写真展

中筋純写真展「The Street View. −Chernobyl to Fukushima−」

(ニコンサロン)

「二年経て 浪江の町を散歩する Googleストリートビューを駆使して」(三原由起子)

これは、福島県浜通り、浪江町出身の女流歌人が詠んだ短歌の一首である。原発事故でふるさとが無機質なバリケードで囲われ、帰省という行為が強制的にスマートフォンの小さな液晶パネルというバーチャルな空間に閉じ込められる。つのる思い出に、湧き上がる悔しさ、もどかしさ、やるせなさ……。

その歌を思い出しながら、作者は無人となった浜通りの街々の写真をここ数年撮り続けてきた。車窓を流れるストリートビューは、悲喜こもごものロードムービーだ。故郷を愛した人々の記憶、太古からの歴史を刻んだ大地の記憶が変幻する。「地球の傷」を癒やすかのように湧き上がる緑の胎動に未来への僅かな光を作者は感じるものの、うずたかき「汚染物」なる黒いフレコンバッグに、いまだ必死に抗おうとする人間のおろかな現実を垣間見る。

来年は福島原発事故5年、チェルノブイリ事故30年を迎える。

25年と8,500キロを隔てた両地で、人類を震撼させた原発事故は発生した。核を封印した地球46億年の記憶を望まずして覚醒させた原発事故という災禍は、人智を超越した奇妙な光景を作り出す。「失楽園」から見える静かなるメッセージを私たちはどうキャッチしていくべきなのか……。沈黙の大地と静寂の街角が語りかける。

銀座ニコンサロン 2016年2月 − 写真展 − ニコンサロン|ニコンイメージング

会場・スケジュールなど

  • ・会場:銀座ニコンサロン
  • ・住所:東京都中央区銀座7-10-1STRATA GINZA(ストラータ ギンザ)1・2階
  • ・会期:2016年2月3日水曜日〜2016年2月16日火曜日
  • ・時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

作者プロフィール

1966年和歌山県生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業後、出版社勤務を経て中筋写真事務所を設立。雑誌、広告撮影と並行して日本の産業遺構を撮影。2007年に訪問したチェルノブイリ原発に衝撃を受け、その後数々の作品を発表。11年以降、福島県浜通り地区の移り変わる姿を記録し続けている。

個展に、09年「黙示録 チェルノブイリ」(キヤノンギャラリー銀座、梅田、名古屋、福岡、仙台、札幌)、11年「黙示録チェルノブイリ 再生の春」(新宿ニコンサロン)、12年「チェルノブイリ曼荼羅」(経王寺/牛込)、14年「流転 Abandoned but glowing」(キヤノンギャラリー銀座、名古屋、福岡)、同年「流転 チェルノブイリ」(早稲田奉仕園)、15年「流転 福島」(新宿駅西口プロムナード・ギャラリー)がある。

著書に、『廃墟チェルノブイリ Revelations of Chernobyl』(二見書房)、『チェルノブイリ 春』(二見書房)、『流転 チェルノブイリ 2007−2014』(二見書房)、『流転 緑の廃墟』(アスペクト)、共著に『廃墟、その光と陰』(東邦出版)などがある。