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ソニーα7シリーズ3モデルの違いを見てみよう

α7S
α7
α7R

 2013年11月、世界初の35mmフルサイズミラーレスカメラとして登場、話題となったソニー「α7」と「α7R」。この6月には4K動画出力機能を盛り込んだ「α7S」が追加。それぞれ有効1,220万画素、2,430万画素、3,640万画素というラインナップとなった。

 基本的なデザインと操作系は共通だが、画素数やローパスフィルターの有無のほかにも、AFシステムや連写スペック、シャッターまわりの機能にも違いが見られ、それらが性格の違いにつながっている。今回は、そんなα7シリーズ各機種の性格の違いを探ってみよう。

動体撮影にも向く位相差AF搭載機――α7

  • ボディのみ:実勢価格15万4,040円前後(2013年11月発売)
  • ズームレンズキット:実勢価格15万3,110円前後(2013年11月発売)

 シリーズのベーシックモデルで、上カバーと内部フレームにマグネシウム合金を採用する。

 有効2,430万画素のローパスフィルター有り仕様のExmor CMOSセンサー。画像処理を受け持つのは、従来の約3倍の処理能力を持つBIONZ X。質感描写を高めるディテールリプロダクション技術、絞り込み時の画質劣化を抑える回折低減処理、高感度撮影時の画質を向上させるエリア分割ノイズリダクションなどを備える。

 画面中央部の広い範囲をカバーする位相差検出AF(117点)とコントラスト検出AF(25点)を併用するファストハイブリッドAFを搭載しており、動体追従性に優れているのが強みとなっている。通常連写の最高速は2.5コマ/秒だが、速度優先連続撮影モード時はAF追従で最高5コマ/秒連写が可能となる。

 動画はAVCHD Ver.2.0(1,920×1,080、60p)とMP4(1,440×1,080、30p)。レリーズタイムラグを短縮できる電子先幕シャッターを備えているのも特徴だ。また、3機種の中で、唯一レンズキットの設定がある。

ソニー、ミラーレスカメラでフルサイズセンサー搭載の「α7R」

画質最優先の36メガ機――α7R

  • ボディのみ:実勢価格22万6,000円前後(2013年11月発売)

 画質を最優先した上位モデル。上カバーと内部フレームに加えて、前カバーにもマグネシウム合金を採用して剛性を高めている。わずかながらα7よりも軽量だ。

 撮像素子は有効3,640万画素のExmor CMOSセンサー。高い解像感が得られるローパスフィルターレス仕様としている。画像処理エンジンのBIONZ Xは共通しているが、画素数が約1.5倍に増えていることもあって、連写スピードは通常時で最高1.5コマ/秒、速度優先連続撮影モードでも最高4コマ/秒にとどまる。

 AFはコントラスト検出のみで、位相差検出も併用するα7に比べると俊敏さに欠け、特に動体に対する追従性の部分では多くは期待できない。レリーズタイムラグが長めであるところも不利な点といえる。

 また、電子先幕シャッターを装備していないのもα7との違いだ。動画スペックはα7と同じくAVCHD Ver.2.0(1,920×1,080、60p)とMP4(1,440×1,080、30p)。

ソニー、ミラーレスカメラでフルサイズセンサー搭載の「α7R」

超高感度撮影に対応した最新モデル――α7S

  • ボディのみ:実勢価格24万8,400円前後(2014年6月発売)

 有効画素数を1,220万画素に抑えて高感度化を図ったモデル。新型カラーフィルターの採用もあって、感度特性をα7の約3倍に、飽和信号量も約2.3倍に向上。ダイナミックレンジも広げている。常用最高ISO102400、拡張時はISO409600を達成している。画像処理エンジンはBIONZ Xで、これは先行の2機種と同じ。

 AFはコントラスト検出のみ。連写スピードは通常時は2.5コマ/秒、速度優先連続撮影モードでは5コマ/秒となる。上カバー、前カバー、内部フレームにマグネシウム合金が採用されている。重さはα7Rよりも39g増えており、マウントの爪が金属に変更されているといった違いも見られる。

 外部レコーダーが必要となるものの、画素加算なしの全画素読み出しでの4K動画出力を実現しているほか、APS-Cクロップ時、HD解像度(1,280×720)で120fpsのハイフレームレート撮影も可能。映像のトーンを調整できるピクチャープロファイルを備えている。

 シャッター先幕走行時のショックを排除できる電子先幕シャッターのほか、シャッター作動音が発生しない電子シャッター機能も搭載している。

ソニー、超高感度“ISO409600”で撮れる「α7S」を国内発表

まとめ

 フルサイズならではの写りをお手ごろ価格で楽しみたいならベーシックモデルのα7がおすすめ。現行のフルサイズ機ではもっとも実売価格が安く、レンズキットが税込み15万円台で手に入れられるのも魅力的。位相差検出を併用するファストハイブリッドAFのおかげで、スナップやスポーツ系のチャンス重視の撮影にも強い。

 風景などの動かない被写体にじっくり向き合って撮るならα7Rを選ぶべき。動体撮影には弱い部分もあるが、有効3,640万画素+ローパスフィルターレスによる画質の高さをひと目見れば、とりこになる人も多いはず。実売価格はα7に比べると高めだが、フルサイズ機としては十分にリーズナブル。画質のよさを重視する人には好適だ。

 最新モデルのα7Sの強みは、画素数をα7Rの約1/3に抑えたことで、高感度撮影時の画質が向上していること。同時に、広いダイナミックレンジも獲得している。室内スポーツや夜間のスナップといった、光量に恵まれない条件で存在感を発揮する。作動音がほとんどない電子シャッターを活用してのステージ撮影なども、このカメラの独擅場といえる。

比較表

製品名α7α7Rα7S
撮像素子サイズ35mmフルサイズ相当
有効画素数2,430万3,640万1,220万
最高感度ISO25600ISO409600
記録媒体SDXC/SDHC/SDメモリーカード、メモリースティックデュオなど
連写性能最高約2.5コマ/秒約1.5コマ/秒約2.5コマ/秒
内蔵EVF0.5型、約236万ドット
液晶モニター3型約92万ドット
液晶モニター可動チルト式
内蔵ストロボ
HD動画最高1,920×1,080/60p
4K動画出力
Wi-Fi
126.9mm126.9mm126.9mm
高さ94.4mm94.4mm94.4mm
奥行き48.2mm48.2mm48.2mm
質量約474g約465g約489g

※感度は拡張設定を含む
※質量はバッテリー、メモリーカード含む

(北村智史)