インタビュー

CEOと創業メンバーの開発者に聞いた「Eyefiクラウド」の魅力

家族愛も届けた写真管理サービス

 7月15日、アイファイジャパンが新しいクラウドサービス「Eyefiクラウド」の日本語対応を発表した。翌16日、Eyefi本社CEOと創業者兼開発者のお二人にインタビューする機会を得たので、その魅力と今後の可能性についてお話を伺った。

左から創業者兼開発者のBerend Ozceri氏、Eyefi CEOのMatt DiMaria氏、今回の通訳をつとめていただいたアイファイジャパン代表取締役の田中大祐氏(文中敬称略)

 Eyefiクラウドは無線LAN対応SDカード「Eyefi Mobi」(および2013年発売のEye-Fi mobi)ユーザー向けに提供するもので、カメラから転送された撮影画像をアプリ経由でクラウドへ自動アップロードし、全デバイスでその画像を閲覧・整理できるよう自動配信するという新サービスだ。年5,000円で、購入者は90日間の無料体験が可能。

 インタビュー中、自身のiPhoneを示して「これで娘の写真をいつでもどこでも見ていられる」と語るBerend氏の表情には、Eyefiクラウドの意義や目指すところが垣間見えた。

現在のEyefi概況

――Eyefiクラウドに対して、リリース後の反響はどうですか?

Matt:先行しているアメリカでの販売は好調です。カード購入者の1/3以上が転送機能だけでなく、クラウドサービスも使ってくれています。課金については、アメリカもちょうど7月15日に(インタビューは7月16日に行なった)90日のトライアル期間が終わり、アプリにも支払い機能をちょうど追加したところです。以降もクラウドサービスを使い続けるユーザーが増えてくれればと願っています。

 現在はクラウドサービスの全世界展開に注力しており、2カ国目となる日本に続き、残りの販売地域でも9月中頃にかけて順次展開していく予定です。

――スマホユーザーを意識した「mobi」の発売以来、ユーザー層に変化はありましたか?

Matt:mobiは2013年に発売して、ちょうど1年になります。これまでEyefiはどちらかというとアーリーアダプター(いわゆる新し物好き)に向けていましたが、Eyefi Mobiのターゲットには「写真好き」のカテゴリに属するユーザーも含まれます。カメラの高画質写真をスマートフォンに送れるソリューションで、新ユーザーを獲得できたと思っています。

 Eyefiのユーザーは特にスマートフォンとタブレットなど、複数の端末を使っているケースが多いので、Eyefiソリューションの延長として「クラウド同期」を提供するのは自然な流れでした。

Eyefiクラウドの開始と同時に、ブランドイメージを一新。ハードウェアとしては同じだが、左の新しいデザインに切り替わった

――最初に「Eye-Fiカード」を企画したとき、ここまで携帯電話がえらくなると予想していましたか?

Berend:Eyefiを始めた2005年を振り返ると、携帯電話の進化に限らず想像もしていなかったことがいろいろと起きました。例えば、カメラに「Eyefiメニュー」が増えることも予想していませんでした(笑)。

 もちろんフィーチャーフォンの時代に、まさか携帯電話が小さなコンピュータのように進化することも想像できませんでした。いろんなデバイスに通信機能が付いて、インターネットも普及しました。Eyefiは、カメラとスマートフォンの間にあった画像転送というギャップを埋めたと思っています。

 個人的なケースですが、私の1歳半になる娘の写真を妻が撮ってくれると、日本を訪れている私のスマートフォンでもそれが見られます。こんなことがクラウドサービスで実現するのも、もちろん2005年には想像していませんでした。

製品やサービスの開発について

――開発で苦労のある点はどこですか?

Berend:これはEyefiの宿命だと思いますが、すべてのプラットフォームに対応しなければならないのです。iOSとAndroidだけでなく、カメラやEyefiカード内のファームウェア、スマートデバイスのアプリ、クラウドといった全ての要素技術をカバーしなければなりません。本来はバラバラである技術をひとつのソリューションになるよう工夫して組み合わせるのは大変です。

 特にクラウドで気を使ったのは、ユーザーはファイルサイズの大きな高画質写真を撮るので、それをどれだけストレスなくクラウドにアップロードして、いろんなデバイスに配信するかです。配信先のデバイスの容量を圧迫しないように、また通信プランに含まれるデータ転送量を使いすぎないようにしつつ、どう不便なく使ってもらえるか、苦心しました。

iPhone(左)やAndroidスマートフォン(右)、Webブラウザ(下)からも利用できる

――カメラメーカーとはどのような調整を行なっていますか?

