パナソニックLUMIX DMC-GH1【第9回】

期待の新レンズ「LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.」を試す

Reported by 本誌:折本幸治


DMC-GH1にLUMIX G 14mm F2.5 ASPH.を装着したところ

 LUMIX DMC-GH1の後継機種、LUMIX DMC-GH2が29日に発売される。おそらく近いうちに買い増しすることになるのだろう。今は購入資金を調整している段階。なるべく早く手に入れたいものの、先立つものがないとあっては仕方がない。

 さて今回は、パナソニックが10月8日に発売した「LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.」(以下14mm)の試用レポートだ。すでに「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」(以下17mm)や「LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.」(20mm)が支持を集めているマイクロフォーサーズ界にとって、新たなパンケーキレンズの登場は見逃せない。しかも35mm判換算で28mm相当という、いかにも人気が出そうな画角のレンズだ。待ち望んでいた人も多いだろう。

 最初に手にして驚いたのは、その薄さと軽さ。17mmや20mmよりも薄く、ボディ装着時に上から見てもDMC-GH1のグリップからはみ出さないほど。以前からパンケーキレンズを評する際、「ボディキャップ代わりに」との表現が良く見られるが、まさにそんな印象を受ける。個人的には普段、LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH.をつけて移動していることが多いためもあり、まるでボディだけを持ち歩いているような感覚をも受けた。


LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.マウント面
厚さの比較。右はLUMIX G 20mm F1.7 ASPH.

 

薄型単焦点レンズの比較(サイズと重量)
製品名フィルター径最大径全長重量
LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.46mm55.5mm約20.5mm約55g
M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.837mm57mm22mm71g
LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.46mm63mm約22.5mm約100g

 次に感心したのはAF速度だ。既発売のパンケーキレンズ2本(17mmと20mm)でAFを動作させると、「行って戻ってまた行って」という、コントラスト検出式らしい動きが手に伝わってくる。その点14mmのAFは、一般的な位相差検出式と変わらないのでは、と感じるほど素早い。さらに、17mmと20mmでは非対応だった、AFC(コンティニュアスAF)にも対応。確かに、レンズがより軽く、しかも広角であることが、17mmや20mmより有利に働いているのではと想像できる。それを差し引いても、コントラストAFにおける技術進歩を感じた。

 また17mmと違い、着脱時にフォーカスリングを持ったまま回せる点もうれしい。パンケーキレンズは着脱時にレンズ前面に触れやすいこともあり、鏡筒の根元をつまんで回さなければならない17mmは、慣れないうちは常に手から滑落する危険性を感じていた。

DMC-GH1に装着(LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.)
DMC-GH1に装着(LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.)DMC-GH1に装着(LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH.)
DMC-GH1に装着(LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.)
DMC-GH1に装着(LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.)DMC-GH1に装着(LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH.)

 画質だが、正直20mmには劣るものの、LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH.などのズームレンズよりは、シャープで色乗りが良い。RAW、JPEGとも歪曲収差がほとんどなく、夕日が画面に入るような逆光にも強い。夜景を絞り開放付近で撮影すると、画面端の光源から尾を引いたようなフレアが出るのが気になるくらいだ。ちなみに20mmや14-140mmでも同じ現象が起こる。

 とまあ色々気がつくことはあったが、この薄さなら何でも許せる気がする。単焦点レンズの一種ということで気負ってしまうが、パンケーキレンズとは、そもそもそういうものではないだろうか。こんレンズの登場で、マイクロフォーサーズがさらに楽しくなったと思う。

 とにかく薄くて軽いので、画角が気に入るなら常用レンズの最有力候補だろう。17mmや20mmと同じく、ガンガン歩きながら被写体を探すような、街中でのスナップが楽しい。私の場合、撮影地では汎用性の高い14-140mmをメインに使い、撮影地につくまでは14mmをつけっぱなしにしておくことにした。

