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シルイ「S-2204-N」

畳むとフラットになるカーボン三脚

 シルイ(SIRUI)という三脚ブランドををご存知だろうか。中国で三脚や雲台の製造・加工を行なっていたメーカーで、2006年に自社ブランドをスタート。欧米、韓国、中国などで展開中という。国内では常磐写真用品が総販売元となり、1月から販売を開始している。

シルイ「S-2004-N」。3本の脚の長さ、角度、エレベーターからの距離が異なるという変わった見た目。意外にも安定感は悪くない。同じくシルイのG20とのセットは、直販価格で5万8,800円

 三脚のラインナップは多彩だ。ベーシックな「Mシリーズ」、「Nシリーズ」、「Rシリーズ」を軸に、脚部を反転して収納できる「TXシリーズ」も用意している。

 さらに特徴的なのが、今回紹介するカーボン三脚「S-2004-N」を含む「S-Nシリーズ」だ。一見してわかるのが、3本の脚それぞれの長さが異なり、しかも本体からの距離が3本とも違うというイレギュラーなもの。三脚として違和感を覚えるスタイルであり、一見するとあまりにも不安定な形状にも感じられる。

 独特なデザインの理由は、収納時に平たくするためだ。一般的な三脚は、収納時に脚がエレベーター(メーカーによってはセンターポールとも)を中心として同心円上に並ぶ。一方S-Nシリーズは、センターポールを含めて4本の円柱が一直線に並ぶ。そのおかげで「ゴロゴロ動かない」、「細長い隙間に入れやすい」、「平らな台の上に載せやすい」などのメリットが生まれる。

 脚を展開するには、本体についている赤いボタンを押し込む。すると、ロックが外れて、ボタンのついた脚以外の2本が動くようになる。それぞれをいっぱいまで回転させ、脚を開いて伸ばせば完了だ。いびつな見た目だが、ぐらつきはまったくない。

脚を縮めて畳んだ状態。各脚とエレベーターが一直線に並び、フラットになる
手前の赤いボタンを押すことでロックが外れ、脚を動かせるようになる

 特徴はまだある。最も長い脚は根本付近から外せる。外した後は、三脚本体上部から取り外したアッパーディスクを装着することで、一脚としても使用できる。

アッパーディスクとエレベーターを外した状態 ローアングル用のショートエレベーターが付属。これに付け替える
ローアングルでセッティング。開脚角度は1段階のみだ
一番長い脚が外れて一脚になる。一脚状態の全高は1,668mm、縮長は528mm

 

 変わった構造だが、カーボン三脚としてもしっかりしており、使っていて柔な印象は受けない。アルミ削り出しの本体は高級感抜群。脚部のロックナットの操作性も良い。重量は1.7kg。最大搭載荷重は15kgだ。

 フラットに収納できる三脚といえば、ベンロの「C3190T」や「A0180T」も知られている。ただし脚の開き方はシルイとベンロではかなり異なる。フラットな状態から3本の脚をそれぞれの角度に展開して開くだけベンロに対し、シルイは脚を所定の位置まで円周方向に動かしてから開かなければならない。スピーディなセッティングという意味では、ベンロの方が1枚上だ。

 ただしベンロと違い、エレベーターを上げ下げできる点が特徴。開脚角度を広げることでローアングル撮影も可能だ。エレベーターを付属のショートタイプに換える必要はあるものの、設置してしまえば一般的な三脚と同様の汎用性の高さが売りとなっている。

 常磐写真用品のSIRUI直販サイトでは、S-Nシリーズだけで全部で8モデルを選べる。今回試用した4段伸縮のS-2204-Nは、脚径28mm、全高1,230mmのシリーズ上位製品。ほかにも5段タイプの「S-2205-N」や、S-2204-Nより小型の4段三脚「S-1204-N」と、同型5段の「S-1205-N」をラインナップ。それぞれに雲台付きモデルと雲台無しモデルを用意している。

 ちなみに雲台付きモデル「S-2240-N+G20 SET」に含まれる雲台は、アルカスイス互換と思われるクイックシュープレートや、フリクションコントロールを備えたベーシックな自由雲台。三脚と同じくこちらの造りも良く、比較的軽量なレンズを装着したフルサイズ機や、APS-Cミドルクラスなら問題なく使用可能だった。

 D700+AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G EDを縦位置で取り付けると、ずりずりとレンズが下方向に傾いたが、ボール径36mm、ベース径50.5mmのの自由雲台と考えると、仕方がないところだ。なお、重いボディに配慮し、クイックシュープレートには引き起こし式の爪が設けられている。ボディ裏面の下部を爪にあてがうことで、重いレンズがお辞儀するのをある程度防ぐものだ。

 感心したのは、愛用している機内持ち込み対応のコンパクトなスーツーケースにぴったり入ったこと。いつも旅行に持っていく4段カーボン三脚も入るには入るものの、ケース内部のディバイダー(仕切り)を膨らませないと収納できない。たまたま網状で柔らかく、伸縮性の高いディバイダーなので問題なく収納しているが、よくある板状の固いディバイダーだと、収納時に一苦労していることだろう。

 それがS-2204-Nだと、何の問題もなく収納できるし、さらにその上に衣服などを重ねてもまだ余裕がある。横方向に場所をとっているため、占有体積は同じようなものだが、収納時の自由度はかなり高まったと思う。たまたまだろうが、高さといい、タイヤハウスのくぼみとの関係といい、あつらえたようにフィットすることに感動した。

普段スーツケースに押し込んでいる三脚 S-2240-Nだと深さ方向に余裕がでる
旅行用の足ひれを載せても余裕がある(実際には三脚を袋に入れて収納した)

 欠点はセッティングが面倒で、一般的な三脚より多少時間がかかる点だろう。あとは徒歩での移動時に持ちにくいことか。また、ショルダーベルト付きの豪華なキャリングケースが付属しているが、雲台を装着すると収納できない。エレベーターが分割できないのも、人によっては物足りない点だろう。

 とはいえ、一般的な三脚としての機能をしっかり残しつつ、フラットに畳めるという特殊な機能を実現。展開や収納の操作も慣れればそれほど苦にならない。今後は、たすきがけで背負うためのレッグポシェットなど、専用アクセサリーの充実にも期待したい。

石突きの中にスパイクを装備 専用キャリングケース。残念ながら雲台を装着すると収納できない


(本誌:折本幸治)

2011/5/26 00:00