トピック
東京上空6K撮影の裏側。映像作家・羽仁正樹が語る「データ管理」の重要性
OWCとSamsungが支える「スピード&信頼性」のワークフロー
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2026年4月9日 12:00
東京の夜景を上空から捉えた、息を呑むような映像美。緻密かつダイナミックな作品はいかにして生まれたのか——。
撮影を手掛けのは映像作家の羽仁正樹氏。ヘリでの空撮という現場での撮影テクニックと、そのクオリティを根底で支える「メモリーカード」「ストレージ」の重要性について聞いた。
映像プロダクション「Saha Entertainment」代表。2018年から日本の絶景を8K/60Pの高画質で撮影。空撮によるニコンZRや富士フイルムGFX ETERNA 55のデモ映像も手掛ける。ニコンZ9、ソニーα1、同FX3、RED HELIUM 8K、DJI Mavic 4 Pro 512、同Avata2など。
空から描く東京。どう撮った?
——普段、撮影した映像はどんな用途に使われるのですか?
例えば、テレビメーカーのデモ映像によく使われています。良いタイミングで撮影した絶景映像を膨大にストックしているので、クライアントの要望に応じてデータを納品しています。8Kや6Kで撮る事で高画質な4K映像にして使っていただいています。
——ニコン「ZR」のデモ映像は大変美しく息を呑む作品ですが、なぜ夜景を選んだのでしょうか?
ニコンZRは高感度に強いカメラで、そこを生かそうと考えました。2009年くらいから東京の夜景を空撮していますが、以前はこれだけ明るく綺麗に撮れませんでした。
——ヘリからの撮影ですが映像はブレていません。振動対策は?
今回は約1時間飛行しています。その間ずっとジンバルを持って撮影しています。そのため、腕力とジンバルのパワーが必要ですね(笑)。とはいえ、体感する時間が速くて、あっという間に終わる1時間でもあります。
ずっと窓を開けた状態で撮影しています。ヘリ搭載のカメラを使うとヘリの使用料が大幅に高くなるので、今回はジンバル撮影になりました。大きな予算の現場ではヘリ搭載カメラを使う場合もあります。
——限られた時間や狭い機内といったシチュエーションで確実に撮影するコツは?
ひとつは高画質で明るいレンズを使うということです。今回は「NIKKOR Z 35mm f/1.2 S」のみで撮りました。カメラとレンズの性能が相まって、綺麗に撮影できました。
事前テストで開放のF1.2だと輪郭にパープルフリンジ(色付き)が出ることが分かったので、本番ではその影響がないF2に絞って撮っています。つまり開放F2.8やF4のレンズだと、このシャッター速度と感度の組み合わせで撮れなかったわけです。
——35mmという焦点距離を選んだのはなぜでしょう。
東京の空撮を取る場合、35mmが好きで以前から使っています。途中で登場する東京スカイツリーのサイズも考えると、私の中では35mmの単焦点レンズが撮りたい画角と画質のバランスが1番取れているレンズだからです。
ニコンには35mmの単焦点レンズが複数ありますが、その中で最もクォリティの高いものを採用しました。
——空撮ならではの特別なアイテムも使うのでしょうか?
特に使っておらず、地上でジンバル撮影をするのとほぼ同じセッティングです。水平はジンバルで取っていますが、ヘリの動きによってはズレます。その場合後処理で直していますが、そうした技術はそれなりに必要かなと思います。
後処理の自由度が高いRAW撮影
——動画をRAWで撮るメリットは?
写真と同じで、RAWで撮っておけば後処理でいろいろなことができるのがメリットですね。もともとREDのカメラを使っていて、そのカラーサイエンスに慣れていることもあり、「ZR」でもR3D NE形式で撮っています。
素材はテレビCMや映画などにも使われたりと幅広い用途があります。そうした場合、色を作る専門家がカラーグレーディングすることもあります。そのようなケースも想定してRAWで撮っておく必要があります。
基本的には、そのカメラで撮れる最高の画質設定で撮ることを自分のコンセプトにしています。
——「ZR」の撮影設定は?
