デジカメアイテム丼

ゼスティーシステムズ「ZGR-2」「SmartShutter」

iPhoneをデジカメの無線リモコンに。位置情報も取得

 iPhoneをデジタルカメラの“リモコン化”するデバイスのひとつとして、ゼスティーシステムズ株式会社の「ZGR-1シリーズ」(2012年8月発売)を挙げる人もいるだろう。単にケーブルレリーズの代わりになるだけでなく、iPhoneがその場で取得した位置情報を撮影画像のExifに記録してくれるなど、これまでの撮影用品にない先進的な面も話題になった。

 しかし、対応カメラがニコン一眼レフカメラのみと、他社のデジタルカメラを使っているユーザーには縁遠い製品だったのも確かだ。

 そんなゼスティーシステムズから、新しいリモコン化デバイスが発売された。ニコン用の「ZGR-2a」と「ZGR-2b」。そして、キヤノン用の「SS-C1」とキヤノン/ペンタックス用の「SS-C2」、オリンパス用の「SS-O1」、ソニー/コニカミノルタ用の「SS-S1」だ。

 今回発売された「ZGR-2シリーズ」と「SS(SmartShutter)シリーズ」には、従来のZGR-1とは大きく違う点がある。それはBluetooth 4.0を利用した無線通信ユニットとなったこと。

 ニコン一眼レフカメラ向けに販売されてきたZGR-1は、専用のiOSアプリを導入したAppleデバイスに、専用のケーブルを用いてコントロールするシステムだった。対して新製品では、iOSデバイスのBluetooth接続によるコントロールが可能となったのだ。

 対応するiOSデバイスは、iPhone 4/4S、iPod touch第5世代、iPad 3/4/mini。いずれもiOS 5.1以降が必要。

ニコン用のZGR-2bとキヤノン/ペンタックス用のSS-C2のパッケージ

 パッケージ内容をそれぞれ確認すると、ZGR-2シリーズは、接続用の通信ユニットと説明書1枚のみ。SSシリーズに関しても同様だ。

 ただ、SSシリーズにはカメラ側の接続端子に合わせたケーブルが付属する。というのも、SSシリーズに同梱の通信ユニットはどれも同じもので、カメラと接続するためのケーブル(の端子)のみが違う。

SS-C2のパッケージ内容は、説明書、通信ユニット、ケーブルとシンプル
SSシリーズに付属する通信ユニット。中央は電源ボタンだ
通信ユニットとカメラを接続するための各種ケーブル。1パッケージに1本ついている
こちらはニコン用のZGR-2b。ユニットをそのままカメラへと装着する
ニコンD90に装着してみた。電源はカメラ本体から供給される

 ニコン以外のメーカーにも対応した製品がラインナップされたことで、俄然注目される本製品。単に対応メーカーが増えたということだけではなく、無線通信に対応したという点にも注目したい。

 併売されているZGR-1シリーズは、制御するためのアプリと専用のケーブルによる有線システムであった。しかし、ZGR-2シリーズとSSシリーズはBluetoothを利用した無線システムとなっている。つまりZGR-1にあった、iPhoneとカメラをつなぐケーブルの煩わしさがないのだ。しかも、カメラからある程度離れた場所からでもレリーズできる。

 オリンパス用の「SS-O1」「OLYMPUS PEN E-P1」「iPhone 5」を利用して試用してみた感覚では、通信距離は30m程度(メーカーサイトでは、障害物なし、地上から1.2mの場合という条件で、無線通信の距離は最大60mとなっている)。これだけの通信距離があれば、三脚で固定し、集合写真といった用途にも難なく対応可能。もちろん、一般的なワイヤードレリーズの代替製品としても利用できる。ケーブル特有の煩わしさがない点は、とにかく快適だ。

オリンパス用のSS-O1を使ってみた
接続するとこんな感じ

 SSシリーズは通信ユニットとカメラを専用のケーブルで接続する必要があるため、完全なケーブルレスとはいいづらい。とはいうものの通信ユニットは軽く、ケーブルも短いため、それほど邪魔にはならなかった。

