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キヤノンEOS M【第2回】

EOS Kiss X4と画質を比べてみた。

Reported by 北村智史


 さて、我が家のEOS Mはめでたくカミサン用3号に就任したのだが、第2号のEOS Kiss X4に比べてセンサーとエンジンは新型になっている(画素数は同じだけど)。その分の画質向上が期待できる反面、ボディとレンズはうんと小型軽量になっているので、どこかにシワ寄せがいっているのではないかという心配もある。そんなわけで、今回はちょこっと比較テストをやってみようと思い立った次第である。



 普通に実写した画像を見比べるだけなのでアバウトな結果しか出ないが、大まかな違いが分かれば(もしくは、大して差がないことが分かれば)OKである。

 EOS MはEF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STMとの組み合わせ、EOS Kiss X4はEF-S 18-55mm F3.5-5.6 ISとの組み合わせで、それぞれ広角端と望遠端の絞り開放から最小絞りを撮り比べた(ついでにEF-M 22mm F2 STMでも撮ってみた)。

 基本的には設計の新しいほうが性能が良くなっているケースが多いが、エントリー向けのレンズはわりと周辺部の画質は軽視される傾向があり、EOS Mの場合は小型軽量化を優先している分、四隅の解像が悪かったり、歪曲収差が大きめになっている可能性もある。

 で、仕上がりを見た結果をまとめると、解像性能はEF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STMのほうが若干いい一方、広角端のタル型の歪曲収差はやや大きめ。また、四隅で色収差が目に付いた。EF-M 22mm F2 STMもわずかながら色収差が見られたものの、良好な解像性能があるし、歪曲収差も非常に少なかった。ただし、周辺光量がかなり落ちるのはちょっと気になった。

 とまあ、おおざっぱに見たところでは、JPEGメインのユーザーは「レンズ光学補正」の「周辺光量補正」と「色収差補正」は両方ともオンにしておいたほうがよさそうに思う。

 それから高感度での画質も要チェック。有効1,800万画素の時代が長いのが頭打ちを感じさせるけれど、エンジンが新型になって最高感度が1段上がっているのだから、それなりに期待はしていいと思う。といっても、X4の性能が悪いわけではないから、大幅な向上は見込めないだろうとも思う。

 で、実際に撮り比べてみると、中〜高感度域でノイズが減っているものの、やはり1段分アップとまではいかないようす。が、ディテール再現の部分では若干後退しているかのような印象も受けた。まあ、これはピクセル等倍で見ての話なので、あまり目くじらを立てなくてもいいのかなという気もするし、プリント観賞ならEOS Mのほうが少しだけど進化しているのが確認できてよかった。

 一方、AFは大幅に高速化している。といっても、X4のライブビューのAFはコントラスト検出のみで、スピーディーにはほど遠い遅さ。なので、進化してなかったら困るんですけどね。それに対して、EOS Mのは撮像面位相差検出とコントラスト検出を組み合わせたハイブリッドCMOS AFだ。

 Nikon 1もハイブリッドだが、あちらは明るさなどに応じて位相差検出とコントラスト検出を切り替える仕組みなので、位相差検出でいけるシーンではものすごく速いし動きものにも強い。で、EOS Mはというと、位相差検出とコントラスト検出が連携する方式。スタートは速さ自慢の位相差検出が受け持って、合焦位置付近でコントラスト検出にバトンタッチ。精度の高いピント合わせで締めくくる仕様になっている。

 それだけに、トータルでの速さ感はもうひとつになってしまう。合焦位置の手前からコントラスト検出に切り替わって、短いストロークのスキャン動作をやる。ピントが行って戻ってまた行って、どいう動作になるので、作動音でいうと「シューーックックッ、ピピッ」みたいな感じ。STM(ステッピングモーター)だから、大きな音がするわけではないけど。

 これがオリンパスのE-M5だと、コントラスト検出オンリーなのに、スタートで迷うことがあまりない。そのうえ、合焦位置を少し行きすぎて戻って止まる。作動音があるとしたら「シューッシュ、ピピッ」ぐらいの感じ。一眼レフの位相差AFに比べても見劣りしないスピードがある。オリンパスのほうが、ミラーレス一眼のキャリアは3年ほど長いわけで、その差が響いているのだと思う。

 まあ、キヤノンぐらいに技術力のあるメーカーが満を持して発売したミラーレスなんだからと、期待を高く持ちすぎたからこそのがっかり感ともいえなくはないが、撮っていてストレスを感じるようなことはないし、ミラーレス1号機としては十分以上の性能なのではないかと思う。