露出は全てマニュアルですね。都市部の夜景はフリッカーが出るのでシャッタースピードは1/100秒にしないといけません。絞り値はさきほど申し上げた理由でF2です。
感度はISO 5000固定で撮っていますが、編集時に変えられます。これもRAWのメリットですね。ホワイトバランスは5,000Kに固定していますが、これも変えられるので後で4,400Kほどにしています。
——ほかに撮影で気をつけていることはありますか?
「ZR」はベースISO感度が変えられるので、そこを理解して使う必要があります。低感度設定でもISO 3200まで上げられますが、それだとノイズが増えます。なので、高感度設定にした中で低い感度を選ぶといった使いこなしが大切ですね。
またピントはAF-Sで合わせてから固定しますが、合焦サインが出ていてもピントがズレている場合があるのでモニターで拡大してよく確認するようにしてます。
それからジンバルが言うことを聞かなくなることがありますが、落ち着いて再起動するといった冷静さも必要ですね。
年間100TB撮影してトラブルなしのブランド
——RAWのデータ量はどれくらいになりましたか?
2TBのCFexpress Type Bカードを入れて、1時間強の撮影で約1.6TB使いました。今回は1枚のカードで済みましたが、普段の撮影だと4枚程度は使います。
OWCのカードに信頼が置けるので飛行中は回しっぱなしで撮影できました。信頼できないカードだと途中で止まってしまう可能性もありますので。
——「ZR」のメモリーカードはスロットはシングルタイプですが不安はないですか?
REDのカメラがシングルスロットだったこともあり、同時記録は今まで1度もしたことがありません。「Z9」のときからCFexpressカードを本格的に使っていますが、データが消えたといったトラブルはありませんね。
——メモリーカード選びで重視していることは?
耐久性ですね。以前使っていたあるメーカーのCFexpress Type Bカードで、シェルの樹脂部分が熱でダメになるという事がありました。幸いデータは無事で、カードは新品に交換してもらいましたが、やはり怖いということで別のメーカーを探していたんです。
——それでOWCを使うようになったのでしょうか。
はい。そのトラブルをある企業に相談したところ、OWCさんを紹介してもらいました。それからずっとカードはCFexpress Type Aも含めてすべてOWCを使っています。
CFexpress Type Bに関しては、「OWC Atlas Ultra CFexpress 4.0」、ソニーのカメラでは「OWC Atlas Pro CFexpress 4.0 Type A」を使っています。今のところ何も問題は起きていません。
——OWCのCFexpressを信頼しているのですね。
実際に年間100TBを撮って、トラブル無く記録できているということが大きな信頼に繋がっています。年に100TBも撮る人はなかなかいないですからね。常に”撮っては読み出し”という繰り返しの日々という感じです(笑)。
高速なカード&SSDによるスムーズなワークフロー
——現場でのバックアップのワークフローを教えてください。
「MacBook Pro」にカードリーダー「OWC Atlas CFexpress 4.0 Type B Card Reader」とポータブルSSDケースの「OWC Express 1M2 80G」をつなげてバックアップをしています。USB4(80Gb/秒)、またはThunderbolt 5での接続になります。
「OWC Express 1M2 80G」はSSDが入っていないケースのみを用意して、そこにSamsungのPCIe 5.0対応M.2 SSD「9100 PRO」(8TB)を入れています。
ケースのインターフェースを考えると、転送速度的にはPCIe 4.0対応の「990 PRO」でもよいのですが、4TBまでしか無いため、8TBがラインナップされている9100 PROを使っているということです。現場によっては4TBでは足りないケースもありますので。
——RAW動画だとかなりの容量ですよね。転送速度に関しではどうでしょうか?
2TBのバックアップが12分ほどでできますから、かなり高速ですね。4TBのデータでも20分ちょいと驚異的で、機材を片付けているうちに終わっているというイメージです。
現状でCFexpress 4.0対応のカメラは登場していないので、一見CFexpress 4.0対応カードを使う意味が無いように見えます。しかし、取り込み時のスピードがCFexpress 2.0のカードの倍ほど速くなります。これは大きな違いですね。
加えてCFexpress 4.0対応カードを用意しておけば、将来カメラの進化でさらなるビットレートが必要になっても対応できる可能性があります。写真と違って、動画は書き込みが間に合わないとそのカードは使えないものになってしまいますから、将来への準備としては重要に感じます。。
——データのコピーはほかにも行っていますか?
