オリンパス・ペンライトE-PL1【第3回】

レンズ交換式“旅カメラ”として使う

Reported by 本誌:鈴木誠


M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6とVF-2を装着したE-PL1

 先日、カメラを手にするようになって初めて海外旅行に出かけた。今回のお供はもちろんE-PL1。マイクロフォーサーズカメラをいわゆる“旅カメラ”として使ってみようという狙いだ。

 レンズは、E-PL1ダブルズームキットの「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 L」と「ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6」に、超広角ズームレンズの「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6」。特に35mm判換算で18mm相当の焦点距離は、旅カメラと言われるコンパクトカメラでは得難いものだろう。

 以上の3本で広角18mmから望遠300mm相当をカバーしていながら、E-PL1のボディを合わせた総重量は1kgを切る。ダブルズームキットのレンズ2本を「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6」に置き換えれば、更なる軽量化も見込める。

 これら全てをカメラバッグではなく、ノートPC用バックパックの隙間に収納した。マイクロフォーサーズカメラならではの芸当だろう。カメラ周りの機材には、先日「デジカメアイテム丼」で紹介したハンファ・ジャパンのGPSロガー「Pocket GPS PG-S1」と、次に紹介するベルボンの小型三脚も加わる。


“高倍率三脚”との相性よし

 旅に合わせて、E-PL1に向きそうな三脚を購入した。ベルボンがヨドバシカメラ限定で発売している「シェルパ アクティブ」(実売9,980円前後)というモデルである。店頭で実際に手にして、この重さなら私でも苦労なく持ち歩けると感じたからだ。全高は137.7cm、自由雲台を含めた重量は780gである。

シェルパ アクティブ(QRA-3装着時)旅先で持ち歩いたバッグと機材

 シェルパ アクティブは、3ウェイ雲台を採用する「ULTRA MAXi M」を自由雲台に変更し、より軽量化を図ったモデルと思われる。石突を回転させることで全ての段のロックと解除を行なうタイプの5段三脚だ。耐荷重は1.5kgとE-PL1には十分。

 縮長はB4の長辺より短い35cm。多くのノートPCより軽量なこともあり、旅先ではレンズ一式に加えて三脚もバッグに入れたまま散歩していた。さすがにアイレベルには届かないものの、E-PL1に電子ビューファインダー「VF-2」を装着すると、身長約178cmの私が上から自然に覗き込める程度の高さになった。

脚を全て伸ばしたところエレベーターを一番上まで上げたところ

 また、クイックシュー「QRA-3」(実売2,390円前後)も使ってみた。小型一眼レフカメラやコンパクトカメラ用としており、E-PL1にもピッタリだった。三脚には1/4インチネジで取り付ける。

クイックシューの「QRA-3」も併用した小型のシュープレートは手持ち撮影でも邪魔にならない

 三脚撮影時の水平出しは、ライブビューのグリッド表示を参考にした。今になって思えば、3ウェイ雲台のほうが電子水準器をもたないE-PL1と相性がよかったかもしれない。

見た目も好きになってきたVF-2

 電子ビューファインダーVF-2も新たに導入した。E-PL1が備える23万ドットの液晶モニターに対して144万ドットの見えは素晴らしく、MF操作もある程度は拡大表示なしで行なえる印象だ。実売2万5,000円という価格や、装着時の多少アンバランスな見た目も許せてしまう。

 習性とは面白いもので、EVFを覗き込みながら撮影していると、無意識にデジタル一眼レフカメラを使っている錯覚に陥る。カメラを構える前に、つい露出設定を確認しようと液晶モニターを見てしまうのだ。もちろん、設定表示はライブビューと共にEVFの中である。これがなかなか学習できず、何度もやってしまった。

 とはいえちょっとした設定変更のたびにEVFの表示先切り替えボタンを押すのも億劫なので、今後はEVFと液晶モニターのどちらか一方に全情報を表示するだけでなく、より柔軟な使い分けが可能になれば嬉しい。

バッグのジッパーやMacBook Proに擦れたVF-2

 ひとつ注意点としては、カメラバッグのように大きく開口しないバッグから取り出す際、EVFが一眼レフカメラのペンタ部のように引っかかるところだ。焦って取り出した際、ジッパーに引っ掛けて塗装を少し傷つけてしまった。

 ほかにも、荷物を詰め込んだバッグから無理矢理取り出そうとした際にMacBook Proのアルミ筐体と強くこすれ、VF-2の塗装が負けた。だが、個人的にはこの傷ついたVF-2を付けた瞬間、E-PL1が渋く見えるような気がしてむしろ気に入っていたりする。


丸リングのストラップ

 このところE-PL1に装着しているストラップが、アルティザン&アーティストの「ACAM-301」(実売1万2,600円)だ。他人から譲り受けた品だが、とても気に入っている。他のカラーも確保したいと思っているほどだ。

ACAM-301(レッド)の使用例京都の老舗組紐店で作ったという組紐はしなやかで、結んで長さを調節できる

 先端に丸リングを備えており、本来はアイレットタイプの取り付け部に装着するストラップだ。しかしこれがE-PL1でもなかなか使いやすい。長さは約94cmで、組紐を結ぶことで長さを調整できる。

 発見したメリットとして、丸リングはストラップ取り付け部の中を自由に動けるため、撮影時にストラップの逃げ場が多くなる。これにより、とっさにカメラを構えても右手の邪魔になりにくいのだ。とはいえボディにリングが擦れて傷になるかもしれないので、考え方次第ではある。

ラフに扱っているものの、思ったほど傷は付いていない

 また、組紐ストラップには裏表が存在しないので、首や肩にかけるたびにストラップのねじれが気になることもない。神経質な私にはこれまた心地よいポイントなので、当分はこのスタイルで使ってみようと思っている。

旅のお供にも好適

 マイクロフォーサーズカメラが採用する撮像素子のサイズは、各交換レンズの小型化に繋がっている。そうしてシステム全体が小型軽量となることにより、三脚もパイプの細い軽量なもので済む。軽さが正義と信じてE-PL1を選んだ私にとって、まさに好循環だった。

 実際に撮影を行なっていても、景色を撮るのであればデジタル一眼レフカメラとのレスポンスの差も気にならなかった。むしろ、カメラ趣味に対して同行者の理解が得難かったり、心当たりのない手荷物が増えてしまうような旅においては、それよりカメラ機材が小型軽量なメリットが勝るシーンもあるはずだ。肝心の画質も、土産話と一緒に旅を振り返るには十分なクオリティであり、コンパクトデジタルカメラと比べて、本気の作品撮りにもチャレンジしたくなる懐の深さを感じる。

 マイクロフォーサーズカメラはそれ単体でも十分に楽しいが、シーンに応じて一眼レフカメラやコンパクトカメラと使い分けることにより、一層そのキャラクターを楽しめるように感じた次第だ。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
E-PL1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 約4.3MB / 3,024×4,032 / 1/320秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 9mm / プログラムオートE-PL1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 約6.3MB / 4,032×3,024 / 1/320秒 / F11 / 0EV / ISO200 / 18mm / iAUTO(i-FINISH)
E-PL1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 L / 約5.2MB / 4,032×3,024 / 1/25秒 / F4 / 0EV / ISO1600 / 14mm / 絞り優先AEE-PL1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 約4.4MB / 4,032×3,024 / 3秒 / F8 / -1.3EV / ISO100 / 14mm / 絞り優先AE




本誌:鈴木誠

2010/8/13 00:00