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ソニーNEX-5【第9回】

高倍率ズームレンズ「E 18-200mm F3.5-6.3 OSS」を使ってみる

Reported by 小山安博


 NEX-5は、超コンパクトなボディに、APS-Cサイズ相当の比較的大型なセンサーを搭載した点が特徴だ。そのため画質にはメリットがあるが、それが逆に欠点にもなり得る。それはレンズだ。APS-Cサイズ相当の撮像素子を積んだということは、レンズもそのイメージサークルに対応したものが必要になり、小型化が難しくなる。

今回の主役、E 18-200mm F3.5-6.3 OSSを装着したNEX-5

 NEX-5に採用されたEマウントは、フランジバックを18mmまで短くしている。これはマイクロフォーサーズより短く、さらにマウントも小径化したことで、レンズの小型化が可能になっている。とはいえ、撮像素子の大きさはマイクロフォーサーズ規格に対して約1.6倍であるため、レンズの小型化には限界がある。Eマウントレンズはマイクロフォーサーズ用レンズほどのコンパクト化は難しいだろう。

 そうした中で登場した高倍率ズームレンズ「E 18-200mm F3.5-6.3 OSS」(以下E 18-200mm)である。発売早々、「予想を上回る注文で生産が追いつかない」という理由で供給不足に陥っている人気レンズだ。今回はこのレンズをチェックしてみよう。

 現在、Eマウントレンズは、本体と同時発売の標準ズームレンズ「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」とパンケーキレンズ「E 16mm F2.8」の2種類に、今回のE 18-200mmの3本しかない。9月のフォトキナでソニーは、2011年に4本、12年には3本のレンズをリリースする予定としており、単焦点マクロレンズやカールツァイスブランドのレンズなど、楽しみなレンズラインナップが予定されている。

フォトキナの会場で展示されていたレンズのモックアップ。2011年発売予定の4本で、左から時計回りにポートレートレンズ、望遠ズーム、カール ツァイスの広角レンズ、マクロレンズ こちらは2012年発売予定の3本。左から広角ズーム、中望遠レンズ、Gレンズの標準ズーム
今回のテーマと関係ないが、個人的に期待しているのがこちらの外付けストロボ。これもフォトキナで参考展示されていたもので、発売日などはすべて未定。ちょっと大きいが、バウンスも可能で電源も備える。本格的なストロボ撮影が期待できる

 とはいえ、現時点のレンズは3本だけである。そのうちE 18-200mmは、Eマウントでは唯一の望遠域をサポートして。レンズ表記の焦点距離は、35mm判に対して1.5倍になるため、E 18-200mmは35mm判換算で27〜300mm相当の画角をカバーする11倍ズームレンズだ。広角から望遠までをカバーする使い勝手の良さそうなレンズだ。どちらかというとEマウントのビデオカメラ「NEX-VG10」に適したレンズではあるが、NEX-5でも高い利便性が予想できる。

 大きさとしては、最大径が75.5mm、全長が99mmで、質量は約524g。マイクロフォーサーズ陣営の「LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH. MEGA O.I.S.」が70mm×約84mm・約460g、「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6」が63.5mm×83mm・約260gと比べてると、とにかく大きくて重い。APS-Cサイズ向けのレンズでは、例えばキヤノンの「EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS」が78.6mm×102mm・595gだから、やはりレンズの小型化は難しいのかなという印象だ。

E 18-200mmを装着したNEX-5。かなりのボリュームだ 作りはしっかりしている。ズームリングは重いが、ピントリングは軽快に動作する。ズームロック機構も備える

 そのためNEX-5にE 18-200mmを装着して手にしたとき、思わず衝撃が走るかもしれない(というか筆者は走った)。NEX-5に対するE 18-200mmの大きさだ。

 NEX-5は、110.8×58.8×38.2mm、287g(撮影時)しかない小型軽量カメラだ。それに対して長さ99mm、524gのレンズが装着されるのだ。単純に数字だけ見ればカメラの奥行きに対してレンズの長さは3倍弱、重さは2倍となる。

 ただしE 18-200mmの質感はかなりいい。鏡筒部の外装にはアルミニウム合金を採用し、作りもしっかりしている。ズームリングは重く手応えがあり、もう少し軽くても良さそうだが、すかすかした感じはない。

ズームのワイド端(左)とテレ端。11倍ズームとしては驚くような繰り出しではないが、本体と比べるとちょっとびっくりする
前面から見たところ。ボディより高さがあるので、平面に置くとボディが傾き、グリップの一部だけが接地する形になる

