気になるデジカメ長期リアルタイムレポート

ニコンD7100【第9回】

D800との快適な連係プレイ

 同じレンズマウントで、APS-Cサイズのカメラだけでなく、35mm判フルサイズのカメラも使用している人は多いだろう。ボク自身も「D7100」を使いながら「D800」も使っている。そう、どちらかと言えばD800の方がメインカメラになる。別に「フルサイズだからメイン、APS-Cサイズだからサブ」と決めつけるわけではないが、自分は主に風景や草花などを撮影するので、連写性能や携帯性よりも描写性能を重視することが多い。そのため、フルサイズ機のD800をメインとして捉えているのである。

手前は「D7100+AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR」。その奥は「D800+AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VR」。

 とはいえ、動物や乗り物(走る自動車や電車など)を撮ることも少なくないので、そういう場合には連写能力に優れるD7100の出番となる(D800は約4コマ/秒、D7100は約6コマ/秒。どちらも撮像範囲が最大の場合)。まあ、このD7100には、以前のレポートで指摘した“RAW+FINE設定時のデータ書き込み待ち”の問題はあるけどねぇ……。

 D7100とD800を一緒に使う場合もある。その動機の多くは“レンズの違いによる画角変化を得る”という、ポピュラーな理由から。ちなみに、ニコンのFX(フルサイズ)機には「撮像範囲」設定の機能がある。だから、FXフォーマット(35mm判フルサイズ)からDXフォーマット(APS-Cサイズ)などに切り換えることで、同じレンズ(焦点距離)でも、より望遠の画角を得ることができる。

 たとえば、D800のレンズキットにも指定されている高倍率ズーム「AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR」との組み合わせなら、広角28mmから超望遠450mmの画角までカバーできるのである。だが、状況が変化する撮影現場だと「撮像範囲」を頻繁に変えるのはけっこう面倒。ファインダー内に表示されるDXフォーマット範囲の枠も、倍率から言っても“快適な見え具合”とは言えないだろう。また、望遠側の画角は満足度が高いが、広角側の画角(広さ)には不満が残る。

 そこで自分は、まずD7100ボディに「AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR」を装着して標準域から超望遠域までカバーする。そして、D800ボディに広角ズームの「AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VR」を装着して広角や超広角の撮影を行なうのである。この2台体制は、祭りや運動会などのイベント撮影などに向いていると思う。

広角域をカバーするD800+AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VRの組み合わせ。この16-35mm、超広角域までカバーできるメリットと同時に、VR機構により手持ち撮影時の領域(ブレずに撮れるシャッター速度域)が拡大できるのも大きなメリットだ。
標準域から超望遠域まで幅広くカバーできるD7100+AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VRの組み合わせ。そのカバーできる超望遠域は、通常でも450mm相当。そして、D7100が誇る「対DX1.3×クロップ」機能を使用すれば約600mm相当(正確には585mm)までカバーできる。

 さて、このメイン機とサブ機、使い分けたり両方を一緒に使ったりと、状況によって変わってくるだろうが、機種を選択する際にこだわりたいポイントがいくつかある。そのひとつに“基本的な操作性”がある。これがてんでバラバラだと、一緒に使う場合はもちろん、使い分ける場合にも少なからず混乱を招く。

 D7100とD800の操作性を見比べると、撮影モードの選択方式が違う。D7100は基本露出モード(P、S、A、M)以外にシーン系の撮影モードも搭載しており、その関係で“ダイヤル選択方式”を採用している。

 一方、D800はフラッグシップ機「D4」などと同様、基本露出モードしか搭載しておらず(だから、呼称も「撮影モード」ではなく「露出モード」である)、その選択は“MODEボタン+メインコマンドダイヤル”の操作で行なう。ただし、撮影モードの選択は「取っ掛りの機能」と言える部分ではあるが、操作のタイミングや頻度からみて、あまり混乱が生じる部分ではない(と思う)。

 露出補正、メニュー&インフォ画面の構造(内容は一部違う)、AFモード&AFエリアモード、AFエリア数、ドライブモード、ライブビュー切り換え……といった主要機能に関しては、かなり共通している部分が多いので、2台を一緒に使用する際でも、けっこうスムーズに操作することができる。