はい、ロケ先で時間ができた段階で、Samsungの外付けSSD「T5 EVO」にもコピーします。このSSDは「9100 PRO」ほどのスピードは出ませんが、やはり8TBがラインナップされているので複数持っていて使っています。これで2重にコピーができて、カードを消さなければトリプルのバックアップができて安心です。外付けSSDはそれ以外にもSamsungの「T9」や「T7 Shield」などを含めて10台以上使っています。
さらに自宅に帰ってデスクトップPCのHDDにもコピーして、カードを消すという流れが多いですね。計3重でのバックアップですね。
——Samsung製のSSDを使われていますが、SSD選びで重視することは?
まず壊れないことが重要ですね。それから「T7 Shield」は防水、耐衝撃というのがポイントで、これもありがたいです。
「T9」「T7 Shield」「T5 EVO」はどれも軽くてコンパクトなので、カバンにポンと入れてそのまま撮影に行く感じです。
——こうしたシステムによって安定したデータハンドリングができているわけですね。
スピードも本当に速くて、安定性も良いです。トラブルが無いので、もう”良い”としか言いようがありません。
例えばライブ撮影などをしている人たちはバックアップ作業がかなり大変だと思うので、このソリューションを使ったら残業が無くなるんじゃないかと思うほどですね。
MacのAPFSでフォーマットされたストレージは通常、Windowsからアクセスできない。一方で双方のコンピュータからアクセスできるフォーマットとしてexFATがあるが、転送速度の点でAPFSに及ばない。
そうした場合に便利なのがOWCが扱っているソフト「MacDrive」だ。有償になるが、これをWindowsマシンにインストールするとAPFSのドライブ(メーカー問わず)にアクセスできるようになる。
Windowsでファイルコピーを行う際は、エクスプローラーによる速度の制限を避けるためコピーツール「FastCopy」を使うと良い。ITGマーケティングの実測では、APFSフォーマットの外付けSSDからWindowsマシンへのファイル転送がThunderbolt 5環境で6GB/秒程度出ている。
高速ストレージはクリエイターのやる気を引き出す
——動画編集時はバックアップに使ったSSDのデータを素材にするわけですか?
はい、ポータブルSSDケースと内部のSSDともに高速なので、そのままMacBookProやデスクトップPCに繋いで編集することもあります。プロキシファイルを作る必要もなく、8Kや6Kの60P素材をリアルタイムで扱えますし、スクラブ再生も自在でストレスがありません。
皆さんが編集でストレスを感じている原因は、パソコンの性能よりもむしろストレージの転送速度のほうでしょうね。ストレージが十分速ければ、最近のパソコンであれば6K/60PのRAW動画くらいは編集できると思います。
——そうなのですね。ストレージの安定性と速度は大切ですね。
バックアップ時間も短くて済むし、編集でもリアルタイムで動かせる。これは、クリエイターとして自分が作りたいものにパッと対応できるという点でメリットが大きい。何かと待つ時間が生じると、せっかく出たやる気もなくなってしまいますからね。
HDデータを扱っていた時代の感覚で8Kや6Kが扱えるので、帰りの飛行機で編集を終わらせてしまうこともあります。
——クリエイターにとってストレージはかなり重要ですね。
もう本当に、それがないと何もできない存在です。メモリーカードとストレージが高速だと、どんどん撮影に行き、どんどん編集して発表できる環境になります。撮影→編集→アップロードというループがすごく短い感覚になるんですね。
——OWCやSamsungのストレージを使い続ける理由は?
今、動画を取る人が増加していて映像クリエイターも増えています。そうした人達に、「メモリカードとストレージは、なるべく良いものを使いましょう」と呼びかけたいですね。
その点、私が使っている製品には”経験からくる高い信頼性”があります。年100TB撮っていてノートラブルですからね。






















