気になるデジカメ長期リアルタイムレポート

キヤノンEOS 70D【第2回】

実戦投入! 魚眼から望遠までのレンズ4本を試す

SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSMを装着したEOS 70D。

 EOS 70Dを購入してちょうど1カ月が経った。前回のレポートでは、購入したままの状態で外へと連れ出し街を歩きながらのスナップ撮影を行なった。カメラ操作の反応は非常に速く、またファインダーを覗いての撮影およびライブビューでの撮影のどちらでもAFは非常に速い。また非常に解像感も優れている。それによりEOS 70Dに好印象を持つことができた。最近では持ち歩く頻度も高くなっている。

 私は気に入ったカメラはとことん使い倒す主義なので、試運転もそこそこにすでに本格的な撮影にもどんどん投入している。日常のスナップ撮影はもちろんのこと、スタジオでの大型ストロボ撮影でもバンバン使用している。ただシンクロターミナルが搭載されていないので、アクセサリーシューを利用したワイヤレスのシンクロターミナルを使用しなければならないのがちょっと残念なところだ。

 その代わりといってはなんだが、Wi-Fi機能を活かしたPCとのワイヤレス転送は非常に便利だ。スタジオ撮影においては、撮影した画像が次々とワイヤレスでPC画面に表示されるので、クライアントなどスタッフがほぼリアルタイムに画像チェックすることができる。この辺りはまた機会を改めて詳しく取り上げたいと思っている。

 ◇     ◇     ◇

 先日訪れた北海道では風景に夜景、スナップなどさまざまなシチュエーションでの撮影をEOS 70Dで行なった。今回の撮影で使用したレンズはキヤノンの「EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM」、「EF 8-15mm F4 L Fisheye USM」、「EF 70-200mm F4 L IS USM」、および「SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM」の4本。魚眼レンズから320mm相当の望遠までの画角で幅広く撮影した。EOS 70DはAPS-Cサイズのセンサーを搭載したカメラなので、いずれのレンズも実際の画角はおよそ1.6倍の焦点距離相当となる。

EF 8-15mm F4 L Fisheye USM
EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM
EF 70-200mm F4 L IS USM

 ところで今回使用したレンズのなかでも異色なレンズといえるのが、EF 8-15mm F4 L Fisheye USMだ。このレンズは35mmフルサイズのカメラで使用すれば8mmワイド端で円形の像をなす全周魚眼となり、APS-CまたはAPS-Hサイズのカメラでは対角線魚眼になるというものだ。

