気になるデジカメ長期リアルタイムレポート
ソニーサイバーショットDSC-RX1【第3回】
高感度撮影に強い“夜も楽しいカメラ”
(2013/1/22 00:00)
相変わらず「サイバーショットDSC-RX1」とは仲良くやっている。操作にもすっかり慣れ、機能も9割方は把握しただろうか。向こうはどう思っているか分からないが、次第に“深い仲”になってきたように勝手に思いこんでいる。前回記したようにカメラとしてはたいへん扱いやすく、その描写とともに無理して買ってよかったと改めて満足している。
年明けすぐに気が付いたのだが、常用しているオートホワイトバランスの微調整機能がいつの間にかアンバー側にセットされた状態となっていた。おかげでそれまで撮影した画像はわずかに赤みを帯びている。このような結果になってしまったのは、筆者自身が細かいところに気を配っていなかったからであるが、言い訳がましくいえば、いつこの機能をいじったのかまったく記憶にない。元々ホワイトバランスの微調整をカメラ側でやろうと思ったことなど、他のカメラの場合も含めて一度もなく、実に不思議に感じている。
実はつい先日も、再びオートホワイトバランスの微調整機能がアンバー側にセットされていることが発覚。それまでコントロールホイールの右と左のボタンにホワイトバランスの機能を割り当てていたが、それが微調整機能を誤って触る要因になっているのかもしれないと思い、とりあえず現在は右ボタンのみホワイトバランスの機能として様子をみている。しかし、JPEGオンリーで撮っているときに限ってこのようなことになり、少々ショック。
DSC-RX1のバッテリーは、DSC-RX100と同じ「NP-BX1」(3.6V、1,240mAh)を使用する。キヤノンEOS M用のバッテリー(7.2V、875mAh)と比較した写真を掲載したが、その小ささが分かるかと思う。カタログ値では、LCD高画質表示の場合で220枚の撮影を可能と謳っているが、これまで1,200カットほどの撮影を行ない、バッテリーは6回交換しているので、ほぼスペック通りの結果といってよいだろう。
ただし、正直にいえば、やはりスタミナ不足。NEX-5Rなどの採用する「NP-FW50(7.2V、1,080mAh)」あたりであったらと思わずにはいられない。特にスナップ撮影のときのようにライブビュー画像を表示した状態にしておくことが多いときや、ストロボ撮影を頻繁に行なうようなときなど心もとない。現在、バッテリーは3コ所有するが、終日撮影するようなときのことを考えるとこれでは足りないような気がする。少なくともあと2コほど用意したいと考えているが、悩ましいのは1コ5,000円近くもすること。ボチボチと買い足していくしかないと考えている。
バッテリーと言えば、バッテリーチャージャー「BC-TRX」を手に入れた。充電の度に、カメラにUSBケーブルを抜き差しするのが気に入らなかったからだ。BC-TRXは、NP-BX1(Xタイプ)のほか、D、G、K、N、R、Tの各タイプのバッテリーにも使用でき、しかもUSBによる給電も可能としている。スペックを見ると実に使い回しのよさそうなバッテリーチャージャーである。
ところが、いざ使うとなると、これがたいへん使い勝手が悪い。バッテリーをセットする場所が分かりにくいうえに、NP-BX1の場合、正しい位置から左右に寄った位置でもチャージャーにキレイに収まってしまうのである。大丈夫と思ってコンセントに差し込むとチャージランプが点灯せず、何度かバッテリーの位置を少しずつ変えてはじめて充電を開始することも度々だ。さらに、チャージャー自体がバッテリーに対して大き過ぎるもの難点。渋々使っているが、二兎を追う者は一兎をも得ず、とはまさにこのことのように思える。
今回は高感度時のノイズレベルをチェックしてみたいと思う。DSC-RX1の高感度ノイズリダクションは、デフォルトの「標準」のほか「弱」と「切」から効果を選ぶことができるが、それぞれの違いも併せて見てみたい。なお、DSC-RX1の感度は、ISO100からISO25600まで。拡張域としてISO50までの低感度側の設定も可能としているが、今回はベース感度のISO100とISO1600以上の画像を掲載した。
また、「マルチショットノイズリダクション」の効果もチェックしている。この機能は、自動的に複数枚の連写撮影を行ない、それらを合成することでノイズを軽減するもの。最高感度も通常の撮影から2段分アップしISO102400相当となる。こちらも高感度ノイズリダクションの設定別にISO1600以上の比較作例を掲載している。
通常の撮影の場合では、ISO3200あたりから暗部ノイズが少しずつ目立つようになる。もちろんノイズレベルが低いのは、高感度ノイズリダクションを「標準」に設定したものだ。この時点では解像感の大きな低下は見受けられない。ISO6400になると「切」のノイズが顕著になりはじめ、「標準」および「弱」としたものは解像感の低下が見受けられるようになる。ISO12800になると高感度ノイズリダクションを「弱」としたものもノイズが目立ちはじめるようになり、「標準」では色のにじみが見受けられるようになる。
ただし、いずれの場合も相対的にノイズレベルは低く、さすがフルサイズとうなずけるものだ。特にISO6400あたりまでなら、パソコンでの低い拡大率の画像の閲覧や、2Lサイズ程度のプリントならノイズリダクションが「切」でも、気にならないレベルといってよい。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 感度作例のサムネイルは、撮影画像の一部を切り出したものです。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
※共通設定:DSC-RX1 / 6,000×4,000 / F5.6 / 0EV / WB:オート
一方、マルチショットノイズリダクションのほうのノイズレベルといえば、通常撮影のものと比べると1段ほど低い。つまりマルチショットノイズリダクションのISO3200のノイズレベルは通常撮影のISO1600と、ISO6400は通常撮影のISO3200とほぼ同じように思える。DSC-RX1はただでさえ高感度の特性の優れたカメラであるが、この機能を使うと向かうところ敵なしだろう。高感度ノイズリダクションの効きについては「標準」「弱」とも順当の効果が得られる。なお、解像感は「切」にしたときが明らかにほかを選択したときよりも高く感じられる。高感度で少しでも品質の高い描写を得たければこの機能を使わない手はない。
※共通設定:DSC-RX1 / 6,000×4,000 / F5.6 / 0EV / WB:オート
高感度以外の作例もいくつか掲載しよう。いずれも夜の街を撮影している(高感度ノイズリダクションは「標準」を選択)。高感度でも低ノイズ、しかも大口径の単焦点レンズを搭載するため、このような条件の撮影でも手持ちで躊躇うことなくシャッターを切ることができる。DSC-RX1は夜も楽しいカメラなのである。