 なおZGR-2シリーズの電源は、ニコンのデジタルカメラ本体から供給される。一方SSシリーズの通信ユニットの給電には、ボタン電池(CR2032、同梱)を利用する。

ボタン電池(CR2032、同梱)を使って動かす

 ちなみに専用のiOSアプリ「SmartShutter & ZGR-2」は無料で公開されている。

 アプリをiPhoneなどの対応Appleデバイスに導入すると、自動で通信ユニットの検索が開始される。設定というのは特になく、通信ユニットをカメラに接続し、カメラの電源を入れた後、通信ユニットの「起動/リセットボタン」を押すことで、ペアリングされ、通信が確立される。

 通信が確立されたら、後の操作はiOSアプリ「SmartShutter & ZGR-2」で行なう。アプリのメイン画面には、「フォーカス」「シャッター」「ホールド」という項目が用意され、赤い○部をそれぞれの位置にスライドさせることで、シャッターを切るといった操作が可能だ。なお、カメラのシャッター速度設定をバルブにしておけば、「ホールド」を利用してバルブ撮影に対応できる。赤い○をホールド部にスライドし、任意のタイミングで戻すことでシャッターが切れる仕組みだ。

専用アプリ「SmartShutter & ZGR-2」。無料で公開されている
アプリを起動すると自動でユニットが検索されるため、難しい設定はない
「SmartShutter & ZGR-2」のメイン画面
「フォーカス」をタップすると、カメラが連動してフォーカスされる
赤い○を「シャッター」の位置にスライドすることでカメラのシャッターが切れる
カメラのシャッター設定をバルブにし、アプリの「ホールド」を利用すると、バルブ撮影が可能

 このほかにも、露光時間の設定(0〜99時間59分59秒の範囲)やインターバル撮影(撮影枚数、間隔、開始時間の設定に対応)などにも対応する。これにより、花火や滝といったシーン、微速度撮影といった撮影にも利用できるわけだ。

 また、「フォーカス」をタップし、「シャッター」へとスライドすることでフォーカスロック撮影にも対応する。ただ、フォーカスロックを行なうということは、雲台のパン棒やカメラのグリップを触っているわけで、そこまでカメラに近づいた状態であるなら、素直にカメラのシャッターボタンを操作した方が楽かもしれず、ケースバイケースということなのだろう。

メイン画面上部のタイマー部をタップすると、露出時間を設定できる
いわゆるインターバル撮影の設定項目
ユニット接続アイコン部→表示されたユニット名とタップすることで、利用している通信ユニットの基本情報が確認できる。電力状態のチェックも可能だ
複数のユニットを利用する場合は、ユニット名を変更しておくとよい

 通信ユニットとiOSデバイスを利用して無線シャッターを可能としたZGR-2シリーズとSSシリーズだが、両者はGPS関連の扱いで根本的な違いがある。

 ZGR-2シリーズはZGR-1シリーズと同様、撮影ごとにアプリが取得した位置情報を撮影画像に保存する。一方SSシリーズは、アプリから位置情報をいったん書き出し、PCなどを使って、撮影画像に位置情報を埋め込む作業が必要になる。つまり、いわゆるGPSロガー機能がアプリに搭載されていて、それを利用するわけだ。

 このZGR-2とSSの違いはカメラ側のリモコン端子の仕様によるもので、カメラ本体からの電源供給と同様、ニコン製品と他ブランド製品の違いと言い換えても良いだろう。

 なお、ログデータのフォーマットは、オーソドックスなGPX形式。メールなどを利用してPCなどに取り込み、編集ソフトを利用して埋め込むわけだ。ログデータの送り先としては、メールやiTuneのほか、Evernote、Dropboxなどが選択できる。

GPSロガー機能が利用できる
「移動の軌跡」では、日付から軌跡(GPS情報)が確認できる
軌跡表示の様子
軌跡をタップするとGPS情報が確認できる。画面右上の共有アイコンをタップすると、ログの削除やメールを使った送信が行なえる
これはおまけ機能。現在地の日の出・日の入り時刻が確認できる

 iOSデバイスを所有しており、デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラのレリーズケーブルが欲しいと思っているユーザー、あるいは位置情報を写真に付加したい人なら、検討に値する製品だろう。

飯塚直