デジカメアイテム丼

Cerevo「SmartTrigger」

iPhoneをカメラの無線リモコンに!

 Cerevoの「SmartTrigger」は、デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラのシャッターを、スマートフォンで操作できるアイテムだ。多種多様なカメラに対応し、さまざまな撮影が楽しめるグッズになっている。

iPhoneをリモートコントローラーとして使えるSmartTrigger

幅広いカメラで使えるリモート撮影ツール

 SmartTriggerは、カメラのシャッターを無線で操作するために、本体とは別に専用ケーブルが必要となる。ケーブルはキヤノン用、ニコン用など、メーカーごとに分かれており、カメラにあった最適なものを選択する必要がある。

OM-D E-M5の場合、マルチUSB端子にケーブルを接続する

 基本的には、カメラのレリーズケーブルの代わりに利用するが、ミラーレスカメラなどでレリーズケーブル端子がない場合、USB端子など、カメラをコントロールできる端子に挿して利用する。カメラの赤外線ポートを利用する、という方法もあり、SmartTrigger本体はそのままでも、さまざまな方法を駆使して、多くのカメラをサポートしているのが特徴だ。

 SmartTrigger本体とケーブルを接続し、ケーブルをカメラの指定の端子に挿入すれば利用可能になる。カメラから本体がぶら下がる形になるので、あまり見栄えがいいわけではないが、このあたりは仕方のない部分だろう。

本体には、電源ボタンとカメラ(シャッター)ボタンがある

 電源は単四形電池×1で、手のひらにすっぽり収まるコンパクトサイズ。利用するには、この本体とケーブルに加え、スマートフォンで操作するために専用アプリも必要。iOS向けしかないので、App Storeから「SmartTrigger」アプリをダウンロードしてインストールしておく。対応するのはiPhone 4S以上で、iPadでも利用できるが、アプリ自体はユニバーサルアプリではないので、画面中央に小さく表示されるか、2倍表示でアプリを利用するしかない。

初めてアプリを起動すると、まずは設定方法が表示される
本体の電源ボタンを3秒間押して電源をオンにすると、自動的にBluetoothが起動し、アプリ側で本体が検出される

 利用するには、まず本体の電源ボタンを3秒間長押しし、ペアリングモードにする。さらにiPhoneのBluetoothをオンにした状態でアプリを起動する。すると、自動で周辺のSmartTrigger本体を検索してくれ、画面上に自分のSmartTriggerがリストアップされる。それを選ぶと、初回時のみペアリングを行なうかどうかの選択画面が出てくるので、ここでOKを押す。次回以降は、SmartTriggerを選択するとすぐに接続される。

初回時のみ、ペアリングを行なう必要がある。この画面で「ペアリング」を押すだけ
テスト撮影ができるので、この状態でカメラボタンにタッチする。接続がうまくいっていれば、カメラのシャッターが切れるはずだ

 iPhoneと接続したら、後はアプリを操作することで、カメラのシャッターを切る操作が可能になる。

iPhoneをカメラのリモコンに

 アプリからカメラを操作する機能は、「リモート撮影」、「ジャンプ撮影」、「タイマー撮影」、「タイムラプス」の4種類がある。「リモート撮影」は、アプリに大きなシャッターボタンが表示されるので、それをタッチすればシャッターが切れる。カメラがAFモードの場合、一度単押しすると、AFを行なった上でシャッターが切れる。

左は旧バージョンのアプリ画面。右がバージョン2.0の画面。UIが一新され、「iPhone」が追加されている

 シャッターボタンにタッチして指を離さず、そのまま下にスライドさせると、AFだけが行なわれる。逆に上にスライドさせると、シャッターボタンが固定されるので、バルブ撮影として利用できる。

リモート撮影の画面。このままタッチすればシャッターが切れる
タッチして後にしたにスライドするとAFを合わせるだけ。上だとホールドになるので、バルブ撮影時に活用できる

 特徴的なのが、「ジャンプ撮影」。これは、iPhoneの加速度センサーを使い、iPhone(を持った人)の動きを検出してシャッターを切るという機能だ。iPhoneをポケットに入れたままジャンプすると、ボタンに触れなくてもシャッターが切れる。記念撮影でみんなでジャンプした瞬間を撮影したり、話題になった「マカンコウサッポウ」のような写真を撮りたい場合にも活用できそうだ。