 装着したときの迫力も凄い。レンズ自体は決して大型ではないのだが、NEX-5が小さいため、非常にアンバランスに見える。個人的にはそのアンバランスさも面白いと思えるが、楽しい見た目になることは確かだ。装着したままテーブルなどに置くと、レンズの方が大きいのでボディの一部しか接地せず、まっすぐ置けないというのも、なんというか、割り切りを感じる部分だ。

 レンズはワイド端からテレ端までズームすると、レンズ長がほぼ倍になるまで伸びる。レンズ内モーターを内蔵するためAFは静か。ピントが外れた状態からだと、ほかのレンズに比べてもAFが大きく前後するコントラストAFらしい動きをするため、シーンによってはAFは遅め。特にテレ端での撮影でAFが迷うようだが、まあ、これはコントラストAFでは珍しいことではない。

 レンズ自体は大きく重いが、それでもカメラ全体として撮影時の重さは800g程度なので、それほど重さで苦労することはない。レンズを装着して首からかけると、お辞儀どころかカメラが真下を向いてしまうが、レンズにはロック機構があって未使用時にレンズが自重で伸びてしまうことを防止してくれる。

 レンズ名に「OSS」の名前がある通り、光学式手ブレ補正を内蔵。効果は強力で、実際に使ってみるとシャッタースピード換算で3〜4段くらいの効果はありそうだ。

 さらにE 18-200mmには動画撮影時の「アクティブモード」にも対応している。これはハンディカムから搭載され、最近はコンパクトデジカメのサイバーショットシリーズでも採用され始めた手ブレ補正モードだ。ワイド端での手ブレ補正効果を向上させるという機能で、約10倍の手ブレ補正効果があるという。

 最近のハンディカムではテレ端でも2倍ブレないという点をアピールしているが、E 18-200mmではワイド端の10倍までの対応。ただ、それでも補正効果は高く、同じOSSを搭載する標準ズームレンズのE 18-55mm F3.5-5.6 OSSと比べると、特に歩きながらの撮影時で威力を発揮する。

 ハンディカムやほかのアクティブモード搭載サイバーショットに比べると補正効果は大きくない印象だが、それでもこうした手ブレ補正機能が搭載されているのはありがたい。

 今のところ、NEX-5での望遠レンズは唯一の選択肢であるE 18-200mm。供給不足で手に入りにくい状況となっており、この辺り、最近のソニーの商品供給のバランスの悪さが気に掛かるところではある。

 いずれにしても総合的に見れば、NEX-5に何を求めるかで、E 18-200mmの購入が決まるだろう。確かにNEX-5に装着するとバランスが悪いが、マイクロフォーサーズ陣営の同種のカメラ+レンズと比べて重くなるわけではないし、35mm判換算で300mmのレンズを装着したと考えれば、まだコンパクトな部類に入る。

 NEX-5を1台持って旅に出る、というのであればNEX-5とE 18-200mmの組み合わせもいいだろう。普段はE 16mmのパンケーキレンズか標準ズームレンズを装着し、必要なときだけE 18-200mmを付ける、という使い方であればたいていのシーンはカバーできるはずだ。

 「NEX-5の命はコンパクトさ」というのであれば、いろいろ目をつぶってパンケーキレンズ1本を装着しておけば、コンパクトデジカメ並みの機動性で撮影ができるし、E 18-200mmは不要だろう。望遠が必要なときは別の一眼レフカメラか高倍率ズーム搭載のコンパクトデジカメを使うというのも手だ。

