今回はフォーサーズマウントアダプター経由でフォーサーズマウントのZUIKO DIGITALレンズも使用。E-P1の購入者特典であるフォーサーズマウントアダプターは発送が遅れているようだが、筆者の場合はすぐに手元に届いた |
E-P1を使っていると、ほとんどコンパクトデジタルカメラを扱っている気分になる。レンズ交換式デジタルカメラにしては小型とはいえ、大きさ、重さはコンパクトデジカメとは比較にならないが、背面液晶モニターを見ながら撮影し、しかもレンズ交換をあまりしないと、気分的にはコンパクトデジカメと変わらない。人に渡しても説明なしで使ってもらえるので、記念撮影で撮影を頼む場合にも便利だ。
カメラに慣れていない人でもE-P1が簡単に使える理由の一つが、背面液晶モニターで見て撮影するスタイルのためだ。液晶モニターを見ながらシャッターボタンを押すと、コンパクトデジカメのようにAFが動作し、そして撮影できるので、電源を入れて渡せば、あとは特に説明しなくても撮影してもらえる。
ただ、光学ファインダーのないマイクロフォーサーズ機は、構造的にAFがコンパクトデジカメと同じコントラストAFになるため、一眼レフカメラで一般的な位相差AFと比べると、現状ではどうしてもAF速度が遅くなる。それでも、マイクロフォーサーズはコントラストAFの高速化を前提とした規格といえることから、従来のデジタル一眼レフカメラのライブビューで使われているコントラストAFよりは、快適に撮影できるのが特徴だ。
例えば、コントラストAFは以前から使っているフォーサーズ機のE-420でも可能だったが、やはりE-420では基本的に、光学ファインダーを使い、コントラストAF(オリンパスではハイスピードイメージャAFと呼称)での撮影はあくまで補助的なものだった。フォーサーズのコントラストAFは対応レンズを限定するとことでかなりの高速化が実現されているが、位相差AFと比べてしまうと、同じ感覚で使えるというわけにはいかず、常用するというほどではなかった。
今回はマイクロフォーサーズとフォーサーズのコントラストAFはどの程度違うのかを検証してみた。
方法は、ストップウォッチを撮影することで行なっている。ストップウォッチをスタートさせて半押しでAFを行い、ピントが合った時の電子音を聞いてからそのまま全押しする、という簡易テストで、撮影されたストップウォッチの時間が、シャッターボタン半押しから撮影されるまでの全体の時間となる。誤差を考え、1回ごとに手動でフォーカスを大きく外しながら全部で10回試行し、その平均値を求めた。
手作業でストップウォッチ開始→半押し→全押しまで行っており、かなりおおざっぱなテストだ。特に時間は撮影状況によっても大きく異なるので参考値として欲しい。
結果は次のようになった(表中ではE-420のハイスピードイメージャAFをコントラストAFと表記している)。
ボディ名 | レンズ名 | AF方式 | 結果(秒) |
---|---|---|---|
E-P1 | M.ZUIKO DIGITAL ED-14-42mm F3.5-5.6 | コントラストAF | 1.405 |
E-420 | ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 | 位相差AF | 1.176 |
コントラストAF | 2.879 |
結果を見てみるとE-P1がかなり健闘しているのが分かる。E-420の位相差AFと同じ1秒台で、E-420のハイスピードイメージャAFと比べると半分程度の時間となり、十分実用的だ。実際に使っていても、静物を撮ったり、記念撮影をする分にはまったく困らないレベル。
位相差AFとは異なり、コントラストAFは被写体のコントラスト差を探してピントを合わせるのだが、そのためにレンズを前後に動かして走査する必要があり、ピントのずれ自体を検出する位相差AFよりどうしても遅くなる。
E-P1はそのスピードが速くなっている。E-420のころのライブビュー+ハイスピードイメージャAFに比べればほとんどストレスは感じない。念のため、フォーサーズマウントアダプター経由でE-P1に「ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」を装着して計測したところ、M.ZUIKO DIGITAL ED-14-42mm F3.5-5.6を使用した際と大きな差はなかった。
AFの動作。レンズが前後してコントラスト差を検出しようとしている
静物に対するAFでは満足いく結果だったが、動体はどうだろうかと試してみると、これはさすがに厳しい感じもある。被写体の動きに合わせて撮ろうとしても、コントラスト差を走査する間に被写体が移動してしまい、うまくピントが合わない例が多かった。特に素早くて小さい被写体はかなり難しい。ペットや子どもなど、あまり頻繁に動かれると、撮影は難しくなる。
このあたりは、位相差AFであればほとんど問題にならないが、コントラストAFの弱点といってもいいだろう。同じコントラストAFのコンパクトデジカメと比べてもE-P1は撮影が難しい印象だ。これは、コンパクトデジカメの場合は被写界深度が深くてピント合わせがそれほどシビアではないのに対し、E-P1はキッチリとピント合わせをしようとするためにどうしても難しくなるのだろうと思う。
ピント合わせに関しては次回も書いてみたい。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。
■動く被写体
遠方で小さく映る鳥などの動く被写体だと、かなりピント合わせは難しい。ただし相手が動かない状態なら、十分満足いくスピード。それでも、めまぐるしく表情を変える猫や犬、子どもはそれなりにテクニックがいる。
E-P1 / ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 約6.5MB / 4,032×3,024 / 1/640秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 150mm |
■自由作例
2009/8/21 15:10