ジャンプ撮影の設定画面。タイマーは、「スタート」を押してから何秒後にジャンプを検知しはじめるかの設定。感度は、左ほど敏感になり、その時々に応じて選択するといい。タイミングは、ジャンプを検出してシャッターを切るまでの間隔の設定。スタートボタンを押すと、タイマー設定時間後にジャンプの検出が行なわれる

 加速度センサーを利用しているので、iPhoneを振るだけでも撮影できる。撮影する際には、センサー感度、シャッターを切るタイミングなどの設定も可能。バージョン2.0で試したところ、センサー感度をもっとも敏感にしておくと、iPhoneを地面と水平にして持っているだけでシャッターが切れてしまうので、iPhoneを立てて持つか、感度を弱めるといい。

繰り返し撮影したい場合は、設定から「繰り返す」をオンにする

 コツとしては、「感度」のアイコンにあるように、一度体を沈めてから飛ぶとうまく反応する感触だった。自分のジャンプのスピードに応じて「タイミング」を調整するとよさそうだ。

例えばこれはぬいぐるみの中にiPhoneを入れて放り投げた写真だが、人間も同様に、iPhoneを手に持ったりポケットに入れたりしてジャンプすればシャッターが切れる。ちょっと練習が必要だが、やってみると意外に楽しい

 タイマー撮影は、シャッターボタンに触れた後、指定秒数後に自動でシャッターが切れる。タイムラプスは、指定枚数を指定の間隔で撮影し続ける機能。

タイマー撮影。タイマーの時間を設定してスタートを押すだけ
タイムラプスは、撮影枚数とインターバルの時間を設定してスタート押す

 いずれも、機能としては単純なものだが、スマートフォンを使って離れた場所からでも簡単にカメラをリモートコントロールできるのがメリット。Bluetoothを使うため、赤外線リモコンのように受光部の正面でなくても操作できるし、無線LANほど電力も消費しない。間になにもない空間では10mくらい離れていても操作できるようだ。

 実際に使ってみると、シャッターボタンを押してから実際にシャッターが切れるまでの時間は、無線の状況にもよるが、即時〜1秒程度。違和感のないスピードでシャッターが切れるので、快適に撮影できる。

 ちなみに、iPhoneをつないで撮影しなくても、SmartTriggerにもシャッターボタンがあり、これを押すとシャッターを切ることができるので、リモートレリーズとしても使える。

iPhoneでもリモート撮影

 SmartTriggerアプリは、バージョン2.0になって機能が強化され、「iPhoneのカメラをSmartTriggerで操作する」機能が追加されている。

 アプリ上の「iPhone」をタッチすると、カメラが起動し、通常のiPhoneのカメラのように、画面をタッチした場所にAFとAEを合わせられる。特徴的なのが、AFポイントとAEポイントを分けられるという点。画面を2本指でタッチすると、通常の緑のAF枠に加え、白色のAE枠が表示され、それを移動させることで、AFとAEをそれぞれ別の場所で設定できる。

初回起動時に、「写真」へのアクセス許可が出るので、「OK」を押す。撮影後は、カメラロールへのアクセス許可も出るので、これも「OK」を押す
緑がAF枠、白がAE枠。2本指タッチでAE枠が表示され、指でドラッグすることで位置を変更できる

 これは、ほかのカメラアプリなどにも欲しい機能で、明暗差の激しいシーンなどで有効。また、通常のiPhoneのカメラとは異なり、顔検出のオン・オフも可能になっている。ただ、逆にフラッシュのオンオフやHDR機能は使えないようだ。

 この状態で、SmartTriggerのカメラボタンを押すと、iPhone側のシャッターが切られるので、例えばiPhoneを固定しておいた状態でリモート撮影を行なうことができる。ちなみに、カメラとSmartTriggerを接続した状態でカメラボタンを押すと、iPhoneとカメラの両方のシャッターが切られるので、「2つのカメラで同時撮影」といった使い方ができる。

 SmartTriggerは、簡単にいろいろなカメラでリモート撮影を楽しめるアイテムだ。リモートライブビューのような機能はないが、利用方法は簡単だし、ケーブルを変えることでカメラを問わないという点も便利。ちょっと残念なのは、動画撮影のコントロールができない点。これはカメラにもよるのかもしれないが、OM-Dの場合、モードダイヤルを動画モードにしても、静止画撮影になるだけだった。

 それでも、単にシャッターを切るだけでなく、バルブやタイマー、タイムラプスといった撮影方法に加え、加速度センサーを使ったジャンプ撮影も面白い。1つ持っておくと、さまざまな場面で遊べる楽しいツールだ。

小山安博