 そういう意味では、人を選ぶレンズではある。ただ、NEX-5を常に持ち歩く人なら、撮影のバリエーションを増やしてくれるので、1台持っていても損のないレンズだろう。

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一部で色ずれによるパープルフリンジがエッジで発生しており、この辺りは高倍率ズームレンズとしては平均的な印象
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約5.4MB / 3,056×4,592 / 1/30秒 / F5.6 / 0.0EV / ISO640 / WB:オート / 18mm
描写は十分シャープだし、細かい部分もよく解像している
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約9.2MB / 4,592×3,056 / 1/50秒 / F4.5 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 27mm
31mm(35mm判換算で46.5mm)で1/8秒。手ブレ補正がよく効いている
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約6.9MB / 4,592×3,056 / 1/8秒 / F5 / -1.0EV / ISO200 / WB:オート / 31mm
ワイド端ではあまり寄れない(30cmまで)のでマクロ的に使うのは難しいが、ズームをすることでテレマクロとして利用できる
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約3.3MB / 4,592×3,056 / 1/125秒 / F6.3 / +1.0EV / ISO200 / WB:オート / 34mm
テレ端を使えば、絞っても背景はきちんとボケてくれる
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約2.9MB / 3,056×4,592 / 1/80秒 / F10 / +1.0EV / ISO200 / WB:オート / 43mm
ポートレートなどでも背景のボケを生かした撮影がしやすい
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約4.6MB / 3,056×4,592 / 1/320秒 / F6.3 / +1.0EV / ISO400 / WB:オート / 200mm
ただ、背景のボケは堅めで理想的というほどきれいなボケにはならない印象
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約3.2MB / 4,592×3,056 / 1/160秒 / F5.6 / +1.0EV / ISO200 / WB:オート / 98mm
点光源では一部二線ボケが発生するような場合もある
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約3.5MB / 4,592×3,056 / 1/60秒 / F6.3 / 0.0EV / ISO3200 / WB:オート / 57mm
ボディに対してレンズが大きく重いため、三脚に設置していても安定感があまりない。三脚座が欲しかったところだ
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約5.0MB / 4,592×3,056 / 1/20秒 / F6.3 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 200mm
三脚が使えない場合は、ボディよりもレンズを固定して撮影した方が安定する
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約5.3MB / 4,592×3,056 / 1.0秒 / F5.6 / -1.0EV / ISO200 / WB:オート / 18mm
コントラストAFはピンポイントのAFが弱め。こうした花弁や細かい被写体を撮影する場合は、AF合わせをしたあとDMF(ダイレクトマニュアルフォーカス)でピント合わせをしたほうがうまくいく
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約2.9MB / 4,592×3,056 / 1/250秒 / F6.3 / +0.3EV / ISO200 / WB:オート / 146mm
こういう構図で、特にテレ端でのピント合わせはAF任せではあまりうまくいかない。じっくり撮影できる状況なら、三脚でMFの方が良さそうだ
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約3.0MB / 3,056×4,592 / 1/160秒 / F6.3 / +1.0EV / ISO1600 / WB:オート / 200mm
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約2.9MB / 4,592×3,056 / 1/125秒 / F6.3 / 0.0EV / ISO800 / WB:オート / 146mm NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約3.1MB / 4,592×3,056 / 1/60秒 / F6.3 / 0.0EV / ISO3200 / WB:オート / 80mm
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約5.4MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F6.3 / +0.3EV / ISO500 / WB:オート / 46mm NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約3.8MB / 4,592×3,056 / 1/100秒 / F6.3 / +0.3EV / ISO500 / WB:オート / 57mm
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約3.3MB / 4,592×3,056 / 1/800秒 / F6.3 / +0.7EV / ISO800 / WB:オート / 75mm NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約3.3MB / 4,592×3,056 / 1/250秒 / F6.3 / +1.0EV / ISO1600 / WB:オート / 200mm
NEX-5 / E 18-200mm F3.5-6.3 OSS / 約3.5MB / 3,056×4,592 / 1/100秒 / F6.3 / +0.3EV / ISO1600 / WB:オート / 78mm

  • 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードします。再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
【動画】手ブレ補正をオンにして歩きながら撮影した動画。確かにブレはあるが、アクティブモードの効果によってそれがかなり低減されている
1,920×1,080 / 25.0MB / AVCHD(.mts)
【動画】こちらは手ブレ補正オフの動画。同じように歩いているだけだが、ブレはかなり大きい
1,920×1,080 / 24.2MB / AVCHD(.mts)
【動画】テレ端で絞り開放ならばAPS-Cサイズセンサーによる大きなボケを楽しめる。ビデオカメラやコンパクトデジカメより簡単にボケるので、人物撮りにも効果的だ。映像がぬるっという感じで動くのは手ブレ補正のせい。三脚に設置した場合は手ブレ補正はオフにした方がいい
1,920×1,080 / 19.7MB / AVCHD(.mts)
【動画】テレ端で別の被写体にパンしたところ。途中AFが迷う場面があるが、AFはなめらかで早い方だろう。映像の最後の方でAFが動作しているのは、シャッターボタンを半押ししてAFを動作させている。なお静止画用三脚を使っているので、カメラの動きがぎこちない。動画も重視する場合は、動画でも使いやすい三脚も検討した方がいいだろう
1,920×1,080 / 46.9MB / AVCHD(.mts)
【動画】テレ端からワイド端へのズームはなめらか。映像の最後で画面がぶれるのは、動画ボタンを押して撮影を終了しているため。三脚に設置していても軽く触れただけでもカメラがぶれるので、やはりレンズ側に三脚座があるともっと安定しそうだ
1,920×1,080 / 45.5MB / AVCHD(.mts)




小山安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2010/11/8 00:00