イベントレポート

SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Artのポートレートワークショップレポート

塙真一さんが85mmレンズの使いこなしを伝授 シャープな描写と良好なボケを楽しむ

SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art

株式会社シグマはこの度、「SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art ポートレートワークショップ」を開催した。ここではその模様をお伝えする。

SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Artは、同社が11月17日に発売した一眼レフカメラ用の新レンズだ。ポートレートレンズといわれる大口径中望遠レンズのArtシリーズ版ということでフォトキナ2016での発表以来注目されている。

今回のワークショップは写真家の塙真一さんを講師に迎え、撮影実習と講評会を通して作品のレベルアップと新レンズの体験をしてもらおうという趣旨だ。

同社ではこれまでにもレンズの体験会やワークショップを開いてはいたが、今回のように撮影実習と講評会を別の日に設定したのは初めての試み。これによって、講評会に提出する作品を撮影後にじっくり選ぶことができるようになっている。

全身を入れても背景を大きくぼかせるのが85mm

撮影実習は、11月26日に府中市の多磨霊園駅近くにあるハウススタジオ「Studio iG」で開催された。午前と午後の部に分かれており(各部同一内容)、時間は各2時間。取材に訪れた午後の部は定員10名の所、欠席者が2名おり8名での開催となった。

Studio iG

参加者が持参したカメラに合わせたマウントの85mm F1.4 DG HSM | Artが貸し出された。また、Artシリーズを中心とした他のレンズやsd Quattroも用意され、希望すればそれらを借りることもできた。

Artシリーズを中心とする貸し出し用のレンズが並んでいた
同社のミラーレスカメラsd Quattroも試せる
シグマの最新レンズの1つ12-24mm F4 DG HSM | Artも用意された

午後の部は半数がシグマ製のカメラユーザーで、残りの半数がキヤノン、ニコン、ソニーのユーザー。やはり新しい85mmレンズに興味があるようで、ほとんどの参加者が85mm1本で終始撮影していた。

冒頭で塙さんから85mmレンズの特徴や絵作りのコツなどがレクチャーされた。

「85mmはアップを狙うレンズと考えられがちだが、離れて全身を撮るのに向くレンズと考えている。例えば35mmレンズで全身を撮ると背景がうるさくなるが、85mmなら背景を大きくボカすことができる。背景との関係で広角レンズと使い分けるとよい」。

塙真一さん

手だけをアップにするといった場合でも背景のコントロールがしやすいことや、焦点距離の短いレンズに比べてパースが付きにくいメリットもあるとのこと。

ワークショップのモデルを務めた矢沢なりさん(左)とnicoさん(右)
撮影の最初は、塙さんが手本となる作例を示してわかりやすく解説した

大きなボケで被写体が浮き立つ描写

今回、筆者も85mm F1.4 DG HSM | Artを借りて撮影を行ってみた。いずれも絞り開放で撮っているが、アップではまつげの1本1本がシャープに写っていた。また、前後のボケ味もとても良好と感じた。

※拡大画像は長辺800ピクセルにリサイズしています。

全身を縦位置で収めるためにモデルから数m離れた位置から撮影したが、背景の窓をほどよくぼかすことができた。

EOS 5D Mark II / 85mm F1.4 DG HSM | Art / 1/400秒 / F1.4 / ISO800 / マニュアル

こちらも同様に全身を収めたショット。背景から自然に浮き出るような描写になった。

EOS 5D Mark II / 85mm F1.4 DG HSM | Art / 1/320秒 / F1.4 / ISO800 / マニュアル

ウエストアップ。背景の本棚が大きくボケたことで人物を目立たせることができた。

EOS 5D Mark II / 85mm F1.4 DG HSM | Art / 1/400秒 / F1.4 / ISO400 / マニュアル

バストアップでは、まつげ1本1本までしっかり写っていた。

EOS 5D Mark II / 85mm F1.4 DG HSM | Art / 1/250秒 / F1.4 / ISO400 / マニュアル

「テーブルの上の花瓶の位置を動かすことで、前ボケをコントロールできる」という塙さんのアドバイスを実践。これは花瓶をモデルの近くに置いたところ。

EOS 5D Mark II / 85mm F1.4 DG HSM | Art / 1/400秒 / F1.4 / ISO400 / マニュアル

一方、花瓶をカメラの近くまで動かすと、大きな前ボケを作ることができた。

EOS 5D Mark II / 85mm F1.4 DG HSM | Art / 1/400秒 / F1.4 / ISO400 / マニュアル

アップでは瞳にピントがしっかり来ていた。服のファーが柔らかくボケており良い雰囲気となった。

EOS 5D Mark II / 85mm F1.4 DG HSM | Art / 1/400秒 / F1.4 / ISO400 / マニュアル

これも塙さんの提案による鏡を活用したカット。85mmを絞り開放で撮ったため、モデルの後ろ姿が大きな前ボケになり立体感が生まれた。

EOS 5D Mark II / 85mm F1.4 DG HSM | Art / 1/320秒 / F1.4 / ISO800 / マニュアル

講師やシグマスタッフに直接質問ができるのもメリット

ワークショップでは基本的な撮り方を塙さんがレクチャーし、各自が1~2分毎に交代しながら自由に撮影を行った。背景や小物を工夫したり、ポーズの指示を出すなどモデル撮影に慣れた参加者がいた一方、モデル撮影は今回が初めてという参加者も見られた。

参加者は塙さんに撮り方を聞いたり、シグマの担当者に製品について質問したりしながら、終始和やかな雰囲気で進んだ。こうしたコミュニケーションができるのもこうしたイベントならではのことだろう。

参加者はこの後、12月8日に開催される作品講評会(第2部)に作品3点をプリントした上で参加し、講師とモデルから講評を受ける予定となっている。