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星空写真家がチョイスした“夏の星空風景撮影”に最適なレンズ
周辺部の解像力が高いRF15-35mm F2.8 L IS USMがおすすめ!
2023年6月20日 07:00
6月~9月にかけて、東、もしくは南の空に直立する夏の天の川を見ることができる。空を切り分けるような星の流れはとてもドラマチック。地上の風景と一緒にはっきりと写し取るのはむずかしいと思われがちだが、最適な機材を使うことにより、そのハードルは下がる。星空写真家が愛用しているレンズを紹介する。
※本企画は『デジタルカメラマガジン2023年7月号』より転載・加筆したものです。
F2.8通しの広角ズームである本レンズは、星空と風景を絡める撮影に最適。一般的にF4以下の明るいレンズが望ましいとされる星空の撮影において、F2.8は必要十分。単焦点の広角レンズにはさらに明るいレンズもあるが、ズームレンズならではのフレーミングの自由度は、地上の風景と天体をバランス良く収めるのに抜群の力を発揮する。15mmで天の川を広く撮るのも良し、35mmで天の川の濃い部分だけを狙うも良し、20〜28mmで風景とのバランスを思案するのも良し。
地上の風景をいかに印象的に絡められるかが重要になる星空風景で、地上の被写体のテクスチャーを表現でき、RAW現像時にシャドウ部を持ち上げても破綻しない描写力を持ち合わせている。コントロールリングなどカメラとの連携ができることも純正レンズならでは。暗闇で感覚的・直感的に操作できるのはありがたい。
星空風景の撮影に適している理由
①開放F2.8でも非点収差が少ない
星はなるべく「点」で写ることが望ましい。そのため、サジタルコマフレアの発生は抑えたい。光源が尖ってしまうと星の形が美しくない。本レンズは高い光学性能により、非点収差が抑え込まれている。
②地上の風景を描き出す解像力
星が流れないギリギリの露光時間で撮影するため、地上の風景は真っ暗になる。それでもしっかり解像してくれるので、RAW現像ソフトでシャドウ部を持ち上げても細部が破綻することなくディテールが現れる。
③ズームレンズによる自由度の高さ
星景写真の撮影では、地上の風景と天体をバランス良く配置するのに苦労する場合が多い。撮影ポジションが限られているロケーションでは、ズームレンズの自由度の高さが抜群の威力を発揮する。
星を1個ずつはっきりと描き写真に説得力を生み出す【天の川】
風のない神仙沼湿原では、天の川の淡い光が水面に映り込んだシーンも狙いやすい。空の星だけではなく、映り込んでいる星もしっかりと解像して表現したいと考えている。
極めて低いポジションから天の川と水面の映り込みを狙った。ミツガシワの葉のディテールを残すため、地上の景色にピントを合わせた写真と深度合成した。
地上のディテールが場所の情報を伝える【天の川】
初夏のニセコアンヌプリ山頂からは、天の川と羊蹄山、山麓の街々の夜景がぜいたくに同時に楽しめる。遠くの風景や星空に心を奪われてしまいがちだが、せっかく夜間に苦労して登った山頂の足元の質感も残したい。
この写真では地上景の別撮りをしていないにもかかわらず、地表の質感を十分に捉えることができている。「今、ここでしか見られない風景」の、「今(天体)」と「ここ(山頂)」を表現するのに、本レンズの優れた解像度に助けられた。
星座の撮影範囲をズームレンズで調整【北斗七星】
神仙沼湿原は木道以外の場所への立ち入りが禁止されている。6月に横たわる北斗七星が撮影できるこのポイントは、三脚を設置できるスペースが限られるため、ズームレンズのフレーミングの自由度が大いに役に立つ。
この写真では低空に位置する北斗七星と、水面への映り込みを狙った。鏡のようにはっきりと映し出された星空、天地を線対称で表現するために二分割構図に。雲と風がない短い時間にうまく撮影できた。レンズ交換をしていたらチャンスを逃したことだろう。