ATP「フォトファインダーミニ」

小型になったGPSレシーバー

フォトファインダーミニ

 デジタルカメラと一緒に持ち歩いて、写真に位置情報を記録できるGPSレシーバーが各社から登場し、注目しているユーザーも多いだろう。撮影した写真を地図上に並べて眺めるのは、なかなか楽しいものだ。

 そこで今回は、メモリーカードなどを手がけるATPから登場した「フォトファインダーミニ」(Photo Finder mini、1万2,800円)を使ってみた。フォトファインダーミニは、ソニーの「GPS-CS3K」やハンファ・ジャパンの「ロケーションプラスA1」(Location Plus A1)などと同様に、デジタルカメラでの撮影中に携行してGPSデータを記録しておき、後ほど画像データに位置情報を記録する装置だ。

 実は、ATPのGPSレシーバーとして本機は2作目に当たる。初代の「フォトファインダー」(2008年4月発売)は、メモリーカードスロットを備え、当時としてはPCレスで位置情報をExifデータに記録できるのが画期的な製品だった。しかし、フォトファインダーはメモリカードスロットを内蔵していたため、本体がやや大きく(といっても、当時ソニーから出ていた「GPS-CS1KSP」よりやや小さいくらいだった)、筆者もさらなる小型化を期待していた。

 フォトファインダーミニはその名の通り、フォトファインダーより大幅に小型化したGPSレシーバーに仕上がった。メモリーカードスロットを本体から省き、外付けのドックに記録メディアを差し込んで位置情報を記録するという“分離・合体”方式を採用したのが大きな進化点だ。

従来モデルの「フォトファインダー」新型はだいぶ小さくなった
本体には、USBコネクタとログを記録するMMCmicroスロットを装備パッケージには128MBのMMCmicroが付属
本体横に電源スイッチがある装着例。新たにカラビナは金属製になった

 フォトファインダーのサイズは82×26×43mm(幅×奥行き×高さ)、対するフォトファインダーミニのサイズは35×60×24mm(同)で、体積は約45%減っている。電源は従来モデルは単4電池×2本だったのが、内蔵充電池(リチウムポリマー)に変わっている。充電はドック経由で行なうか、本体のみでもUSBコネクタに接続することで充電できる。動作時間は16時間。フォトファインダーは7.5~8時間(アルカリ乾電池時)だったので、倍増している。

 フォトファインダーの重量は、バッテリーとカラビナフックを含んで実測約104g。フォトファインダーミニはカラビナフックを含んで実測55gと半分近くになった。従来よりかさばらずに携帯しやすくなった印象だ。ただ、フォトファインダーミニには、従来あった液晶パネルも省略されている。そのため、単体では緯度や経度を確認することはできなくなった。測位情報のログは、本体のMMCmicroスロットに挿入したメディアに記録できる。フォトファインダーミニには、128MBのMMCmicroが付属している。

 ドックのサイズは、83.6×51×93mm(同)。フォトファインダーミニの接続部のほか、液晶パネル、操作ボタン、メモリーカードスロットを備えている。対応記録メディアは、CF、SDHC/SDメモリーカード、MMC、メモリースティックデュオだ。ドックの電源はACアダプターかUSB給電となっている。なお、ドックからはUSBケーブルが出ており、PCに接続するとカードリーダーとしても使用できる。

同梱のマルチファンクションドック側面にメモリカードスロットを搭載
背面にはPC接続用のUSBケーブルが出ている。左の端子は電源用。USBでも給電できるUSBケーブルは底面に収納可能
位置情報の書き込みは、ドックにフォトファインダーミニを装着して行なう

 フォトファインダーミニは、本体からメモリーカードスロットを省略して小型化する方向に向かった。一方、ソニーの新モデル「GPS-CS3K」(1万8,900円)は逆にメモリーカードスロット(SD系とメモリースティックデュオ系)を新たに搭載し、本体でタグ付けまでを完結させている。ちなみにGPS-CS3Kの大きさは、57×80×23mm(同)で、フォトファインダーミニより一回り大きい。

 どちらのスタイルがいいかはユーザー次第だが、少しでも小型、軽量のレシーバーを探している向きにはフォトファインダーミニがおすすめだ。CFは使用できないものの、GPS-CS3Kには、液晶パネルがあり測位中の緯度、経度と時間が表示できる。

 使い方は簡単だ。本体の電源を入れるとすぐにGPS衛星の補足を始める。衛星補足までの時間は場所や周囲の環境によって異なるが、今回はおおむね30秒程度だった。衛星を補足すると、本体のLEDの発光パターンが変化して知らせる。その間に、撮影を行なえばよい。

 撮影が終わったら位置情報を書き込む。ドックにフォトファインダーミニと記録メディアを差し込み、GPSデータのマッピングを選んで、タイムゾーンを設定すると、位置情報の書き込みが始まる。タイムゾーンはUTC(協定世界時)との時差で、日本は+9となる。

 なお、今回「EOS 5D Mark II」のRAWファイルでも位置情報の書き込みを試してみたが、書き込めるファイルが無いとの表示が出て、書き込めなかった。

GPSデータのマッピング画面タイムゾーンを設定する
位置情報の書き込みが終わると、正常に書き込めた枚数を表示終了すると、メモリーカードを取り外せる表示が出る
KMLの作成画面を表示したところKMLファイル生成中の画面
KMLファイルが完成したところGoogle Earthに写真とKML(赤線)を表示させたところ。写真の位置はほぼ合っているが、軌跡は若干ずれがあった。このあたりは誤差による部分。

 今回は、Google Earthを使用して写真を表示させてみた。まず、写真管理ソフトの「Picasa3」をダウンロードして画像を読み込む。Picasa3のメニューから「Google Earthで表示」を選ぶとGoogle Earthに写真がマッピングされる。こうしたGPSユニットには誤差がつきもので、ぴったり位置が合っているものがある一方で、数十m程ずれているものもあった。

 さらにドックでは、Google Earthで移動した軌跡を表示するためのKMLファイルを生成する機能も搭載している。こちらも、ドックの液晶パネルでKMLファイルの作成を選択する。軌跡を表示させるには、KMLファイルをGoogle Earthにドロップするだけでよい。軌跡表示も誤差のためジグザグに表示される部分もあった。

 位置情報の付加とKMLファイルの生成という機能に絞ったモデルだが、PCでの煩わしいタグ付け作業が不要なため、ドックで位置情報を書き込んだ後すぐPCに取り込んで地図ソフトに表示でき大変便利だ。小型でシンプルなGPSレシーバーを探している人は検討してみるのも良いと思う。



(本誌:武石修)

2009/6/11 12:31