交換レンズレビュー

FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS

コストパフォーマンスに優れたフルサイズズーム

“FE”と冠するように、35mmフルサイズ対応のEマウントレンズである。FEシリーズの標準ズームとしては、すでにカールツァイス Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSが存在するが、本レンズはその廉価版という位置付け。

今回はα7で試用した。発売は2014年2月。実勢価格は税込4万8,740円前後

とはいえ非球面レンズ3枚、EDレンズ1枚を採用する光学系に、強力な手ブレ補正の搭載などスペックに隙はない。今後フルサイズ対応Eマウントレンズのスタンダード的存在になると思われる本レンズの描写と操作感を見てみよう。

デザインと操作性

鏡筒のデザインテイストは、これまでのEマウントレンズを踏襲する。鏡筒にスイッチの類いなど何も無く、素っ気ないほどシンプルで無駄のないシェイプを持つ。プラスティックを多用した鏡筒だが、チープな感じはさほどない。

最短撮影距離がレンズ前面飾り枠に記されているのはソニーならでは。鏡筒は防塵防滴に配慮した設計としており、タフな使用にも耐えられる。フィルター径は55mm

むしろカメラに装着した姿は精悍な印象といってよいだろう。撮影ではα7を用いたが、レンズ先端を除き鏡筒はつや消しとしているので、同じような外観処理を施すα7 IIのほうが見た目のマッチングはよさそうである。

フレアカッターの付いたレンズ後端。もちろんフルサイズに対応した大きさとしている。製造国名もここに入る

ズームリングおよびフォーカスリングの操作感は、クラスを考えると上々だ。特にズームリングは操作中トルク感が変化することがなく、至ってスームスである。両リングとも一見ローレット加工が施されているように見えるラバーを巻くが、指に触れた感触も悪くない。

ズーミングして驚かされるのが、その全長変化だ。一般に標準ズームは、テレもしくはワイド側のいいずれかにズームすると鏡筒がぐっと前方に繰り出すが、本レンズの繰り出し量は至って少ない。

ワイド端(左)とテレ端(右)のレンズの繰り出しに注目。どちらも繰り出した量はわずかだ。焦点距離50mmあたりがもっとも繰り出す量が少ない

見た目の問題ではあるが、前方に鏡筒が繰り出すとほとんどのレンズの場合あまりカッコいいとは言い難い状態となるので、これはこれでうれしく思える。

花型のレンズフードが付属する。廉価モデルであってもフードを同梱するのはメーカーの良心といってよい

遠景の描写は?

開放絞りF3.5からはじまるワイド端28mmの描写だが、まず解像感のピークは、中央部分がF5.6、画面周辺部がF8といったところ。

開放では画面全体にコントラストは高いものの、解像感はやや甘めに感じる。極端なディストーションは見受けられず、絞りを開いたときに発生しやすい周辺減光もさほど大きいものではない。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
広角端―中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F3.5
F4
F5.6
F8
F11
F16
広角端―周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F3.5
F4
F5.6
F8
F11
F16

一方、開放絞りF5.6とするテレ端70mmでは解像感のピークは、中央部分がF8、画面周辺部がF11となる。開放F5.6でも画面中央部分の描写に関しては不足を感じさせず、キレはよい。

ディストーションについては極弱い糸巻きタイプで、こちらも気になるようなことはないだろう。総じてクラスを考えれば不足のない十分な描写といって差し支えない。

望遠端―中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F5.6
F8
F11
F16
望遠端―周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F5.6
F8
F11
F16

ボケ味は?

ボケ味についてはクセのようなものは感じられずズームレンズとして素直。合焦面からなだらかにボケていき、柔らかく溶け合っていく。玉ボケのなかに濁りのようなものや極端な二線ボケなども感じられない。

前ボケについても気になるようなものは感じられず、概ね良好。明るいレンズではないので、ボケを積極的に活かすような撮影はどちらかといえば苦手に思えるが、それでも被写体を背景からちょっと浮かび上がらせたいときなど活躍してくれそうである。

なお、最短撮影距離はワイド端0.3m、テレ端0.45mとなっている。

広角端
絞り開放・最短撮影距離(約30cm)で撮影。α7 / 1/1,600秒 / F3.5 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 28mm
絞り開放・距離数mで撮影。α7 / 1/1,250秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 28mm
絞りF5.6・距離数mで撮影。α7 / 1/400秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 28mm
望遠端
絞り開放・最短撮影距離(約40cm)で撮影。α7 / 1/400秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 70mm
絞り開放・距離数mで撮影。α7 / 1/1,000秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 70mm
絞りF8・距離数mで撮影。α7 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 70mm

逆光耐性は?

画面のなかに太陽が入るような条件では、作例を見るかぎりワイドおよびテレ端ともゴーストが現れている。

ワイド端の画像は一見ゴーストの発生はないように見受けられるが、よくよく見ると薄いながらも大きいものがいくつか散見される。

フレアについてもワイド端、テレ端とも発生している。とはいえ、このような撮影条件ではゴースト、フレアの発生は付きものなので、どちらかといえば平均的なレベルといってよい。

画面のなかにある太陽を他の被写体で隠して撮影したものは、ゴーストの発生はなくフレアもわずか。良好な結果といってよいものである。

広角端
太陽が画面内に入る逆光で撮影。α7 / 1/1,250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 28mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。α7 / 1/1,000秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 28mm
望遠端
太陽が画面内に入る逆光で撮影。α7 / 1/2,500秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 70mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。α7 / 1/2,000秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 70mm

作品集

焦点距離34mm、絞りはf5.6。コントラストが高いうえに、ピントの合った部分のキレもよい。背景のボケはいまひとつ柔らかくはないが、ズームとして考えれば納得のいくレベル。周辺減光も気にならない。

α7 / 1/1,250秒 / F4 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 34mm

こちらはワイド端、絞りF4としている。開放から1/3段ほど絞ったものだが、シャープネス、コントラストとも良好。キレと立体感のある描写だ。さらに周辺減光の発生もわずか。

α7 / 1/1,250秒 / F4 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 28mm

焦点距離は52mm。その最短撮影距離近くまで寄って撮影を行っている。絞りは開放F5。期待するような大きなボケは得られなかったが、緻密な描写は予想以上。色のにじみもなく、シャープな描写。

α7 / 1/800秒 / F5 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 52mm

使用した焦点距離は63mm。絞りは開放のF5.6で撮影。コントラストは上々だが、画面周辺部のキレはやや甘い。本レンズの場合、テレ端のピークはF8からf11あたりなので、1段ほど絞るとより描写は向上することだろう。

α7 / 1/1,000秒 / F5.6 / -1.3EV / ISO100 / 絞り優先AE/ 63mm

まとめ

ワイド端の焦点距離が24mmではなく28mmであるなど廉価モデルならではの経済性を優先したところがあるものの、その描写はなかなか侮れない標準ズームである。

カールツァイスの銘を冠したVario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSにどうしても目は向きがちだが、コストパフォーマンスを考えれば本レンズも十分魅力的。

エントリーユーザーのみならずベテランやオールドレンズフリークにも使ってみて欲しいレンズである。今後、このクラスの広角ズームや望遠ズームがリリースされることにも期待したい。

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。