私はこれを買いました!

11カ月使って分かった、数値では測れない光学性能

Voigtlander COLOR-SKOPAR 50mm F2.2 VM(豊田慶記)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2025年に購入したアイテムを1つだけ紹介していただきました。(編集部)

極上のEVFでレンズの味を噛み締める

昨年はLUMIX S1を今さら新品購入するというお知らせをしました。

S1に関わる物語はまだ続いています。

撮影には色々な楽しみがあり、成果物を愛でるだけではなく、自身の手でピントを合わせる喜びもまた奥深いものがあります。S1のような極上のEVFを持つカメラではピント移動に伴う僅かな収差変化、いわゆる ”レンズの味” と表現していますが、これをどのように表現に活かしてみようか? と考えながらファインダーに集中する時間が自分にとっては大切です。

ということで、極上のEVFでMFが楽しめる。これをもっと噛み締めたいと考え、はじめに思い浮かんだレンズ「Voigtlander COLOR-SKOPAR 50mm F2.2 VM」を1月の下旬に購入しました。

このレンズは2024年に他社の仕事でインプレしたレンズの中でも特に印象的で、「小さい」「軽い」「描写が良い」の三拍子揃っています。

製品ページにもあるとおり、レンズ単体での重さは135gしかなく、全長は30mm。フードを装着してもマウント基準面から約40mmのコンパクトサイズ。バッグにレンズを入れておくだけでは出先で「あれ、忘れちゃった??」と不安になるくらいのサイズ感なので、精神衛生的にも付けっぱなしにしておくボディが必要になるところが不満点と言えば不満点になります。

非球面使ってないとか開放F2.2などの語りたい蘊蓄は色々ありますが、そういったことを全部すっ飛ばして、ただただ写りがベラボーに気持ち良い。

50mmの超高性能レンズの写りを知っていてもなお驚きがありますので、MTFとかシャープネスとか、そういった数値性能などの通り一遍の評価方法だけでは表現しきれない光学の魅力がこのサイズに詰め込まれているように感じられ、購入から約11カ月を経てもなお高揚感を覚えます。

MFを楽しむという、いわば癒やしの目的で選択しましたが、いまでは相棒として、無くてはならない1本になっています。

ちなみにS1はLマウント、レンズはVMマウント(ライカMマウント互換)ということで装着には対応するマウントアダプターが必要となりますので、その点だけご注意ください。ワタシが持っているのはコチラです。

LUMIX S1/Voigtlander COLOR-SKOPAR 50mm F2.2 VM/マニュアル露出(1/1,000秒、F2.2)/ISO 100

1981年広島県生まれ。メカに興味があり内燃機関のエンジニアを目指していたが、植田正治・緑川洋一・メイプルソープの写真に感銘を受け写真家を志す。日本大学芸術学部写真学科卒業後スタジオマンを経てデジタル一眼レフ等の開発に携わり、その後フリーランスに。黒白写真が好き。日本作例写真家協会(JSPA)会員。