COSINA WIDE-HELIAR WORLD
中藤毅彦×SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 E-mount
ソニーα7 IIの「ハイコントラストモノクロ」で撮る
2017年3月21日 07:00
月刊誌デジタルカメラマガジンと連動した本特集「COSINA WIDE-HELIAR WORLD」は、コシナがソニーEマウント用にラインナップするフォクトレンダーの超広角レンズ3本(10mm、12mm、15mm)で、3人の写真家がそれぞれ撮影します。第3回は中藤毅彦氏がSUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical III E-mountを手に、ソニーα7 IIのピクチャーエフェクト「ハイコントラストモノクロ」と組み合わせて横浜を撮りました。
ソニーα7 IIにフォクトレンダーのSUPER WIDE-HELIAR 15mmを組み合わせて、光と影をテーマに2日間、横浜を撮り歩いてみた。初めて使用する機材だったこともあり、うまく撮れるのか、撮影前は正直不安であった。また、コンタックスG用のHologon T* 16mmを使いこなせなかった記憶から、超広角レンズは難しいという先入観が僕にはあった。
だがそれは全くの杞憂で、実際に歩きはじめてみると、新たな視覚がグングンと広がっていく撮影に対する興奮のようなものが先に立っていた。何より大きかったのは、α7 IIのハイコントラストモノクロモードの絵作りと、SUPER WIDE-HELIAR 15mmのシャープな描写力が、想像以上に好相性だったことだ。
見やすいEVFで撮影すると同時にモノクロ化された画像を把握できたことが、レンズの操作性の高さと相まって楽しい撮影になった。レンズの描写力は文句の付けようがなく、特に逆光への強さは特筆に値する。その成果は作例でじっくり見てほしい。
1日目・大さん橋
大さん橋を行き交う人々をシルエットで捉えてみた。どんよりとした雲の隙間から僅かな光が射した瞬間のドラマチックな空の表情を、α7 IIのハイコントラストモノクロとこのレンズは克明に描写してくれた。
大さん橋から遠景を眺めた1枚。この日の横浜は時折雨がぱらつく生憎の天候であったが、モノクロの撮影ではこうした悪天候の空が良い効果になったりもする。
2日目・10時:みなとみらい
ビル街の街路樹。超広角レンズはしっかりと水平を取らないと引っ張られた様な湾曲が生じる。だが、それを画面にインパクトを出す効果として活用してみるのも面白さである。
ランドマークタワーふもとに立つ奇妙なオブジェは、様々な撮り方ができる魅惑的なモチーフである。今回は、激しい逆光条件で地面に伸びる影を強調して写してみた。
リー・フリードランダーを気取って、ランドマークタワーが映り込んだ窓ガラスで自写像を写してみた。ちょっとしたお遊びだが、自分では結構気に入っている1枚である。
どこかギリシャの神殿の遺跡を思わせる装飾的な建物をモチーフに、画面を大胆に光と影で二分割してみた。左上のシャドー部を真っ黒に潰してしまったことで、よい緊張感のある画が表現できたのではと思う。
スター・ウォーズでお馴染み、C-3POの等身大フィギュアを見つけて思わずシャッターを押した。このレンズは、どちらかといえば広い光景をランドスケープ的に捉えるのに適していると感じるが、こうした被写体にぐっと迫るのもまた面白い。
ショッピングモールの2階に上って、みなとみらいの街路を俯瞰してみる。人気のない交差点で、標識や横断歩道や路面のタイルが絡み合い、不思議な構成美を醸し出していた。
13時:横浜赤レンガ倉庫〜大さん橋
いまや横浜の名所としてすっかり定着した赤レンガ倉庫の近くに、かつての鉄道駅の跡が遺されていた。昆虫の羽を思わせる古いプラットフォームの屋根越しに太陽の光が透けて、シルエットが美しかった。
1日目と全く異なる強烈な太陽の下、大さん橋の姿を逆光で浮かび上がらせてみた。太陽光を画面に映し込んでもフレアやゴーストは最小限だ。周辺光量の落ち込みが画面に締まりを与えている。
協力:株式会社コシナ