 しかも魚眼レンズとしては珍しいズームレンズである。なお、EOS 70Dでは焦点距離を10mmに合わせると対角線魚眼となって、四隅がケラレることなく最も広い範囲を写せる。ただ特徴的な描写をする対角魚眼なだけに、被写体選びはなかなか難しいのも事実。広い天空を納める星空撮影などにはうってつけなのだが、残念ながら今回のロケでは天候に恵まれなかった。このレンズについては改めてトライしてみたいと思う。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
大自然の森の中に設けられたリゾート。その高層ホテルの屋上より眼下の森をEF 8-15mm F4 L Fisheye USMで撮影。対角魚眼の強烈な広がりが、高所から覗き見た際の幻惑感をそのまま表現する。EF 8-15mm F4 L Fisheye USM / 1/320秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 10mm
絶景の高層ホテルの屋上。右の写真はここで撮影。一般には立ち入り禁止の場所なので特別な許可をいただき撮影した。手すりもなにもないのでとにかくスリル満点でした。EF 8-15mm F4 L Fisheye USM / 1/250秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 10mm
キヤノンのAPS-C機専用レンズEF-Sシリーズのなかでは最も広角レンズとなるEF-S 10-22mm F3.5-4.5 USMのワイド端10mmにて撮影。35mm判換算で16mm相当となりワイド感はかなりのもの。EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM / 1/80秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 10mm
高原牧場のシンボル的な存在となっている真っ赤なトラクター。この高原を訪れるといつも笑顔で迎えてくれる。そんな可愛らしい奴。EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM / 1/320秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 10mm
港町の夜景を小高い丘の上の展望台から撮影。街の灯りと港湾施設のオレンジ色の灯りが港町特有の夜の姿となる。レンズはSIGMA 18-35mm F1.8 DC HSMを使用。とかく開放F1.8の明るさが話題となりがちだが、少し絞り込んだ際の画質の高さは驚く程だ。EOS 70Dとの相性も良い。SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM / 15秒 / F4 / 0EV / ISO100 / マニュアル / WB:太陽光 / 18mm
北海道小樽の歴史的建造物である倉庫群と運河。水面の揺らぎによるボートのブレを避けるためにISO1600まで感度を上げてシャッタースピード0.6秒で撮影した。高感度撮影だが驚く程にノイズも少なく、またノイズリダクションによる被写体のデティール崩れも見られない。オートホワイトバランスによる色味も好ましい。SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM / 1/1.7秒 / F5 / 0EV / ISO1600 / マニュアル / WB:オート / 18mm
ISO1600とSIGMA 18-35mm F1.8 DCの明るいレンズの組み合せによるナイトスナップ。ここではあえて手持ちライブビューで撮影した。不安定になりがちなライブビュー手持ち撮影だが、EOS 70Dの素早いライブビューAFによって、ムダな待ち時間もなく手ブレを起こさずに撮影することができた。これって実は結構スゴいことかも。SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM / 1/50秒 / F2.2 / 0EV / ISO1600 / マニュアル / WB:オート / 35mm
北海道余市にて80年近く前から稼働しているウイスキー蒸留所。その城壁のようなどっしりとした門構えを仰ぎ見る。キヤノン初の2,000万画素オーバーとなったAPS-C機、EOS 70Dは壁面の細かなテクスチャーもしっかりと解像してくれる。SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM / 1/640秒 / F4.5 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 20mm
山間にある静かな湖。盛夏を過ぎた北海道は徐々に気温が下がり、もう暫くすると一気に冬の顔に切り替わる。この湖も冬期は全面結氷して、その厳しくも美しい表情で人々を魅了する。SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM / 1/320秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 20mm
水辺から湖上へと身を乗り出す樹木。強い生命力を感じる。EOS 70Dとシグマ 18-35mm F1.8 DCの組み合せは、木の幹や枝葉の細かな部分までも描写する。SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM / 1/50秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 24mm
瑞々しい野菜で彩られたサラダ。ISO1600まで感度を上げて撮影。SIGMA 18-35mm F1.8 DCには手ブレ補正機構は付いていないので注意しながら静かにシャッターを切る。シャッターモードも静音撮影モードで。SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM / 1/50秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO1600 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
リゾート内の自然の森を活かしたゴルフコース。ここに立って森を眺めているだけでも癒される。ここで注目なのがSIGMA 18-35mm F1.8 DCが持つ解像力の高さ。周辺部までキレキレ。EOS 70Dのポテンシャルをさらに引き出してくれそうだ。SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM / 1/640秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 20mm
EF 70-200mm F4 L IS USMとの組み合せで撮影。EOS 70Dでは35mm判換算で112-320mm相当となる。重厚感のある石組みの倉庫の屋根部分をクローズアップ。石壁の質感もよく描写されている。レンズはスリムな鏡筒なので、軽量ボディのEOS 70Dとの組み合せもバランス良く、望遠レンズながらも持ち歩きは軽快だ。EF 70-200mm F4 L IS USM / 1/1,000秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 138mm
広大な敷地面積を誇る高原の牧場。山の向こう側までも牧草地といのこと。この日は全体にガスが出ていて遠方が霞んでみえるが、望遠レンズで切り取ることで得られるボケとの混じり合いにより湿度を感じる写真となった。EF 70-200mm F4 L IS USM / 1/320秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 70mm
遠く離れた斜面にて牧草を食む牛たち。日によって食事場所が変わるので、このときは遠くに望むのみ。遠景の地もこの牧場内。その広さに改めて驚く。EF 70-200mm F4 L IS USM / 1/160秒 / F5.6 / +1.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 127mm
せっかくの望遠レンズなので牛の表情でも撮りたかったのだが、この日は全く近くに牛はおらず。しかし、画像を等倍表示すると遠方の牛たちの様子がよくわかる。図らずもEOS 70Dの解像力の高さを実感。EF 70-200mm F4 L IS USM / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 183mm
早朝の南富良野。夜のうちに山と山の間に溜まっていた雲海が、日の出とともに温まる空気の流れで静かに流れ出すさまを望遠レンズで淡々と捉える。雲海の白さを出すために+2/3段の露出補正。ただし明るくしすぎては朝のトーンが消えてしまうので注意。EF 70-200mm F4 L IS USM / 1/500秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 85mm
屋上からリゾートのシンボルでもあるツインのタワーホテルを撮影。独特なパターンが印象的。これは自然の光景に馴染むようにとのデザインだとのこと。レンズの描写を確認するには良いチャートだ(笑)。EF 70-200mm F4 L IS USM / 1/160秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 89mm

 今回は魚眼から広角、標準域、そして望遠と幅広く被写体を捉えた作例をご覧いただいた。とかく35mmフルサイズのデジタル一眼レフカメラと比較されてしまうAPS-C機だが、必要に応じて最適なレンズを選択すれば、十分にさまざまな被写体に対応することが可能だ。

 それに、望遠側が約1.6倍稼げるという点もシーン次第ではありがたい特性として活かせる。約2,020万画素という高解像度を手に入れたEOS 70Dは、画質におけるポテンシャルが非常に高い。自分にとって最適なレンズを探すことができれば必ず強力な武器とすることができるだろう。

(撮影協力:星野リゾート トマムニッカウヰスキー余市蒸留所

礒村浩一

(いそむらこういち)1967年福岡県生まれ。東京写真専門学校卒。広告プロダクションを経たのちに独立。人物から商品、建築、舞台など幅広く撮影。近年は自然と人の営みをテーマに作品展/セミナー/ワークショップを各地にて開催。Webサイトはisopy.jp Twitter ID:k_isopy