特別企画
キヤノンDPP 4.0で仕上げる紅葉風景
特定色のみ調整して狙い通りの色を目指す
Reported by金子美智子(2014/12/9 07:00)
10月10日発売の書籍「キヤノン Digital Photo Professional 4 パーフェクトマニュアル」(インプレス刊)から、キヤノンのRAW現像ソフト「Digital Photo Professional 4」(DPP 4)を使った金子美智子さんによる紅葉風景の現像テクニックと作例を掲載します。(編集部)
POINT
- [デジタルレンズオプティマイザ]で少し眠い画像をすっきりさせる
- [彩度]や[コントラスト]で写真にメリハリを出す
- [色調整]で特定色のみ調整して狙い通りの色みにする
紅葉風景の華やかさを[色調整]で再現する
紅葉は、標高の高い山からゆっくりと低い場所へと見頃が移っていく。樹々の種類によって色も異なるため、撮影時には色の組み合わせで画面を切り取って構成していくため、色みの調整は重要だ。
私の場合、紅葉の撮影時はホワイトバランスに[太陽光]か[オート]をよく使うが、もちろん撮影時の状況によって設定は随時変えている。例えば、この写真の場合は[くもり]で撮影した。あまり日差しがない場合は[太陽光]だと若干青みがかかることが多いためだ。
少しくすんだ色みが、調整後はクリアになった。[色調整]で紅葉の色鮮やかさが再現され、印象的な色合いに調整できた
DPP 4はRAW現像時にこのホワイトバランスの設定をさらに納得いくまで調整できる点でもとても便利だ。また、画像の色作りに大きく影響する[ピクチャースタイル]に関しては、[風景]を選んでいる。さらに[彩度]や[コントラスト]などの微調整で、本来の紅葉の華やかさを再現してみたい。
現像ステップ
STEP 01:[レーティング]で画像を絞り込む
私の場合、写真選びには下記のように画面の切り替えと[レーティング]を併用している。
まず[メイン画面]で構図や露出などを基準に選び、候補写真に[レーティング]で★マークを付ける。次にその候補写真を[クイックチェック画面]で100%の表示にしてピントをチェックしてさらに絞り込む。
最後に選んだ画像を[セレクト編集画面]で開き、[ツールパレット]で画像調整を開始する。
STEP 02:[明るさ調整]には[ヒストグラム]を利用
[セレクト編集画面]で[基本調整ツールパレット]を使って基本的な調整を行うが、[シャープネス]の項目はあとでコントロールするため、最初にチェックを外しておく。
まずは[明るさ調整]のスライダーを左右に動かし、[ヒストグラムパレット]のヒストグラムがほぼ中央に山型に表示されるように調整。このとき[輝度のみ]で表示すると見やすい。
STEP 03:[ホワイトバランス調整]で[太陽光]を選んでコントラストを出す
撮影はすべてAdobe RGBで行っているため、[作業用色空間]も[Adobe RGB]に設定されていることを確認してから使う。
次に、それぞれの色のメリハリを出すため、[ホワイトバランス調整]で色みを調整。撮影時は天気に合わせ[くもり]を選択していたが、コントラストを優先して[太陽光]を選択した。[ピクチャースタイル]は撮影時の[風景]のまま。
STEP 04:[ガンマ調整]で輝度を自動調整する
[ガンマ調整]にはワンタッチで輝度を自動調整してくれる[自動]ボタンがあるので、これを押す。さらにその下の[詳細設定]にある[コントラスト]と[色の濃さ]で微調整した。
STEP 05:[デジタルレンズオプティマイザ]でシャープネスを強める
[レンズ補正ツールパレット]を開き、色収差や周辺光量をチェック。このときツールパレット上部の[小窓]に気になる部分を表示すると、等倍や拡大にして効果がプレビューで確認きるので便利だ。
よく見てみると、[シャープネス]を最初にオフにしていることもあり、全体的に少し写真がぼやっとして眠く感じる。紅葉の枝などをシャープにしたいので[デジタルレンズオプティマイザ]にチェックを入れる。
前述の通り、この[デジタルレンズオプティマイザ]を使うときは、あらかじめ[シャープネス]のチェックを外しておくのを忘れずに。
STEP 06:[色調整]で特定の色域を調整する
[色調整]で特定の色域を調整する。DPP 4から搭載されたこの機能は、[色相][彩度]のほか、8色それぞれの[H](色相)、[S](彩度)、[L](輝度)の項目を調整できる。
他の色に影響を与えず特定の色のみが調整できるので、紅葉の色調整に向いている。
イメージに合わせたホワイトバランスの調整と[色調整]で表現の幅が広がる
キヤノンの純正ソフトであるDPP 4でRAW現像するうえで私が特に気に入っていることがある。それはRAW現像時にいろいろなホワイトバランスを試して画像の違いを見られること。自分のイメージに合ったホワイトバランスを選ぶことができるからだ。
また、キヤノンの純正レンズで簡単に使える[デジタルレンズオプティマイザ]でレンズの収差補正を行い、画像をクリアに仕上げられる点もいい。
そして、DPP 4から搭載された特定色域の調整機能は、他の色に影響を与えず、自分が思い描いている色に微調整できる。これにより、表現する幅が広がり、以前よりもDPPを使ってのレタッチ作業は楽しくなったと感じている。
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