【フォトキナ】ソニー、プレスカンファレンスでEマウント新戦略を解説


 ソニーは21日(現地時間)、フォトキナ2010でプレスカンファレンスを開催し、ミラーレスカメラ「NEX」シリーズの新レンズなどの開発を発表した。ファームウェアアップデートでの機能向上も実施するという。

 NEXシリーズは、現在「NEX-5」と「NEX-3」の2モデルに加え、同じEマウントのレンズ交換式ハンディカム「NEX-VG10」が用意されている。ただ、Eマウントレンズは標準ズームレンズ「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」、パンケーキレンズ「E 16mm F2.8」、高倍率ズームの「E 18-200mm F3.5-6.3 OSS」の3本しかなく、ソニーの業務執行役員SVPパーソナルイメージング&サウンド事業本部長の今村昌志氏も、バリエーションが「十分ではないとわかっている」と認める。

業務執行役員SVPパーソナルイメージング&サウンド事業本部長の今村昌志氏

 今回、Eマウントレンズを今後2012年までに7本リリースすることを明らかにし、レンズラインナップ不足を解消したい考えだ。カールツァイスブランドの広角単焦点レンズ、望遠ズームレンズ、単焦点マクロレンズ、単焦点ポートレートレンズの4本を2011年中、Gレンズのハイパフォーマンス標準ズームレンズ、広角ズームレンズ、単焦点の中望遠レンズの3本を2012年中に発売を目指す。

NEXシリーズのレンズラインナップの現状これに7本を追加して10本のラインナップにする

 これによって、レンズラインナップは合計10本となり、さらにE 16mm F2.8に装着する魚眼、広角の2つのアダプターを組み合わせれば12種類のレンズが利用できるようになる。さらに、NEX用のコンパクトな外付けストロボも新たに開発中で、これは発光部が回転することでバウンスができるようにしたものだという。

2011年に発売する4本のレンズ。カールツァイス製レンズも用意2012年にはGレンズを含む3本をリリースする
ラインナップはこうした形で4種類のレンズ群を用意する2012年にはこの形のラインナップになる。右端にあるのが新型ストロボ

 さらにNEXシリーズは、フランジバックが18mmと他社に比べても短く、マウントアダプターを使うことでさまざまな他社製レンズを使うことができる。サードパーティからはさまざまなアダプターがリリースされており、今村氏もこうした他社とのコラボレーションによるNEXの拡張を歓迎する。

NEXのフランジバックは18mmで、他社と比べて最も短いサードパーティ製のマウントアダプターも多く出ている
それによって、さまざまなレンズを装着することができるようになっている

 ソニー自身は、α用のAマウントレンズが装着できるマウントアダプター「LA-EA1」を発売しているが、最大の問題はマウントアダプター経由ではAFが動作しないこと。これに関しては、パーソナル イメージング&サウンド事業本部イメージング第3事業部事業部長の勝本徹氏が「多くの要望があった」としており、今回NEXのファームウェアアップグレードでAF動作に対応する。

パーソナル イメージング&サウンド事業本部イメージング第3事業部事業部長の勝本徹氏AFができないのは大きな問題だったようで、要望が特に多かったようだ。今回、ファームウェアアップグレードでAF対応するレンズ

 AFに対応するのは、AマウントレンズのうちSAM、SSMを搭載したモデルで、NEXのコントラストAFが動作するようになる。

 この新ファームウェアは10月半ばに世界でリリースされる予定で、さらにユーザーの要望が多かったというキーのカスタマイズも可能になる。これまで固定されていたソフトキーの割り当てが任意に変更でき、オートHDRの設定やISO感度、ホワイトバランスといった項目にダイレクトにアクセスできるようになる。

ファームウェアアップグレードによって、さらにソフトキーのカスタマイズもサポート

 また、これまでNEX-5/3では動画撮影中の絞りは自動設定されており、せっかく大型センサーを搭載しているのに、絞りを開けて大きなボケを楽しむということはできなかったが、新ファームウェアでは、静止画撮影中にムービーボタンで動画撮影を行なうと、あらかじめ静止画撮影中に設定した絞り値のまま動画を撮影できるようになる。

動画中の絞り値も指定できるようになる。要望の大きい部分をファームウェアで進化させ、さらに使いやすいカメラを目指す

 新ファームウェアは、ハンディカムのNEX-VG10にも提供される予定で、こちらは11月半ばのリリースになるそうだ。

 今村氏は、NEXシリーズとαの新製品である「α55」、「α33」というラインナップによって、瞬間を逃さないα、すべての人に一眼クオリティの写真を提供するNEXという2つのテーマを実現し、NEXによって伸びたシェアをさらに拡大していきたい考えを示している。

 そのため、αシリーズのさらなる「アドバンスモデル」も用意する。α55/33と同じくトランスルーセントミラーを採用。Exmor APS HDセンサーを搭載しており、フルHD動画の撮影も可能になることまでは明らかにされた。そのほか、縦位置グリップ、500mm F4Gという望遠レンズ、新開発の外付けストロボも用意するという。

Aマウントのアドバンスモデルレンズとストロボも追加する


(小山安博)

2010/9/22 19:41