Matt:各カメラメーカーとは、現状の製品やサービスの動作に問題がないかを確認しています。将来のコラボレーションの可能性を探るなど、新製品の情報は必ずシェアしつつ、メーカー側の要求をヒアリングして合わせていきます。

――API連携について詳しく教えてください

Berend:Eyefiクラウドは、API経由で全ての写真、アルバム、タグにアクセスできます。昨日の発表イベントでも、「IFTTT」(イフト。対応するWebサービス同士の連携を“レシピ”で指示できる)とEyefiクラウドのショーケースを披露しました。デベロッパーがEyefiクラウドを使ってできることや、写真サービスに関する想像力をかきたてる意味合いで紹介しました。

 APIはクラウドから画像を引き出したり置いたりできる設計になっているので、Eyefiクラウドの写真を使ってフォトブックやプリントを注文することも可能です。ただ、どちらかというとAPIで“場”を提供して、それに基づいてクリエイティブな開発者が機能を考えて、Eyefiの提案より新しいものを作っていってもらえるような方向性を考えています。

 スマートフォンやタブレットがそうであるように、撮影デバイスから直接アップロードすることも、APIで実現可能です。スマートデバイスを介さず、例えばAPIを組み込んだ無線LAN対応のデジタルカメラからEyefiクラウドへの直接アップロードも、技術的に可能なよう設計されています。

――サーバーの負荷対策など、特に気をつけている点はありますか?

Berend:落ちにくさを意識したパブリックなデータセンターと、ユーザーデータのセキュリティを意識したプライベートな自前サーバーを、ハイブリッドで使っています。システムがダウンすることがないよう、その使い分けに工夫があります。データは全て暗号化通信を行なっています。

――ご自身やEyefiスタッフの経験が反映された機能はありますか?

Berend:Eyefiの従業員はみんな写真好きです。マウンテンビュー(米国カリフォルニア州)のオフィスでは、スタッフが撮影した写真をパネル大にプリントして壁に飾っています。みな写真への強い情熱があり、Eyefiの全機能は自分たちが不便と感じたことをひとつひとつ解決してきたものです。

 私個人としては、1年半前に娘が生まれて、いつでも娘の写真を見ていたいんです。それが飛行機の中などインターネットに繋がらない状況で見られないのは寂しいので、Eyefiクラウドの同期機能によりオフラインでも写真を見られるというのは価値があることです。

Berend氏は開発者でありながら、Eyefiクラウドの恩恵を最も受けているユーザーの一人と言えるだろう

今後の可能性

――追加機能の要望など、どう順位をつけていますか?

Matt:要望の中には、簡単に実現できる機能もあれば、そうでもないものもあります。それには毎日のように議論を重ねて、小さい会社ながら取り組んでいます。今朝もBerendさんと議論をしてきたところです。

 Eyefiクラウドはトータルソリューションのサービスです。クラウドサービスは、ハードウェア(Eyefiカード)では難しい“お試し機能”のリアクションを見ることもでき、どんどん変えていけるのです。

――アプリ上で、画像のExifデータや位置情報も見たいです。

Berend:メタデータ自体は各デバイスのアプリにも全て同期しています。いまはまだ見る術がありませんが、機能追加で見られるようにできます。

――従来のEye-Fi X2カードはどうなりますか?

Matt:X2も別ラインとしてサポートし続けます。RAWファイルのスマートフォン転送も、Eye-Fi Pro X2カードと従来のEye-Fiアプリでは実現しています。

――デバイスへの同期に用いられるリサイズ画像は、どのぐらいのサイズですか?

Berend:クラウドにはオリジナルサイズの画像が置かれ、デバイス同期用に長辺2,048ピクセル、長辺1,280ピクセル、長辺640ピクセルのものをそれぞれ生成します。Retinaディスプレイ搭載のデバイスには、基本的に長辺2,048ピクセルのものを表示します。

 長辺640ピクセルの画像は、アプリ内のサムネイル表示に利用しています。このおかげで、スピーディな画像閲覧が可能になっています。

iPadでの利用イメージ

 補足すると、カメラからEyefi Mobiアプリに画像を転送した時点ではオリジナルサイズですが、Eyefiクラウドへの自動アップロード後も、そのデバイスの空き容量が減ったことをアプリが検知するまでは、オリジナルサイズを残しておくようになっています。そのタイミングは現時点では自動ですが、要望があればオン/オフ可能にすることもできるかと思います。

――Eyefiクラウドの「ここを試してほしい!」というイチオシポイントがあれば教えてください。

Matt:Eyefiクラウド最大の“マジック”は、全デバイスへの画像同期です。お手持ちの複数デバイスにアプリをインストールして、ぜひ多くの方に経験してほしいです。

 もうひとつ、現在ではいろんなカメラにEyefi連動機能が搭載されているので、一度お使いのカメラの機能を確認してみてください。それがクラウドとの連携をもっと楽にします。一緒に試してみてください。

Berend:すでに1年前からEye-Fi mobiをお使いの方でも、新アプリにカードを再登録すれば90日間は無料でEyefiクラウドの全機能を体験できます。ぜひ、新しいクラウド機能を試してみてください。

新パッケージ・新デザインのEyefi mobiは7月18日発売。価格は容量により税込4,980円〜9,980円(8GB/16GB/32GBを用意)

(本誌:鈴木誠)