特別企画

サンテック「JINBEI スピードライト HD-2PRO」

上質な肌を演出する80W高出力クリップオン

デジタルカメラマガジン2020年2月号より、清田大介さんによる「JINBEI スピードライト HD-2PRO」を使用したテクニックをお届けします。Lightroom Classic CCを使用した撮影後のレタッチについても解説いただいています。(編集部)

※実勢価格はいずれも税込表記


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JINBEI スピードライト HD-2PROとは

各メーカーの主要カメラのTTLオートとHSSに対応したクリップオン式のフラッシュ。フル発光時のリサイクルタイムは1.2秒で、最大出力は80Wsとなっている。

LEDのモデリングランプを点灯させることができ、2.8インチの大型液晶パネルは直感的なタッチ操作が可能。

水平方向に180°、垂直方向に90°回転するヘッドの仕様は、ラウンド型で柔らかい光を照射してくれるため、ポートレートの撮影にはありがたい。

別売のディフューズボールを使えばさらに柔らかくなる。屋外、イベントなど用途を選ばずに活躍してくれるフラッシュだ。

SPECIFICATION
・GN:60(80Ws )
・フラッシュモード:TTL(オート)、マニュアル
・閃光時間(t=0.5):1/800~1/10,000秒
・対応メーカー:OMDS、キヤノン、ソニー、ニコン、パナソニック、富士フイルム
・外径寸法:約80×80×215mm
・質量:約450g(バッテリー含まず)
・実勢価格:46,000円前後


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POINT 1:早朝の光を演出するストロボテクニック

朝の爽やかな空気感を表現したいと考えて柔らかい光を発光するために、HD-2PROにディフューズボールを装着した。モデルのやや斜め上から照射した光をカポック(白い板)へバウンスさせることで、さらに柔らげている。非常になだらかに減光されるので、カポックの面積全体を活用して光を自然に反射することができる。

ディフューズボールを装着したHD-2PROをモデルの左上からカポックに発光

スピードライト HD-2PRO発光

EOS R5/RF24-70mm F2.8 L IS USM /65mm/マニュアル露出(F4、1/125秒)/ISO 400/WB:5,550K
EOS R5/RF24-70mm F2.8 L IS USM /67mm/マニュアル露出(F4、1/125秒)/ISO 400/WB:5,550K

非発光

蛍光灯だけだと目の下にきつい影ができてしまう

使用した純正アクセサリー

遠隔のフラッシュをコントロールできるワイヤレストリガー TR-Q7(実勢価格1万7,000円前後)
フラッシュ光を柔らかく拡散するHD-2用ディフューズボール(実勢価格 3,000円前後)


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POINT 2:輝く夜景の中でモデルを引き立てる

夜景を背景にしたポートレートでは、露出を夜景に合わせてフラッシュで顔の明るさを補う。HD-2PROは80Wsあり、夜の屋外でソフトボックスを利用しても光量不足にならない。光を拡散して照射する。モデリングライトを利用して、AFで瞳にピントを合わせている。

ソフトボックスを装着したHD-2PROを1灯、モデルの斜め左から、顔に当たるよう高い位置から発光

スピードライト HD-2PRO発光

キヤノン EOS R5/RF24-70mm F2.8 L IS USM/65mm/マニュアル露出(F4、1/125秒)/ISO 400/WB:5,555K

非発光

夜景に露出を合わせると人物は真っ暗になる


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+α:2灯のモノブロックを使った本格ビューティーフォトに挑戦

顔をアップで撮影するビューティーの表現では、F値を絞って肌の色や質感をしっかりと出すことが重要。低感度であることも必要なので、大光量が求められる。

そこで、400WのHD-400PROをトップから照射。撮影の前にモデリングライトを使用して光の方向を確認し、角度を微調整している。トップ光でできやすい影を補うために、下からは200WsのHD-200PROを照射した。

ソフトボックスを装着したバッテリーモノライトHD-400PROを上から発光し、下からバッテリーモノライトHD-200PROを発光

バッテリーモノライトHD-200PROとバッテリーモノライトHD-400PROを発光

EOS R5/RF24-70mm F2.8 L IS USM/65mm/マニュアル露出(F4、1/125秒)/ISO 400/WB:5,555K

非発光

蛍光灯のみだと光量不足でF値を絞れない

使用機材

出力200Wsのコンパクトなバッテリーモノライト HD-200PRO(実勢価格5万9,000円前後)
出力400Ws、ハイパワーなバッテリーモノライト HD-400PRO(実勢価格8万8,000円前後)


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ビューティーフォト レタッチテクニック:オレンジとイエローを調整して肌を整える

蛍光灯を使用した室内での撮影の場合は、フラッシュを使用して肌に当たる光の状態を一定にしておくことが大事。撮影時に顔にしっかりと光が回っているとレタッチの仕上がりも良いし、何よりも画像が破綻することがない。モノブロック2灯を使用して撮影した顔のビューティーフォトを仕上げるには、露出を明るく整えてから肌のトーンをアップ。細かい色のにじみなどを取り除いて完成する。

※スクリーンショットはAdobe Lightroom Classic CCの例です。

STEP①|全体を明るく起こして白い肌のベースを作る

ワントーン明るいとより美肌に見えるため、露光量とコントラストをアップ。階調を生かし切るために、ヒストグラムを見ながら、白飛びせず黒つぶれしないギリギリまでハイライト、シャドウ、白レベル、黒レベルを調整。肌のキメを残しながら滑らかにするためテクスチャをアップして明瞭度とかすみの除去を下げた。色温度と色かぶり補正、自然な彩度と彩度の調整で透明感を出している。

STEP②|オレンジとイエローの彩度と輝度を調整する

肌の色に透明感を出すためにHSLを使用して、オレンジとイエローの彩度を下げる。その際に、健康的に見える範囲で補正するように注意する。加えて、肌のトーンをアップするために同じくオレンジとイエローの輝度を若干アップする。過度に調整し過ぎるとトーンジャンプを起こしてしまうので、味付け程度に控えめに補正することを心掛ける。

STEP③|目の下のシャドウを抑えて全体の質感を整える

モデルの顔立ちによっては、目の下や鼻の周りのシャドウが沈みやすい場合がある。そのようなときには、マスクのブラシを使用して、沈んでしまった部分を選択。コントラストとシャドウをアップした。

モデル:星 里咲
制作協力:株式会社サンテック

このページはデジタルカメラマガジン2022年2月号より抜粋・再構成したものになります。

清田大介