 なお後日、新ボディDMC-GH2と組み合わせたレビューを掲載する予定だ。写真家を起用し、14mmとDMC-GH2の性能をしっかりとお伝えできればと考えている。

一番似合うのはLUMIX DMC-GF1かもしれない
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・歪曲収差と周辺光量落ち

 20mm F1.7には敵わないものの、絞り開放からしっかりした描写。F4、またはF5.6が最もシャープなようだ。周辺光量落ちはF5.6まで視認できる。

F2.5
DMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約6.8MB / 4,000×3,000 / 1/200秒 / 0.0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm
F2.8
DMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約6.4MB / 4,000×3,000 / 1/200秒 / 0.0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm
F4
DMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約6.6MB / 4,000×3,000 / 1/100秒 / 0.0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm
F5.6
DMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約6.7MB / 4,000×3,000 / 1/50秒 / 0.0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm
F8
DMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約6.7MB / 4,000×3,000 / 1/25秒 / 0.0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm
F11
DMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約6.9MB / 4,000×3,000 / 1/13秒 / 0.0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm
DMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約6.7MB / 4,000×3,000 / 1/6秒 / F16 / 0.0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mmDMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約6.2MB / 4,000×3,000 / 1/3秒 / F22 / 0.0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm

・画角(LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.との違い)
DMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約4.9MB / 4,128×2,752 / 1.6秒 / F5.6 / -1.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mmDMC-GH1 / LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.. / 約4.9MB / 4,128×2,752 / 1.0秒 / F5.6 / -1.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 20mm

・近距離

 左の写真は最短距離より少し手前。この背景の距離だとボケは大きくないが、28mm相当と考えると仕方がない。

DMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約4.7MB / 4,000×3,000 / 1/3,200秒 / F2.5 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 14mmDMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約6.6MB / 4,000×3,000 / 1/500秒 / F5 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 14mm

・逆光

 この程度の夕日や水銀灯ならほぼ問題なし。夜景を絞り込んで撮影した場合、星状に光条が出る。また、開放絞りで撮影すると、画面端の光源からいわゆるコマフレアが気になることがある。

DMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約5.7MB / 3,000×4,000 / 1/4,000秒 / F8 / 0.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 58mmDMC-GH1 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約4.7MB / 4,128×2,752 / 4秒 / F11 / 0.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm

 


 さて、DMC-GH1の長期リアルタイムレポートも今回が最後になる。最初はAPS-C一眼レフカメラのサブ機としておそるおそる使い始めたものの、小型軽量なボディや、EVFおよびバリアングル液晶モニターの利便性から、いつの間にかメインカメラとして愛用するに至っている。とりわけ、バリアングル液晶モニターとライブビューの組み合わせは楽しい。三脚を多用する自分の撮影にも合っているし、アスペクト比を切り替えて撮影する面白さもDMC-GH1で知った。それなりに大きなグリップがある点や、EVFとはいえファインダーに接眼して構えられる点も、自分にとっては重要だったのだろう。また精細感は劣るものの、日中屋外での液晶モニターの見やすさも特筆すべき点。各社の高級機が搭載する3型92万ドットクラスの液晶モニターをしのぐレベルだと感じる。

 もちろん、動く被写体を前に悔しい思いをすることも多々あった。内蔵ストロボがワイヤレス調光に対応して欲しいとか、電池がもっと持って欲しいとか、電子水準器やGPSを内蔵して欲しいとか、ほかにも細かい要求を言い出すときりがない。しかし今にして思えば、休暇にしか本格的な撮影をしない(取材を除く)アマチュアの自分にとって、ちょうど良い実用性とサイズ感だったのかと思う。最初はぎょっとしたコンフォートゴールドのボディにもすっかり目が慣れた。DMC-GH2にゴールドボディがないのは大変残念だ。

 ともあれDMC-GH1が気に入っているからこそ、その良さを受け継いだDMC-GH2をいずれは入手したいと感じている。そのとき、レポートを再開できればと思う。一方DMC-GH1は今後も、レンズやアクセサリーを共用できるサブカメラとして、手元に残して大事に使うつもりだ。






本誌:折本幸治

2010/10/27 00:00