むらいさちの、旅フォトエッセイ さち☆たび

Vol.8 東京都|森の妖精に会いに行く旅

旅じゃありませんか、誰だって人間の生涯は。

島崎藤村

改めて、さち☆たび のルールを紹介しましょう。
1)旅の資金は4万円、あとは国内海外どこに行ってもよし。余ったお金は貯蓄(編集部にて)。1年後、連載が続いており、貯蓄がたまっていたら特別編としてハワイ旅行をする!(笑)

2)カメラや技術の話はしない(写真でゆっくり楽しんでね♪)。

3)人の好意には甘える(笑)、差し入れ・現地案内大歓迎です♪(むらいさちのFacebookページなどでリアルな旅の様子をリポートします。作品はここにてお見せします)

以上3つ。

まあ、B型おとめ座の むらいさち なので、マイペースにゆるっと進めさせていただきます。

旅先では感じた気持ちを、カメラを通じて表現していければと思います。

森の妖精、レンゲショウマを求めて

皆さんこんにちは! 水陸両用写真家のむらいさちです(笑)。

今回は、東京都青梅市の、御岳山に行ってきました!

理由は、森の妖精と言われているレンゲショウマというお花に会いにいくためです。

僕は御岳山が大好きで、これまで何回も来ている場所です。ここは、東京とは思えないほど自然が豊富で、歴史もあり、雰囲気も独特。なぜだかしっくりくる場所なのです。

ここ御岳山では、8月になるとレンゲショウマが咲きます。

レンゲショウマは日本固有の一属一種のお花です。絶滅危惧種にも指定されており、とても貴重なお花です。
見ていると、日本らしいお花と感じます。色は決して派手でなく、繊細な色をしていたり、その美しさを隠すかのように下を向いて咲くところなど、日本人の美的意識に通じるものを感じます。

そんな貴重なレンゲショウマが、御岳山頂付近には5万株も群生しています。もちろん日本一の規模を誇ります。

さて、恥ずかしがり屋の妖精さん、今回はどんな表情を見せてくれたのでしょうか?

まずは御岳山を目指す

御岳山山頂までは、ケーブルカーが走っているので、誰でも気軽に行くことが出来ます。

はい、やる気満々でございます(笑)。さて、乗車して山頂に向かいましょう。このケーブルカーは、短い時間ですが、なんだかタイムトリップ? 異世界へ行く乗り物のように毎回感じます。

6分ほどで御岳山駅に到着。ここから御岳の街に徒歩で向かいます。標高が上がり、真夏の撮影だったのですが、涼しくて気持ち良かったです。まずは、頂上にある武蔵御嶽神社に向かいましょう。

歩いていると、山の上に突然街が現れます。これがなんだか不思議。天空の街ですね。

昭和そのまま? のような、全長30mほどのメインストリートを抜けると、御嶽神社の入口が見えてきます。ここから、神社まで急な階段をかなり登ります。標高が高いせいか結構きついのですが、頑張って登り切ると、御嶽神社の美しい姿が……。

まさかの改修中でした……(涙)。しかし、2,000年の歴史があり、古来より信仰を集めている由緒正しき神社です。

向かう道すがらには、まだ紫陽花が咲いていました。それだけ涼しいということですね。

さて、お目当てのレンゲショウマですが、群生地は別なのですが、この神社周辺にも咲いているので、早速撮影に入ります。

レンゲショウマはこのように下向きに咲いています。決して派手ではないですが、とても美しく可憐な姿を見せてくれます。「森の妖精」と呼ばれるのもうなずけます。ですが、この花の撮影は本当に難しい……。でも、難しいからこそまた心惹かれて撮影に来てしまうのですが。

では、この時撮影したものをお見せします。

今日はウォーミングアップという意識で撮影を始めましたが、すっかりはまってしまいこの場所に2時間近くはいたと思います。ツンデレなのか、ただの恥ずかしがり屋さんなのか、なかなか最高の表情を撮らせてくれません……。

さて、撮影もひと段落したところで、今日泊まる宿に向かいます。東京なので日帰りももちろん可能ですが、個人的にはぜひぜひ1泊してほしいです。御岳の宿はほとんどが宿坊になり、貴重な体験ができます。

今回は、いつもの宿がいっぱいで取れなくて残念だったのですが、歴史のある素敵な所でした。そして部屋がベランダ付きで、とても広かった。お天気良ければベランダから江の島が見えるとのこと、びっくり!

