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ソニー「α7R」「α7」「サイバーショットDSC-RX10」の発表会レポート

新機種・新レンズの外観写真も掲載

 ソニーは、35mmフルサイズ相当のCMOSセンサーを搭載するミラーレスカメラ「α7R」「α7」およびレンズ一体型ハイズーム機「サイバーショットDSC-RX10」、フルサイズ対応のEマウントレンズなどを発表した。ここでは同日に行なわれた発表会の模様についてレポートする。

ソニー株式会社デジタルイメージング事業本部 本部長の石塚茂樹氏(右)

 α7Rおよびα7は、ともに35mmフルサイズ相当のCMOSセンサーを搭載するEマウントミラーレスカメラ。2機種は有効画素数、光学ローパスフィルターの有無、位相差検出式AFの併用可否などが異なる。各機種の詳細は記事末のリンクから既報記事を参照頂きたい。

α7R
α7

α7シリーズは「渾身の商品」

 発表会ではまず、ソニー株式会社 業務執行役員SVP イメージング・プロダクツ&ソリューションセクター 副セクター長 デジタルイメージング事業本部 本部長の石塚茂樹氏が、現在のカメラ市場は「独自性なしでは生き残れない」として、同社が成熟セグメント・成長セグメントのそれぞれに向けて行なっている戦略を説明した。

ソニー株式会社デジタルイメージング事業本部 本部長の石塚茂樹氏
コンシューマー用デジタルイメージング市場の構成比
成熟セグメントでは新市場の創造を目指した。特に普及価格帯の製品では前年比36%のダウンだったといい、新たな市場創造が必要としていた。
高倍率機や大型センサーなどの高付加価値機が属する成長セグメントにおいては、「高画質を凝縮」をコンセプトに、日本国内では金額シェア1位だったとする。

 同日発表したレンズ固定式ハイズーム機の「サイバーショットDSC-RX10」は、「最適バランスを追求し、高画質での撮影機会を増やす」という1台で、定評あるコンパクトデジタルカメラDSC-RX100M2同等の1型裏面照射型CMOSセンサーを採用。35mm判換算24-200mm相当で全域F2.8のズームレンズと組み合わせた。これにより、広角・望遠・ボケを活かしたマクロ撮影など幅広く撮影可能とアピールした。

サイバーショットDSC-RX10
サイバーショットDSC-RX10の分解モデル
一眼レフで24-200mm相当をF2.8通しでカバーしようとすると、最低2本のレンズが必要だったと説明

 レンズ交換式デジタルカメラのαシリーズでは、これまでAマウントとEマウントで分かれていたが、位置づけを明確にするため、すべてのレンズ交換式カメラを「α」に統合して更なるブランド強化を図るとした。

目指す方向が同じカメラとして、ブランド強化のため統一するという

 これまで「NEX-7」を頂点とするAPS-Cサイズ相当のEマウント機は、αシリーズの中の「NEX」シリーズという位置づけだったが、α7シリーズを機に、「(NEXの名は)今回から基本的に使わない」(石塚氏)とした。Aマウント、Eマウントともにαブランドだったのは変わらないが、これまでNEXと呼んでいたものもαになる点が新しい。

 今回の目玉となるフルサイズミラーレス機のα7シリーズを、石塚氏は「最高画質を使いやすいサイズにまとめた渾身の商品」とアピール。

α7シリーズを手にする石塚氏

 α7、ではAPS-C機のNEX-7に比べてコントラストAFでの35%合焦時間が短縮したという「ファストインテリジェントAF」を採用。加えて後述するα7Rにはない117点の位相差検出AFとの「ファストハイブリッドAF」(NEX-6などで採用)が高精度・高速AFを謳う。ボディは防塵防滴とした。

α7。Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZAを装着
フード装着時
α7にキットレンズのFE 28-70mm F3.5-5.6 OSSを装着

 同時に、より高画素で、光学ローパスフィルターレス構造とした35mmフルサイズセンサーを採用する「α7R」も発表。α7をベースに解像力にこだわったというモデルで、ボディ構造の違いなどからα7よりわずかに軽く、フルサイズミラーレスで最小最軽量を謳うモデル。

α7R。レンズはSonnar T* FE 55mm F1.8 ZA

 EVFや動画記録の仕様はα7と同様。α7Rはフルマグネシウムボディだといい、一般的なフルサイズ機の半分という重量をアピールしていた。APS-Cフォーマット用のEマウントレンズを装着すると、自動でクロップされる。

高解像度のセンサーとローパスレス構造をアピール
マウント部
【参考】α7シリーズのEVF内を撮影(歪みや白トビなど不鮮明な部分は、撮影に用いたスマホカメラによるもの)
α7シリーズのムービー撮影用途の使用イメージ
α7Rの分解モデル
縦位置グリップの装着例
実機の展示はなかったが、水深40m対応のウォータープルーフケースを2014年中に発売予定としていた。レンズポート交換式だが、サポートするレンズはまだ未定という。

