レンズの教科書

状況&目的別・レンズワークの基本:中望遠

真っ直ぐすっきり切り取る

広角レンズでは遠近感が強調されやすく、被写体の周りにあるものが画面に入りやすくなります。建物の直線の歪みも気になりやすいです。パースがつかないように真っ直ぐ切り取りたいときは、中望遠レンズで少し離れたところから撮影するといいでしょう。そのほうが被写体がすっきりきれいに見えます。

70mm相当・プログラムオート・F5.6・1/500秒・ISO100・WB:太陽光・シングルAF

1.できるだけ離れた場所から撮影しよう
2.アイレベルから狙うと特徴がわかりやすくなる
3.遠近感をおさえて真っ直ぐ切り取ろう

広角レンズで近くから撮影すると遠近感が強くなりすぎたり、歪みが気になることがあります。これを改善したいときは、被写体から遠ざかって中望遠レンズで切り取るとよいでしょう。被写界深度が浅めになる中望遠レンズでも、撮影距離が長くなると背景はぼけにくくなり、近いところと遠いところの距離感がなくなって圧縮されたように写ります。被写体だけでなく画面に入る背景の範囲も狭くなって、広角レンズよりもすっきりした感じになります。

壁面など平面の部分に魅力を感じたら、遠近感を強調したり立体的に見せるのではなく、平面的に切り取るといいでしょう。広角レンズでは遠近感や歪みが出て目障りに感じやすいので、中望遠レンズで真っ直ぐ狙います。被写体に正対し、できるだけ離れて、ズームレンズの場合はそのぶん望遠にすると効果的です。横や縦のラインは画面に対して、水平、垂直に入りやすくなります。

  • 遠近感(えんきんかん):画面の中で近くのものを近くに、遠くにあるものを遠くに感じることです。レンズの焦点距離が短く(広角)なるほど強く、焦点距離が長く(望遠)なるほど弱くなる傾向があります。
  • 撮影距離(さつえいきょり):撮影者から被写体までの距離のことです。厳密には撮像素子から被写体までの距離のことで、結果的にはピントを合わせる距離となります。
  • 焦点距離(しょうてんきょり):レンズの中心からレンズが像を結ぶ焦点(=撮像素子)までの距離のことです。単位は「mm」(ミリ)が使われます。この距離が短いと広角レンズ、長いと望遠レンズになります。

1.できるだけ離れた場所から撮ろう

広角レンズで近くから撮影すると遠近感が出てしまいます。レンズの焦点距離はできるだけ長めにして、できるだけ離れた場所から撮影すると遠近感や歪みが出にくくなり、被写体を真っ直ぐシンプルに切り取ることができます。

85mm相当・プログラムオート・F8・1/500秒・ISO200・WB:オート・シングルAF

2.中望遠レンズでアイレベルから狙おう

高さのあるものは、広角レンズだと近くから見上げるようになって、いまひとつの見え方になります。中望遠レンズだと離れたところから狙えるため、真っ直ぐ切り取ることができて、特徴がわかりやすい見え方になります。

28mm
絞り優先オート・F8・1/250秒・ISO100・WB:太陽光・シングルAF
70mm
絞り優先オート・F8・1/250秒・ISO100・WB:太陽光・シングルAF

3.遠近感をおさえて垂直を出す

広角レンズで見上げるようにして建物の高さが感じられるように切り取るだけでなく、場所を移動して違ったアプローチも実践してみましょう。中望遠レンズはパースペクティブ効果がおさえられるぶん、画面に対して縦のラインが垂直に入りやすくなります。

135mm相当・絞り優先オート・F8・1/30秒・ISO100・WB:太陽光・シングルAF・三脚使用

この連載は、MdN刊「レンズの教科書 撮る楽しさを味わうための写真の手引き」(岡嶋和幸 著)から抜粋・再構成しています。

本連載で紹介しているレンズ焦点域や撮影シーンごとのレンズワーク解説だけでなく、レンズ本体や表現効果の基礎知識、レンズのポテンシャルを引き出すワンランク上の使いこなしなど、全6章で構成されています。

10月7日には著者の岡嶋和幸氏を迎えた出版記念セミナーを開催。2部構成のセミナーに加え、質疑応答と懇親会が行われます。

レンズの教科書 撮る楽しさを味わうための写真の手引き(MdN刊、税別2,000円)

(岡嶋和幸)