なのですが、安定の天候不良……。おいしいご飯を食べて今日は早めに寝ることにします。

御岳山2日目

2日目、今日はレンゲショウマをがっつり撮ろうと思い、早朝から撮影に向かいました。

すごい霧……。御岳山から見る朝日はとても美しいのに残念。そして、東京方面にカメラを向けてみると……。

前方の山の頭しか見えませんでした……。

そして、森をウロウロしながらレンゲショウマの咲く場所を目指しました。実際に咲いているレンゲショウマは、本当に地味です。ですが、一輪一輪はとても美しいのです。

早朝はさすがに誰もおらず、一人で2時間ほどじっくり撮影することができました。霧が出るのもなかなか無いこと、こんな天候だからこそ撮れる写真があるのです。

その後ブヨに襲われて、10カ所以上刺される……(涙)。山にはちゃんと長ズボンで行きましょう。

こんなレンゲショウマからどんな作品が生まれるのか、自分でも毎回分かりません。

他の花に比べてもレンゲショウマは撮影に苦戦します。朝食挟んで4時間近く撮影しました。途中雨が降ったり霧が出たり、太陽が出なかったのが残念ですが、自然は敵じゃないですからね。味方に付けちゃいましょう。

さて、ここからはコメントなしで、作品を見ていただければと思います。

何度来ても毎回頭を悩ますレンゲショウマの撮影。どこか物足りない気持ちを残しながら、きっと来年もこの場所に立っていると思います。森の妖精はなんともツンデレなのです。

ぜひ、皆さまも機会があれば、御岳山に足を運んでみてください。

ロックガーデンを始めとした、トレッキングも楽しいですし、ここでは紹介しきれませんが、東京でありながら自然と触れ合える貴重な場所です。

そして、歴史ある宿坊にもぜひ泊まってみてください。

今回のさち☆たびは、これにて終了になります。次回はどこいこー?

今回の相棒

PENTAX K-3 II、FA MACRO 100mm F2.8 WR、FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED、18-135mm F3.5-5.6 ED WR

今回のアイス

青梅ソフトクリーム

紅梅苑さんで販売している、地元の新鮮な牛乳と、特製あおうめシロップを使ったソフトクリーム。甘くさわやかで美味でした♪

今回の経費

交通費(家からの電車、バス、ケーブルカー):4,542円
宿泊費:10,000円
食費その他:4,500円
合計:19,042円
残金:20,958円(ハワイ貯金へ)
第一回目からの積み立て貯金:77,296円

(2015/9/10)
むらいさち
沖縄でのダイビングインストラクターを経て写真の世界へ。広告写真家の助手後、ダイビングやリゾート雑誌を出版している出版社のカメラマンとして、日本を始め世界の海へ訪れる。その後独立。現在は広告や雑誌の撮影を中心に活動。海だけに限らず世界のありとあらゆる場所で「しあわせのとき」をテーマに撮影を続けており、一年の多くを取材先で過ごしている。著書は写真集「きせきのしま」(小学館)、「LinoLIno」「ALOHEART」(LifeDesignBooks)。共著「光と色の写真の教科書」(技術評論社)、「カメラ*好き1&2」(マイコミブック)。トラベルマガジン「LUKETH」参加。今年2月に写真家川野恭子(きょん♪)と共に、フォトライフマガジン「TORIPPLE」を創刊。muraisachi.com