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ソニー、「α7S」「α77 II」「サイバーショットRX100 III」の説明会を実施
Reported by 本誌:鈴木誠(2014/5/16 18:38)
ソニーは5月16日、同日発表のカメラ新機種に関する「デジタルカメラ新商品体験会」をプレス向けに開催。「α77 II」および「サイバーショットDSC-RX100M3」については、動作機を試すことができた。
特殊カメラではない「α7S」
最初に登壇したソニー株式会社 デジタルイメージング事業本部 第二事業部 事業部長の槙公雄氏は、新製品3機種の概要を紹介した。
4月6日に海外発表されたEマウント機「α7」シリーズの最新モデル「α7S」は、発表以来放送業界から驚嘆と高い評価を得たと説明。しかし、広いダイナミックレンジを特徴とするα7Sは、動画や特殊撮影だけに向けたカメラではないと強調した。
また、5月1日に海外発表したAPS-CフォーマットのAマウント機「α77 II」は、AF系センサーとアルゴリズムの改善、画像処理エンジン「BIONZ X」の搭載を特徴とした。
コンパクトも高級機は需要拡大
続いて、ソニーマーケティング株式会社 デジタルイメージングMK部 統括部長の伊藤秀樹氏が登壇。デジタルカメラの市場背景と、同社コンパクト機のRXシリーズについて説明した。
伊藤氏はまずCIPAによるデジタルカメラ出荷実績の推移と2014年度の予測を示した。レンズ交換式は昨年に引き続き堅調だが、コンパクトデジタルカメラは2桁のパーセンテージの縮小を見込む。
一方、コンパクトデジタルカメラの中でも大型センサーなど高付加価値の“高級コンパクト”は需要が伸びており、同社調べで前年比120%と予測する。
ソニーのRXシリーズでは「手の中に収まるコンパクトサイズ」と「高画質」「高性能」という付加価値提案の両立を目指しているといい、他社の平均単価が4万円前後のところ、同社RXシリーズでは7万円前後とアピールした。
ちなみにRXシリーズには、1型センサー搭載の「サイバーショットRX100」(税込実売5万4,140円前後)から、35mmフルサイズセンサー搭載の「サイバーショットDSC-RX1」「同RX1R」(税込実売25万4,890円前後)まで幅広い価格帯がラインナップされている。中でも10万円を超えるコンパクト機をラインナップしているメーカーはあまり多くない。
そのRXシリーズの最新モデルとして登場するのが、「サイバーショットDSC-RX100M3」。1型センサーの高画質をアピールし、初代から人気の高いRX100シリーズの最新モデルだ。
レンズが新規開発の35mm判換算24-70mm相当F1.8-2.8となり、広角端が28mmから24mmまで拡大し、望遠端の開放F値もF4.9からF2.8と明るくなった。画像処理エンジンBIONZ X、新たに内蔵となったEVF、より高ビットレートで記録できる「XAVC S」フォーマット対応の動画撮影性能で、レンズ交換式カメラのユーザーにもアピールするサブ機の位置づけとした。
多様化するαシリーズ。FEレンズの新ロードマップも
ソニーマーケティング株式会社 デジタルイメージングMK部 αMK課の山田哲嗣氏は、レンズ交換式カメラαの2機種を紹介した。
6月20日に国内発売する「α7S」は、35mmフルサイズ機の購入ハードルを下げた「α7」、高画素ローパスレスセンサーを凝縮した「α7R」に並ぶ、α7シリーズの3機種目。主に高感度性能を特徴としている。
α7Sは有効1,220万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを新採用。処理速度が既発α7シリーズの3倍に高速化したというBIONZ Xを搭載する。ボディ単体の市場想定価格は税別23万円前後。
山田氏は、高感度に強いことはダイナミックレンジの広さであり、全感度域で描写力を発揮すると説明。晴天下でより高速シャッターを切るなどの可能性も広がり、(最高ISO409600まで設定可能な点が注目されやすいが)暗所撮影などの特殊カメラではないと強調した。動画の分野で注目される4K動画出力の対応のほかにも、業務用カメラで使われる機能を多数搭載した点をアピールする。
また、α7Sでは電子シャッターを用いた「サイレント撮影」に対応。カメラ側の動作音が無音になり、シャッター音が周囲の迷惑になりそうなシーンで有効と説明した。説明員によると、電子シャッターを用いるためCMOSセンサー特有のローリングシャッター現象(高速移動する動体が歪んで写る)は防ぎきれないが、気になるほどではないとのことだった。
説明会では、Eマウントのフルサイズ対応レンズ(FEレンズ)の最新ロードマップも披露された。2014年の予定として、ツァイスの広角ズーム「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」と、動画向けの電動ズームレンズ「FE PZ 28-135mm F4 G OSS」が加わっていた。
続いて話題はAマウント中級機「α77 II」(6月6日発売。ボディのみ税別13万5,000円前後、DT 16-50mm F2.8キット税別19万円前後)に移った。
発売済みのAPS-C機「α77」をベースにAF周りの機能強化を行なったモデルで、位相差AFの測距点は79点(うち15点クロス)と、専用の位相差センサーを搭載するレンズ交換式デジタルカメラで世界最多としている。また、動体追従時に選択した測距点の周辺エリアでも被写体を補足できるようになったという。
α77 IIやα77をはじめとする現行Aマウント機は、独自の「トランスルーセントミラーテクノロジー」を採用。レンズと撮像面の間にミラーボックスを持つ構造は一眼レフと同様だが、レフレックスミラーは固定式の半透過ミラーで、撮像素子と位相差AFセンサーの両方に常にレンズからの光が届くようになっている。
一般的な一眼レフカメラでは、レフレックスミラーでレンズからの入射光を上方向に曲げてファインダー部分に届け、光学ファインダーでフレーミングする。シャッターを押して露光している間のみ、ミラーが上がって撮像面に光が届くようになっている。
一方トランスルーセントミラーテクノロジーでは、常時AFセンサーと撮像素子に光が当たっていることから、一眼レフと同じ位相差AFで素早くピント合わせが可能で、かつミラー上下がないことから露光時のブラックアウトがなく、連写や動画撮影時にも位相差AFが利用可能な点を特徴としている。ファインダーはEVF。
α77 IIでは、連写優先の撮影モードで12コマ/秒(60コマまで速度を維持)を実現。近年Aマウントレンズでは望遠レンズの追加やリニューアルが目立ったが、これも同技術が望遠域での動体撮影に有利だと意識していたからとも考えられる。