM、EF 50mm F1.8 STMの4本しかない。

そのうち、EF-M 22mm F2 STMは、EOS M3、M2、M10のダブルレンズキットにも同梱されているもので、実際的には撒き餌レンズと言いがたい部分もあるが、小誌の認定基準に合致すること、標準ズームとのレンズキットでの購入者が興味を持つであろうことからここでも取り上げることとした。最大径が小さい分、そうは見えづらいものの、鏡胴の長さから考えれば薄型の、いわゆるパンケーキレンズに属する。

EF-S 24mm F2.8 STM、EF 40mm F2.8 STMの2本も広角系のパンケーキレンズで、設計は新しい。この2本は発売時期も比較的近いこともあって、外観もよく似ている。残るEF 50mm F1.8 STMは2015年6月の発売で、光学系自体は先々代のEF 50mm F1.8(1987年3月発売)と同じ、つまり30年近く前に設計されたものである。とは言え、もともと完成度の高い伝統的な光学系で、先代のEF 50mm F1.8 IIも撒き餌レンズとして定評があり、さらに新コーティングも採用されている。

いずれも、35mm判換算で35mmから50mmという、非常に狭い範囲にのみ分布しており(APS-Cサイズ一眼レフに50mmレンズを装着した場合は80mm相当の中望遠レンズとなるが)、一般的に撒き餌レンズメーカーの代表格と目されるキヤノンが、実はあまり撒き餌レンズに注意を払っていないことがうかがえる。もっとも、撒き餌など使わなくとも獲物にはことかかないという自信のあらわれかもしれないが。

※価格はすべて税込みです。

EF-M 22mm F2 STM

実勢価格:2万3,500円前後

35mm判換算35.2mm相当の画角を持ち、開放F値はこの種のレンズでは明るめのF2。室内や夜間などの光量が乏しい条件での優位性を確保している。

わずか105gと軽量だが、外観素材およびマウント座金は金属製で、安っぽさを感じにくいのは優れた点である。

光学系は、前群よりも後群を大型化してバックフォーカス(レンズ後端から撮像面までの長さ)の短縮化をはかった設計で、第1レンズに両凹面レンズを採用しているのが特徴的だ。

EF-M 22mm F2 STM

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EF 40mm F2.8 STM

実勢価格:1万8,000円前後

40mmというややなじみの薄い焦点距離を持つ薄型レンズで、マウント面から前縁までの長さは22.8mmに抑えられている。重さは後述のEF-S 24mm F2.8 STMに次いで軽量な130gである。

現代的な描写性能を確保すべく、4群6枚構成の変形ガウスタイプの光学系を採用している。

また、マウント座金にも金属を採用するなど、価格以上の品位もある。

AF駆動源にはSTMを搭載しており、静粛かつ高速なピント合わせと、フルタイムマニュアルフォーカス機能を備えている。

EF 40mm F2.8 STM

交換レンズ実写ギャラリー:キヤノンEF 40mm F2.8 STM

キヤノン、パンケーキスタイルのEFレンズ「EF 40mm F2.8 STM」

EF-S 24mm F2.8 STM

実勢価格:1万7,800円前後

ライカ判換算で38mm相当の画角となる準標準レンズで、スナップや人物、風景撮影などに使いやすい画角としている。

外形寸法はEF 40mm F2.8 STMと同じだが、質量は5gだけ軽い。マウント座金は金属製である。

ほかの2本と同様、最終レンズに非球面レンズを採用しているが、これは画面周辺部の画質向上を狙ってのものと思われる。

最大撮影倍率が0.27倍と高いのも特徴で、標準ズームレンズよりも一歩踏み込んだ近接撮影が楽しめるのも魅力となっている。

EF-S 24mm F2.8 STM

キヤノン、パンケーキスタイルの「EF-S 24mm F2.8 STM」

EF 50mm F1.8 STM

実勢価格:1万6,500円

伝統的かつ完成度の高い5群6枚構成の光学系を持つ標準レンズで、明るさと画質、小型軽量化と同時に低価格化も実現している。

同じ焦点距離のEF 50mm F1.0 L USMのわずか30.5分の1という低価格で撒き餌レンズの代名詞ともなっていた先代のEF 50mm F1.8 IIに比べれば、重さも増し、価格も大幅に上昇したものの、新コーティングや円形絞りに加えてSTM、金属製マウント座金の採用、最短撮影距離の短縮化なども含めれば十分にお買い得であり、また、外観の品位も大幅に向上している。

EF 50mm F1.8 STM

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北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら