デジタルカメラマガジン

「ハイポジション」と「ローポジション」で印象的な写真に!

写真表現における様々な“High”と“Low”のテクニックを披露 3月号特集より

2月20日発売の最新刊「デジタルカメラマガジン2016年3月号」の特集は、「写真はHigh&Low いつもよりカッコ良くなる 撮影+レタッチテクニック」です。人気写真家が写真表現における様々な“High”と“Low”のテクニックを披露。ここではその中からハイポジションとローポジションについて採り上げます。

「写真はHigh&Low いつもよりカッコ良くなる 撮影+レタッチテクニック」では、HighとLowをキーワードに、アングル、露出、コントラストなどを工夫して印象的な写真の撮り方に迫ります

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ハイポジション」と「ローポジション」の基本テクニック

(写真・文:中原一雄)

立ったままの目の高さと同じアイレベルで撮影した写真は、安心感は出るが面白みのないものになってしまう恐れがある。ハイポジションの撮影は俯瞰的な視点での撮影となるため空間の広がりを表現しやすく、写真に客観性が増してくる。

一方、ローポジションは地面が近くなるため、臨場感を表現しやすく主観的な要素が増してくる。非日常の視点のため意外性も出しやすい。撮影ポジションの効果は遠近両方に被写体があるシーンで効果を感じやすい。

ハイポジションとローポジションの効果の違い

FLAT
ハイポジション
手を伸ばしてわずか50cmほど高い位置から撮っただけで、柵の奥に水面が見えるようになり広々としたイメージが作れた
ローポジション
地面から20cmほどの高さから撮影。自分が小人にでもなったような新鮮な視点で景色をとらえられた

ハイポジションに適したシーン

  • 人混みの中で混雑を表現
  • 奥行きを強調する風景

ローポジションに適したシーン

  • 水面への映り込みを立体的に
  • 雑踏の中で足元をとらえる
  • 小さな花をアップで見せる
  • 視線を合わせた子どもやペット
ポジションの調整には可動式のEVFが便利
外付けのEVFがあると、ポジションの変更が楽に行える。また、広角〜標準レンズとの相性が良い。撮影時のポイントは遠近両方の被写体を対比させることを考えながらポジションを決めることだ。遠景だけのシーンでは特にハイポジションでは違いを感じにくくなる

ハイポジション:前ボケを使ってのぞきの効果を高める

(写真・文:鶴巻育子)

夕方の駅のホーム。線路を跨ぐ陸橋から撮影した。スマートフォンを見ながら電車を待つ女性を金網越しに狙い、そっとのぞいているような雰囲気を出している
キヤノンEOS M3/EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM/45mm(72mm相当)/絞り優先AE(F6.3、1/250秒、-0.7EV)/ISO 200/WB:くもり

カメラの位置をアイレベルよりさらに高い位置、ハイポジションにすると、見渡しているような雰囲気が出る。のぞいているような表現になり、被写体のフォルムやラインが強調されるのも特徴だ。

上の写真は陸橋からホームで電車を待つ人物を撮影したものだが、手を上に伸ばしたかなり高い位置からほぼ俯瞰で撮影している。ハイポジションから狙う場合は、チルト式の背面液晶モニターで確認できるカメラが圧倒的に有利だ。

ハイポジションでの撮影は、写真全体に地面が写る割合が多くなるため、平面的になりやすい。そのため、手前にある金網をあえて入れて前ボケを作ると、立体感が出る。前ボケを入れることで、そっと上からのぞいているような写真になった。

金網に近づけば、大きくぼける前ボケを作ることができる。明るいレンズの場合は開放F値で近づきすぎると、ぼけすぎてしまい、ディテールが失われてしまうこともあるので注意が必要だ。夕方の時間でちょうど金網に太陽が当たり、暗いホームの地面と重なったことで、存在感が増してくれたのは良かった。

【ポイント】金網にぎりぎりまで近づいて大きな前ボケを作る
金網に接近:ボケを作るにはF値が明るい単焦点レンズが有利。しかしハイポジションでの撮影には便利なズームレンズが良い。F値が明るくないレンズで前ボケを作る場合には、ぼかす被写体に近づくこと
金網から離れる:金網の隙間から空き缶にピントを合わせた。接近すると金網はぼけて、離れるとぼけずにはっきりと見えてしまう

ローポジション:被写体に近接して遠近感と勢いを表現する

(写真・文:佐々木啓太)

地面すれすれのローポジションで駐車場のプレートにピントを合わせた。プレートの凹凸模様がデフォルメされて、遠近感が強調された
オリンパスOM-D E-M10/M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO/8mm(16mm相当)/絞り優先AE(F2.8、1/4,000秒、-0.7EV)/ISO 200/WB:オート/アートフィルター:クロスプロセスII

ローポジションで撮影すると、見慣れた街が不思議な光景になる。また、魚眼レンズを使うと風景に広がりが出るので、いつも見ている街角に不思議な雰囲気や勢いのような迫力が加わる。

上の写真のようにどこにでもある駐車場でも特別な風景のように感じられるのだ。魚眼レンズはもともと最短撮影距離が短いレンズが多く、主要被写体に近づいて独特の歪みを強調する表現でよく使われる。

そういった意味ではローポジションと相性が良い。地面すれすれのローポジションにレンズを構えて、ピントはプレートに合わせている。このような苦しい体勢での撮影には可動式の背面液晶モニターが役に立つ。

一般的に魚眼レンズは被写界深度が深いので、背景をぼかしたい場合はなるべくF値は明るく設定したい。ここでは開
放から少し絞ったF2.8にしたが、背景の車との距離が離れているので大きくぼけた。

背景のボケがさらに凹凸模様のデフォルメを目立たせている。ちなみに、この非日常的なイメージを強調するために、クロスプロセスのフィルターをかけた。

【ポイント】魚眼レンズを使用してデフォルメを強調
16mm相当の魚眼レンズ:焦点距離が広角であればあるほど、パースは強くなるので、被写体をデフォルメする効果が強くなる。また、広角レンズは周囲に向かってパースが強くなるので、画面の端にデフォルメしたい被写体を配置すると良い
24mm相当の広角レンズ:24mm相当で撮影すると近づいた主要被写体がアップになるだけで、ローポジション独特の勢いのような迫力は弱くなる

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デジタルカメラマガジン
2016年3月号

(デジカメWatch編集部)