 WB(ホワイトバランス)、BKT(ブラケット)、ISOのボタン位置は大きく異なるが、自分の場合はWBやISOは「マイメニュー」に登録してそこから設定することが多いので、これらに関しても混乱することは少ない。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
16mmで撮影:D800+16-35mm使用。1/50秒 / F11 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴天
585mm相当で撮影:D7100+28-300mm使用。1/250秒 / F16 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:晴天
D800+AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VRで、滝の周辺を広く写し込みつつ(左)、D7100(対DX1.3×クロップ使用)+AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VRに持ち替えて滝の最上部をドアップで狙う(右)。そのズーム倍率は約37.5倍にもなる(まあ、撮像範囲設定によっては、標準域に画角の空白ができるけど)。

 年が明けて間もない1月3日、ボクはこのD800+AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VRとD7100+AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VRの2セットを持って、日帰りで撮影旅行に出かけた(実家のある広島県の山間部から岡山県にかけて)。

 当然、携帯性を考えると、ボディは1台の方がいい。広角重視ならD800を選び、望遠重視ならD7100を選ぶ……という具合に。

 だけど、この撮影旅行の移動手段は自家用車だったので、携帯性はあまり考えなくてもいいケース。ということで、より広い画角をカバーする目的と同時に、レンズ交換や記録メディアの入れ替えの手間を省く意味でも、D800とD7100の2台体制で臨んだ。撮影総カット数は同じでも、ボディが複数なら“片方の記録メディアがフルになる”タイミングは遅らせられるからね。

 ボクの場合、一般的な撮影(前述の風景や草花など)だと、レンズは望遠よりも広角の方を多用する。そのため、D800には32GBのCFとSDHCメモリーカードを挿入し(合計64GB)、D7100には16GBのSDHCメモリーカードを2枚挿入した(合計32GB)。そう、D800とD7100はどちらもダブルスロットなので、極端に大容量な記録メディアでなくても、かなりの枚数を撮影できる。そして、使用バッテリーが同じ「EN-EL15」という点も、コンビを組む上での好条件となる。

31mmで撮影:D800+16-35mm使用。1/125秒 / F11 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴天
585mm相当で撮影:D7100+28-300mm使用。1/640秒 / F8 / -0.3EV / ISO160 / 絞り優先AE / WB:晴天
枯れたツタの痕跡がシブい木造の家の窓枠で、真っ白なネコが日向ぼっこをしていた。まず、その家と周囲の様子をD800+AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VRで広く写し込む(左)。そして、対DX1.3×クロップ設定のD7100+AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VRに持ち替えて、ネコに警戒されない距離から狙ってみた(右)。

 D7100の方を「DXフォーマットで使うか? 対DX1.3×クロップを使用するか?」は、被写体や撮影状況によって変わってくるが、「D800+AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VR」のような広角セットと2台体制で臨むのは、思った以上に効率的で快適だった。

 また、D7100とD800のどちらか一方を使う際にも、撮像素子のフォーマットの違いに注目しつつ、それぞれに搭載された「撮像範囲」設定の機能も駆使したい。同じレンズで望遠効果を高めたり、DX専用レンズをFX機で使用したり……といった撮影が堪能できるからだ。このように撮影バリエーションが拡大できるのも、ニコンDシリーズの魅力の1つなのだから。

D7100 / AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR / 1/160秒 / F11 / -0.3EV / ISO280 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 105mm
D7100 / AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR / 1/500秒 / F7 / -0.3EV / ISO220 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 300mm
D7100 / AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR / 1/200秒 / F11 / 0EV / ISO140 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 125mm
D7100 / AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR 1/125秒 / F11 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 32mm
D7100 / AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO220 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 42mm
D7100 / AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR 1/100秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 98mm

吉森信哉

(よしもりしんや)1962年広島県庄原市出身。東京写真専門学校を卒業後、フリー。1990年からカメラ誌を中心に撮影&執筆を開始。得意ジャンルは花や旅。1970年代はカラーネガ、1980年代はモノクロ、1990年代はリバーサル、そして2000年代はデジタル。…と、ほぼ10年周期で記録媒体が変化。でも、これから先はデジタル一直線!? 自他とも認める“無類のコンデジ好き”