特別企画
APO-LANTHAR(アポランター)の実力を3つのシーンで検証
ニコンZマウントに最適化された名玉で撮る自然風景、ポートレート、スナップ
2022年6月20日 12:00
フォクトレンダー史上最高性能と謳われるAPO-LANTHAR(アポランター)。その準広角レンズとして発売された「APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical」のニコンZマウントモデルがいよいよ登場する。画質や操作性において同マウントに最適化されたこのレンズの実力を、自然風景、ポートレート、スナップの3つのシーンで探っていく。
※本企画はデジタルカメラマガジン2022年7月号より転載・加筆したものです。
金属製の質感とクラシカルなデザイン
手のひらに収まるほどコンパクトで持ち運びがしやすく、約360gの軽さは長時間の使用も苦にならない。フォーカスリングも適度なトルクで扱いやすい。黒を基調とした高級感あふれる金属製の質感はZマウントのボディと相性が良い。
電子接点を備えてZマウントに適合
マウント部分に電子接点を搭載し、レンズとボディ間の電気通信を実現。F値やレンズ名、焦点距離などのExif情報を記録できるほか、3軸のボディ内手ブレ補正、フォーカスピーキングや拡大ボタンを使ったピント合わせが可能だ。
Q. APO-LANTHAR(アポランター)はなぜ高性能の称号なの?
A. 周辺部に至るまで驚くほど解像力が高いから
特筆すべきこのレンズの魅力は、コンパクトな設計からは想像できないほど素晴らしい解像感ではないだろうか。画像中央部はもちろんのこと、周辺部の解像力も驚くほど高く、現場でカメラの背面モニターを拡大するだけで惚れ惚れするほどのシャープさが得られていることを実感できる。ニコンZマウントに最適化されていることも大きいだろう。アポクロマート設計の特徴である色収差の出にくさや、偶数絞りの美しい光条など、このレンズが写し出す風景写真はどれも満足のいく仕上がりだ。(佐々木和一朗)
Q. F値によって絞りの形状が変わるメリットは何?
Q. ポートレートにおけるAPO-LANTHAR(アポランター)のメリットは?
A. パープルフリンジが皆無でボケも滑らかなこと
ポートレート撮影をしてみて、まずはピント面の繊細な表現力に驚かされた。開放F値であるF2からまつげや髪の毛の1本1本を極めてシャープに表現し、背景は滑らかで素直なボケが得られる。それによって写真に立体感が生まれる。また、アポクロマート設計を採用しているため、輝度のある部分に現れやすいパープルフリンジを抑え、クリアで抜けの良い印象だ。人物の透明感をそのまま引き出せている。また手前に配置した前ボケもくせがなく、自然に人物の表情へと視線誘導される。(コムロミホ)
Q. マニュアルフォーカスだとピント合わせが難しいの?
A. フォーカスピーキングが使えて操作がしやすい
スナップでもF2の開放で撮影を行った。シャープなピント面と滑らかなボケを生かすことで、主題が明確にできる。そのためには引き立てたい部分にしっかりとピントを合わせる必要があるが、合焦した部分に色を付けて知らせてくれる「フォーカスピーキング」を使用することで簡単にピント合わせができる。また、ファンクションボタンに「拡大画面との切り替え」機能を登録しておくと撮影中に被写体を拡大して確認できるので、さらに精度を上げられる。(コムロミホ)
モデル:山本珠緒(オスカープロモーション)
制作協力:株式会社コシナ