フォトアプリガイド

Lento(Android)

不便なところに惹かれる? スローライフなカメラアプリ

演奏記号のひとつに、“緩やかに、ゆっくりと”を意味する「Lento」というものがある。今回紹介するカメラアプリ「Lento」は、まさにそのLentoから名を取ったアプリだ。いわゆる“レトロ調”を意識したカメラアプリであり、レトロ感のある“ゆっくり”とした撮影に向いている。

価格は無料。利用バージョンは0.8.5。

昨今配信されているカメラアプリというのは、撮影はもちろんのこと、エフェクトの後加工に対応するものがほとんどだ。一部、撮影専用、加工専用のアプリもあるが、大きな流れとしては両対応が主流だ。

そういった意味で、「Lento」というカメラアプリは“古くさい”。なにせ、後加工に対応せず、撮影専用アプリでありながらインタフェースがこなれていないからだ。

起動して表示されるのは「Shot」「Auto Focus」「Menu」の3つ。

使い方としては、「Auto Focus」アイコンをタップしてピントを合わせて、「Shot」でシャッターを切る。一般的なカメラアプリと異なり、実に面倒だ。

「Menu」をタップすると、本アプリの設定である「Config」にアクセスできる。アイコンが並んでいるものの、撮影に必要な設定は「Config」のみ。

ちなみに、画面右上に表示された「メニュー」アイコンをタップしても、各種アイコンを表示できる。

「Menu」には、エフェクトである「Color」や比率変更用の「Aspect Ratio」があるが、本アプリを使うなら、まず「Shot after AF」にチェックを入れて、本機能をオンにしておきたい。

本アプリは「Auto Focus」→「Shot」で撮影するわけだが、「Shot after AF」を有効にすることで、「Auto Focus」をタップ後、即シャッターが切れるようになる。

「Color」をタップすると「Color Mode」ウィンドが表示される。実はここが、本アプリの“キモ”たる部分だ。

選べるのはモノクロ2種類とセピア、カラーエフェクト3種類という計6種類。エフェクトを切り替える度に本モードにアクセスしなければならないため、アクセス性は悪い。選べるエフェクトも少ない。

「Aspect Ratio Mode」では、通常比と「1:1」の2種類(端末により異なる)を切り替えられる。

「1:1」に設定しておけば、いわゆる“真四角”写真が撮れる。こちらも切り替えは少々面倒。

「Shot」をタップすると、選択した「Color」や「Aspect Ratio」に合わせた写真ができあがる。

「Save」をタップして保存するか、「Share」をタップしてメール添付、アプリへの共有を行おう。

ちなみに、「Menu」-「Gallery」とタップすると、本アプリで撮影した写真が一覧で表示される。タップして撮影を見直すのに利用できるだろう。

さて、「Lento」の最終アップデートは2012年11月18日と、すでに1年近くアップデートが行われていない。従って最新のアプリを求める人には、物足りなさを感じることだろう。筆者も初めはそう思っていた。しかし使ってみると、この“不慣れ”な部分も含めて面白い。

モード切り替えの不便さから、基本的にはモードは固定になるし、AFが遅くて速写性に乏しいが、撮るまでどんな写真になるかわからないというドキドキが懐かしい。

また、本アプリを「1:1」のモノクロ専用アプリとして使うのも面白い。無料アプリなので、そういった割り切った使い方にも対応できる。

アプリの説明文で「Lentoは、ちょっとクセのあるトイカメラアプリです」となっているが、使い勝手の悪さをクセとするならば、まさに説明通り。しかし、そんな部分も含めて、昨今のカメラアプリにはない面白さが本アプリにはある。無料で公開されているので、試してみてはいかがだろうか。

飯塚直