 あとはキヤノンがどれだけ頑張ってくれるか、というところ。なにしろ、レンズ交換式のミラーレスは最後発に近いのだから(まだシグマが残ってる)、経験を積んだ先行メーカーに及ばない部分があるのは当たり前。そのギャップをどう詰めていくのかが、今後の見どころになるだろう。筆者個人としては、まだまだ高速化をはかる余地ありと勝手に思っているので、ファームウェアアップデートでの改善を期待したいところである。


  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

・解像感

 標準ズームの広角端では、EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STMのほうがややタル型の歪曲収差が大きく、周辺光量も少なめ。倍率色収差も多少残っている。

 中心部の解像感にあまり差はないが、周辺部はEF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STMのほうがちょっといい。望遠端も、EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STMのほうがイトマキ型の歪曲収差が大きめで、解像感はやや高いという結果。設計が新しい分シャープになって、小型軽量化の分歪曲と周辺光量にしわ寄せがいっている印象だ。

 単焦点のEF-M 22mm F2 STMは、やはり薄形設計がの影響なのか、周辺光量低下が目立つ。ただし、歪曲収差がほとんどないのはいいところ。解像感も良好なレベルだと思う。

 なお、いずれも「周辺光量補正」「色収差補正」はオフにしている。


EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 広角端

F3.5 F4 F5.6
F8 F11 F16
F22

EOS Kiss X4 / EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS / 広角端

F3.5 F4 F5.6
F8 F11 F16
F22

EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 望遠端

F5.6 F8 F11
F16 F22

EOS Kiss X4 / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 望遠端

F5.6 F8 F11
F16 F22

EOS M / EF-M 22mm F2 STM

F2 F2.8 F4
F5.6 F8 F11
F16 F22

・参考

 EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STMとEF-M 22mm F2 STMのマウントをずらして連動解除状態で撮影したもの。ボディとの連動がないので、内緒で電子的な補正をやっているとしたら違いが見えるはず。と思って撮ったが、変化はないようだ。つまり、内緒で画像処理による補正はやってないと考えられる。


EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 広角端 EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 望遠端 EOS M / EF-M 22mm F2 STM

・感度

 感度別の比較を見ると、総じてEOS Mのほうが良好な結果といえる。EOS Kiss X4はISO800でわずかにノイズっぽくなるのに対し、EOS MはISO800でも低感度の範囲といえるレベル。ISO1600でも大きな違いはないが、やはりEOS Mのほうが少なめだ。

 ISO3200になるとぐっと違いが出てきて、エンジンの違いが見えてくる。ただ、EOS Mのほうがわずかながらディテール再現が悪くなっているようにも見える。その傾向はISO6400、ISO12800でも同じで、ノイズの少なさはEOS Mが、ディテールの残り具合はEOS Kiss X4がいいと感じた。

 そんなに大きなサイズにプリントするのでなければ、どちらもISO3200までなら常用できそうな印象だが、優劣をつけるならEOS Mが上となる。びっくりするほどじゃないけれど、それなりに進化しているといえそうだ。


EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200
ISO6400 ISO12800 ISO25600

EOS Kiss X4 / EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200
ISO6400 ISO12800



・作例
広角端はタル型の歪曲収差が目立つので、少し長めの焦点距離で。ちょっとまだタル型が残ってるけどね。EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 5,184×3,456 / 1/15秒 / F5.6 / 1/3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 22mm(35.2mm相当)

一眼レフと違って測距点の位置が自由に選べるのが便利。しかも、タッチ操作だから簡単なのだ。EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 5,184×3,456 / 1/15秒 / F5 / -0.7EV / ISO400 / WB:太陽光 / 45mm(72.0mm相当)

輝度差のわりと大きなシーンだが、このクラスのカメラらしくハイライトのトーンが良く残っている。EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 5,184×3,456 / 1/160秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(28.8mm相当)

たぶん牛舎なのだろう。で、外壁に牛のモチーフが飾られている。EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 5,184×3,456 / 1/160秒 / F7.1 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(28.8mm相当)
ピクチャースタイルの初期設定がオートになっていて、おかげで従来よりも鮮やか目に仕上がってくれる。EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 5,184×3,456 / 1/200秒 / F9 / 0.0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(28.8mm相当)
木造の渡り廊下ってかなりめずらしいんではないかと思う。EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 5,184×3,456 / 1/50秒 / F4 / -0.7EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm(28.8mm相当)

今回は周辺光量補正も色収差補正もオフ。なので、絞り開放で撮ったものは四隅がちょっと暗くなってる。EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 5,184×3,456 / 絞り優先AE / 1/100秒 / F3.5 / -0.7EV / ISO400 / WB:太陽光 / 18mm(28.8mm相当)

噴水の下の濡れた地面に夕空が映り込んでいた。EOS M / EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / 5,184×3,456 / 絞り優先AE / 1/80秒 / F6.3 / -1.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 55mm(88.0mm相当)





北村智史
北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。

2012/10/10 14:08