ズーム全域開放F値2.8は高性能レンズの証だ。ソニーのG MasterのF2.8シリーズはいち早く第二世代になり、大幅な小型・軽量化をしつつ画質を向上させた。最近はより手軽に使えるF2.8としてGレンズにもF2.8シリーズが登場した。G MasterとGレンズから代表的な2本を選び、特徴を紹介しよう。
G Master
ソニーEマウントレンズの最高峰シリーズ。高い解像感と滑らかなボケという相反する2つの性質を両立している。動作音も小さくスムーズだ。
G Lens
ソニーEマウントレンズの高性能シリーズ。多彩な焦点域と使い勝手の良いF値を持ち、アマチュアからプロまで幅広いユーザーのニーズに応える。
※本企画は『デジタルカメラマガジン2024年12月号』より転載・加筆したものです。
シーンを選ばない圧倒的な解像力と滑らかなボケ
FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
あまり絞り込まずに手前の稲穂をぼかして視線をSLに集中させた。ピントが合っているSLはシャープな金属の質感で稲穂は穏やかに感じる。両方の質感を1枚の写真で表現できた
ソニー α7R V/101mm/絞り優先AE(F6.3、1/400秒、±0EV)/ISO 250/WB:オート 望遠レンズのズーム全域でF2.8は必要か? 答えはYesである。夕暮れ時の鉄道撮影ではシャッター速度を稼ぎつつ精細に描写し、ポートレートではピント面は繊細に、背景は滑らかに描き出す。軽量かつ高性能なこのレンズは撮影対象を選ばず、撮影者の自由な表現を支える。高い要求にも応えてくれるレンズである。
被写体を浮かび上がらせる滑らかで大きなボケ
望遠+F2.8による滑らかなボケは被写体を際立たせてくれる。余計なものが入り込まないようにしつつ、ボケの量を自在にコントロールできるのがこのレンズの魅力だ。
ソニー α7R V/138mm/絞り優先AE(F2.8、1/640秒、±0EV)/ISO 100/WB:オート 緻密な描写で中央から周辺までクリアに再現する
風景撮影で絞って使うと中央から周辺までしっかり描写してくれる。等倍で鑑賞するとその繊細さに驚くだろう。描写性能が高いのでα7R Vなどの高画素機と相性が良く、大きくトリミングしても十分な解像感が得られる。
ソニー α7R V/200mm/マニュアル露出(F8、1秒)/ISO 100/WB:オート 機動力の高いボディで日常を高画質に写し取る
発売日:2024年4月19日
オープン価格
※製品について詳しくはこちら:https://www.sony.jp/ichigan/products/SEL2450G/
●SPECIFICATION
レンズ構成:13群16枚
絞り羽根枚数:11枚(円形)
最小絞り:F22
最短撮影距離:0.19m(W)、0.30m(T)(AF)、0.18m(W)、0.29m(T)(MF)
最大撮影倍率:0.30倍(AF)、0.33倍(MF)
フィルター径:φ67mm
外形寸法(最大径×全長):約74.8×92.3mm
質量:約440g 雨上がりの白川郷。水たまりに風景が映り込んでいたので、片手で水面ギリギリまでカメラを近づけて撮影した。不安定な姿勢の撮影でも、軽量でF2.8のこのレンズならぶれずにしっかり写してくれる
ソニー α7R V/24mm/絞り優先AE(F2.8、1/250秒、-0.3EV)/ISO 100/WB:オート 広角24mmスタートでズーム全域F2.8というスペックは撮影対象を選ばず、実に使い勝手が良い。しかも驚くほど小型・軽量。そのコンパクトさは一度手に取って実感してほしい。暗い条件下でも手持ちでぶれずに撮れる上に、18cmまで寄れるため、室内撮影でも使いやすい。ズーミングしてもF値が変化しないため、動画撮影でも活躍する。
ボディに付けっぱなしで日常のスナップや旅行、ポートレート、明るさを生かした星空風景など、あらゆるシーンで活躍してくれるオールラウンドレンズだ。
気軽に使えるのでふとした一瞬を逃さない
旅行の際はできるだけ荷物を減らし、撮影も気負わずに行いたい。そんなときはこのレンズがぴったりだ。サッと撮影した何気ないシーンも作品にしてくれる。
ソニー α7C II/50mm/絞り優先AE(F2.8、1/1,000秒、-0.3EV)/ISO 500/WB:オート 夜空に淡く流れる彗星も高画質に写せる
肉眼では捉えにくかった紫金山・アトラス彗星だが、F2.8の明るさを生かし、写し取った。開放でも周辺までしっかり写してくれる描写力は星空写真でも威力を発揮する。
ソニー α7R V/24mm/マニュアル露出(F2.8、8秒)/ISO 6400/WB:オート