フォトアプリガイド
iOS 8.1の写真機能をチェック
カメラロール復活!新機能「iCloudフォトライブラリ機能」とは?
飯塚直(2014/10/24 08:00)
アップルは10月21、iOSの最新版となる「iOS 8.1」の配信を開始した。9月17日に配信された「iOS 8.0」から数えて3回目のアップデートとなる今回は、新機能の追加、機能改善、バグ修正など内容は多岐にわたる。特に注目したいのが、「写真」アプリの強化・修正部分だ。
更新時の「詳しい情報」によると、“写真”Appの新機能、機能改善、修正として下記の3箇所に手が入れられている。
- iCloudフォトライブラリをベータサービスとして追加
- “写真”Appに“カメラロール”アルバムおよび“自分のフォトストリーム”アルバムを追加(iCloudフォトライブラリを使用していないとき)
- タイムラプスビデオの撮影時に空き容量が少ないときは事前に通知を表示
iOS 7からiOS 8へのメジャーアップグレードの際では、「カメラ」と「写真」アプリの両方に機能的な変化があった。例えば「カメラ」なら、撮影時の露出変更やタイマー機能の追加であり、「写真」なら編集機能の機能改善や他カメラアプリとの連携などだ。詳しくは別記事を参照いただきたい(「iPhone 6 Plus実写レビュー」、「iOS8のカメラ・写真機能をチェック!」)。
今回のアップデートは、全体の内容的には多くの修正が加えられているが、基本的にはマイナーアップデートであり、バグの修正が目立つ。しかし、ことカメラ関連の機能としては、内容的に改善・追加となる。
今回の内容で注目すべきは、ベータサービスとして追加されたiCloudフォトライブラリ機能。これは、「設定」-「写真とカメラ」から機能を有効にして利用できるもので、端末内の写真データをすべてiCloud上(自動アップロード)に保存し、共通するApple IDを利用した他のiOSデバイス、またはWebを利用して閲覧・ダウンロードできるというものだ。
なお、「iPhoneストレージを最適化」機能を利用すると、iCloudフォトライブラリにアップロードされたオリジナル画像とは別に、端末側には最適解像度の軽量画像を残して端末容量を軽くするといったこともできる。
また、iCloudフォトライブラリ機能を利用しない場合は、「写真」アプリの「アルバム」に「カメラロール」および「自分のフォトストリーム」が追加されるようになった。
iCloudフォトライブラリをオンにすると、アルバムにあった「カメラロール」と「自分のフォトストリーム」が消え、「すべての写真」に切り替わる。
ちなみに、一見すると同じような機能に思える(サーバにアップして閲覧するという意味)iCloudフォトライブラリと「フォトストリーム」だが、画像の保存という意味では大きな違いがある。
まず、従来からある「フォトストリーム」だが、Wi-Fi接続をトリガーに自動で新しい画像データをアップロードし、同じApple IDを利用する他の端末(iPadなど)にダウンロードするという特徴がある。最大保存枚数は1,000枚で、期間は30日。常に新しい画像がアップロードされ、古い画像が削除されるといったように入れ替わるわけだ。
一方のiCloudフォトライブラリは、Apple IDに紐付けられた「ストレージ」(オンラインストレージ)にアップロードした画像や動画が保存されるため、端末の容量を圧迫することはない。ただし、無料で使えるのは5GBまで。アプリのユーザーデータのバックアップほか、所有している他端末も共通なので、場合によっては少なく感じることもあるだろう。そういった場合は、ストレージアップブレード(20GB:月額100円、200GB:月額400円、500GB:月額1,200円、1TB:月額2,400円)も考えたい。
他のデバイス、またはパソコン(ウェブ)からアップロードした画像・動画(iCloudフォトライブラリのみ)を閲覧できるという点では変わらないが、データの保存先として、「フォトストリーム」は端末、iCloudフォトライブラリはオンラインストレージという特徴を把握しておきたい。
またiCloudフォトライブラリと同種のサービスとして思い浮かぶEyefiクラウドだが、画像を“まとめて”クラウド上で管理するという点は一緒だが、オリジナルデータはクラウド、最適化されたデータを端末にというルールがある。iCloudフォトライブラリは選択できるので、そのへんが違いといえるだろう。
価格的な話をすると、Eyefiクラウドは1年間5,000円の年間サービス。月額にすれば約417円なので、ワンコインで収まるのだが、iCloudフォトライブラリは無料の5GBを使用するので、そういった意味では割高に感じるかもしれない。しかし、Eyefiクラウドでは容量の制限がないため、写真をどれだけ撮るかが、サービス選びのポイントといえるだろう。
iCloudフォトライブラリを使ってみてまず思うのは、機能を有効化するとすぐに画像のアップロードが開始されるので、溜め込んだ写真や動画の量によっては、無料の範囲では収まらないことが考えられる。予め取捨できる環境があると良いように思う。
また、端末の容量を圧迫しなくなったぶん、共通のストレージを今度は圧迫するようになった。複数端末を使っている場合は、バックアップ内容を考慮しつつ、ストレージアップブレードを利用することになりそうだ。使い勝手という点では、動画のアップロードにも対応しており、「フォトストリーム」よりも改善されている印象。保存期間などもないので、ストレージ容量が許す限り、いつでも昔の画像を見られるというのは歓迎したい。
今のところ、iCloudフォトライブラリと「フォトストリーム」は好きなサービスを切り替えて利用できるので、自分のスタイルに合わせて選んでみよう(ちなみに初期状態ではiCloudフォトライブラリはオフになっている)。
個人的には今のところバックアップ容量の関係もあって、iCloudフォトライブラリをオフにしているが、将来的には積極的に使っていきたいとも思う。そうするとEyefiクラウドとの棲み分けが難しくなりそうだが。
今回のアップデートでは、従来ユーザーの不満点として挙げられていた「カメラロール」の復活、そして新たなサービスとして発表されていたiCloudフォトライブラリ(ベータサービス)の実装など、使い勝手に直結する部分に変更がみられた。また、タイムラプス撮影時の容量不足警告など細かな点も改良されており、小容量モデルを利用している人には痒いところに手の届くアップデートだったといえそうだ。