 フルサイズ機と同時にフルサイズ対応のEマウントレンズ5本も発表した。

新発表のフルサイズ対応Eマウントレンズ
今後のレンズロードマップ。2015年にかけ15本以上を投入するという
「瞳AF」といった機能をアピールする作例も
Eマウントの新レンズ、FE 70-200mm F4 G OSS
ツァイス標準ズーム、Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSも発表
同サイズのままフルサイズ対応になったマウントアダプター(左)でAマウントレンズをα7シリーズで活用できる。右はトランスルーセントミラーテクノロジーなどを非搭載のアダプター
アダプター使用により、合計54のレンズが揃うとしていた
AマウントのSonnar 135mmを装着したところ
Aマウントの大口径望遠ズームレンズ「70-200mm F2.8 G SSM」のリニューアルも発表された
石塚氏が実際にα7にAマウントレンズを取り付け撮影するデモを壇上で行なった
今後の方向性として、プロユースに堪えるAマウントボディを2014年中にリリースすべく開発中としていた

 質疑応答において石塚氏は、Eマウントは当初Aマウントの互換を目指しており、その中で設計仕様としてフルサイズの格納スペースを用意していたものの、当時はミラーレスでフルサイズ機を作る予定はなかったと語った。また、新レンズシステムにおいて35mmフォーマットにこだわる必要はなかったのでは、との質問に対しては、「可能性はあったが、今回は『原点』の35mmフルサイズをやろうと開発した」と話した。

Eマウント用のMFツァイスレンズをリリース

 発表会では、カールツァイス株式会社のクリスチャン・バナート氏がゲストとして登場。「ツァイスレンズはカメラマンの内なる目で撮影し、全てのコントロールを可能にする。フルフレーム(35mmフルサイズ相当)でツァイスレンズは受け入れられており、ソニーと協力できることを誇りに、また嬉しく思う。写真の始まりはフルフレームであり、ソニーのコンパクトシステムカメラはハイエンドへの大きな一歩だと考えている」と話した。

カールツァイス株式会社のクリスチャン・バナート氏

 同社ではマニュアルフォーカス専用のEマウント用フルサイズレンズも開発中で、2014年後半に導入予定という。静止画だけでなくビデオも適した汎用性を持ち、カメラ本体との電気的互換も確保するそうだ。また、それ以外にもツァイス製品を拡充していくと話していた。ソニーと共同開発したレンズは、1996年から数えて2億台になるという。

 APS-Cフォーマット用のTouitレンズは、等倍撮影可能なマクロプラナーを2014年初頭に発売予定のほか、2014年内に少なくとももう1本を予定していると話した。

フルサイズMFレンズを計画
Touitレンズの予定

プロサポートを2014年4月に開始

 続いてソニーマーケティング株式会社マーケティングGP デジタルイメージングマーケティング部 統括部長の伊藤秀樹氏が登壇。同社では今年度の国内市場規模を220万台と想定し、台数ベースで前年比10%増を見込む。ミラーレスにおいては業界の45%を占めると想定し、今回の新製品でさらに市場活性していきたいと話した。

ソニーマーケティング株式会社マーケティングGP デジタルイメージングマーケティング部 統括部長の伊藤秀樹氏
レンズ交換式デジカメの国内トレンド

 α7シリーズのプロモーションは、「画質は良いが重くて大きい」と「持ち運びやすいが画質は今一歩」という相反する常識を覆すのがコンセプトで、ソニーだからこそのカメラを体験して欲しいというもの。食い合いでなく新しい市場を創造したいと語った。「誰も作らなかったカメラ。」をキーワードにテレビCMなどでも展開するという。

 発売日の11月15日には新聞広告を投下し、翌日から全国スポットのテレビCMを年末商戦に向けて展開。4Kブラビアと組み合わせたプロモーションも行なうという。

 ユーザー向けには、全国5都市で先行体験を実施。Webサイトではプロ写真家による作例ギャラリーを毎週リリースする予定。

プロモーション施策について
William Klein氏とPanos氏をアンバサダーに迎えた。作品はスペシャルサイトで順次公開するという

 また、プロカメラマン向けのプロサポートを開始すると発表。α7シリーズを「より多くのプロカメラマンにも満足いただける完成度の高い商品と考えている」「より安心して使ってもらえるように」とし、2014年4月をめどに開始すべく検討しているという。サポートの内容としては、ニーズが高いという優先修理対応、代替機貸し出し、専用窓口設置など充実していきたいとしていた。詳細は決まり次第改めてアナウンスするという。

ソニーもプロサポートを開始。2014年4月1日にスタート予定

(本誌:鈴木誠)