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パナソニック「LUMIX GX8」発表会レポート

Dual I.S.の仕組みは?ハービー・山口氏も登場

パナソニックは7月16日、ミラーレスカメラの新モデル「LUMIX DMC-GX8」の発表会を都内で開催した。ここではその模様をお伝えする。

背面モニターの裏側にもラバーを貼っているのは珍しい
チルト式EVFも継承

本機の詳細は「パナソニック、“レンズ内+ボディ内”手ブレ補正の『LUMIX GX8』」を参照して頂きたいが、大きな特徴として、世界で初めてレンズとボディの双方で手ブレ補正を行う「Dual I.S.」を搭載しているのが特徴。

これまでのデジタルカメラでは、レンズまたはボディのどちらかで手ブレを補正していたが、GX8では両方の補正機構を併用することで手ブレ補正の性能を高めた。

Dual I.S.の仕組み
加振台での比較。1/2秒で右のGX8はブレていないが、左のDMC-GX7はブレている

Dual I.S.は、従来では補正しきれなかった大きな角度のブレも補正できるのがメリット。GX8ではブレは主にレンズ側で補正を行うが、レンズ側で補正できる限界を超えたブレについては、撮像素子側をシフトすることで補正が可能になった。「乗り物など地面が揺れているような場合やスローシャッターで効果が大きい」(同社)とする。補正角は従来比3.5倍に拡大した。

従来三脚が必要だった1/10秒といったスローシャッターが手持ちで撮れるとする
Dual I.S.の対応レンズ。一部はファームアップが必要となる

レンズのジャイロセンサーでヨーとピッチ、ボディの加速度センサーでX/Yのシフトブレを検出して、レンズとボディに最適な補正を行う。

なおパナソニックはCIPA準拠の手ブレ補正段数を公開していないが、仮にCIPA準拠の手ブレ信号で計測すると従来品と同じ段数になるという。これは、CIPA準拠の信号であればレンズの補正のみで振幅のすべてに対応できるため。Dual I.S.は、CIPA準拠の信号を越えるような大きな振幅のブレに対して特に効果を発揮する。

また、GX8の撮像素子はフローティング式では無く、XとY方向にしか動かない方式のため回転のブレは補正できない。今後の製品で撮像素子のフローティングは「検討はしている」(同社)という。ただ手ブレでは、GX8で補正可能なヨーとピッチ軸の角度ブレが支配的とのこと。

30fpsでの連写ができる「4Kフォト」も強化した。パナソニック AVCネットワークス社 副社長の杉田卓也氏は、「4Kは動画だけで無く静止画としても注力している。4Kフォトは、今まで撮れなかった写真が撮れるということ。新たな写真文化の創造になる」とアピールした。

4Kフォトの撮影モードを増やした
4Kフォトの作例。従来のカメラでは難しい瞬間を記録できる
コマの選択も簡単に行えるようになった

4Kの連写機能を使った「フォーカスセレクト」機能を将来のファームウェアアップデートで対応させることも明らかになっている。これは30fpsで連写しながらフォーカス位置を至近から無限遠まで移動させて撮影する機能。後から特定の被写体にピントが合った写真が取り出せる。

再生時にピントを合わせたい写真にタッチするだけでそこにピントの合ったコマが選択され、そのまま保存できる。現時点では、撮影枚数や撮影時間は未定となっている。

フォーカスセレクトの使用イメージ
フォーカスセレクトのデモ。手前のケーキをタッチしたところ
奥のケーキをタッチしたところ

なお、発売済みの機種では「LUMIX DMC-G7」にフォーカスセレクトを対応させることを検討しているという。

GX8は、画質も従来から向上させた
外装はマグネシウム合金製製
社外品のMFレンズを活用する提案もしていた
オプションとしてアイカップ「DMW-EC3」を用意する
ボディケースとストラップのセット「DMW-BCSK5」もラインナップ
分解モデル

カメラのレンズの開発発表も

会場では今後投入する新製品のモックアップ展示があった。詳細は既報の記事を参照されたい。

LUMIX FZ300

35mm判換算で25-600mm相当F2.8通しのレンズを搭載する高倍率モデル。レンズのスペックは従来の「LUMIX DMC-FZ200」と同じだが、手ブレ補正機構を強化するなど新設計になっているという。2015年内に発売する。

100-400mm/F4-6.3

マイクロフォーサーズで最長の焦点距離となる超望遠ズームレンズ。またLUMIX用のライカ銘レンズとしては初めてのズームレンズとなる。発売時期は未定。

LUMIX G 25mm/F1.7

コンパクトな標準単焦点レンズ。50mm相当の自然な描写のため、「まず1本目に買って欲しいレンズ」(同社)とする。こちらも発売時期は未定となっている。

新しいレンズラインナップ

ハービー・山口氏「信頼できるカメラが登場」

会場には写真家のハービー・山口氏が登場し、先行して試用したGX8での写真を披露しながら話した。

ハービー・山口氏

山口氏はカメラに求めるものとして、取り回しの良い大きさと重さ、フォーカスのスピードの速さを挙げた。GX8について、「この2点をクリアした信頼できるカメラが登場した」と評した。

GX8を使う山口氏

今回はマラッカと長崎で撮影を行った。最も使ったレンズはキットレンズにもなっている「LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-F5.6 ASPH./POWER O.I.S.」。遠くの物を引き寄せて撮れ、画質も良いことがその理由とのこと。

「私はよくライカを使っているが、ライカとGX8を持って行けばライカでは撮れないものも撮れるのかなと思う。素晴らしいカメラを作ってくれた」(山口氏)。

道の反対から14-140mmで引き寄せたという作品
走るバスからの撮影。Dual I.S.により乗り物のブレが補正されている。「Dual I.S.が無ければもっとブレていた」(山口氏)

なお、ハービー・山口氏がGX8で撮影した作品を展示する写真展を7月17日(金)~9月16日(水)にパナソニックセンター東京とパナソニックセンター大阪で開催する。来場者には同氏の写真カードをプレゼントする。

(本誌:武石修)