特別企画

すっきりしたデザインと自由度の高さ…ハクバ「LUXXe グリッド ジップバックパック」レビュー

インナーボックスを自在に配置 “鉄より強い”新素材を採用

ハクバ写真産業が7月に発売したLUXXe(ラグゼ)グリッドシリーズは、ファッションと機能性を融合したという新しいカメラバッグだ。バックパック2モデル、ショルダーバッグ2モデル、ポーチ1モデルがラインナップされている。いずれも街での撮影を意識した製品となる。

素材には鉄の15倍の強度で水に浮くほど軽いというHONEYWELL社「SPECTRAファイバー」と、INVISTA社のCORDURAファブリックを組み合わせたものを使用。軽量・撥水・耐摩耗性に優れているという。

そのLUXXe グリッドシリーズのうち、「ジップバックパック L」を写真家の佐々木啓太さんに使ってもらい、その印象を綴っていただいた。(編集部)


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LUXXe グリッド ジップバックパック L

カメラバッグで一番大切にしていることは機能性。どんなにおしゃれな感じになっていても機材の収納力が少なかったり、出し入れがしづらいものは使わなくなる。

昔は撮影中の機材の出し入れがしやすいショルダータイプのカメラバッグばかり使っていたが、現在はほぼ100%バックパックになった。ひとつは長年付き合っている腰痛の問題。もうひとつは撮影中にしゃがんだりすることも多くバックパックの方が動きやすいというのがある。

バックパックタイプのバッグを選ぶときに重視するポイントは2つ。まずは背負ったときのバランス。基本的にバックパックを背負うときは登山で背負うのと同じように体にしっかり密着させるので、背負いやすさを考慮しているかそうでないかはチェックする。この点はフィット感が良く、クッションにも程よい厚みがあり、重量の軽減効果を感じて好印象だった。

佐々木啓太さん

次に気になるのが機材の出し入れのしやすさ。私の撮影スタイルでは、撮影中にレンズを交換することはあまりないが、撮影をしない移動中は出来るだけ機材はカバンの中に入れている。今回主に使ったジップバックパック Lは、バッグを地面に置かずに機材の出し入れができる点が気に入った。さらに家の中で機材を含めた荷物を整理するときは、大きくカバンを開けられるので整理しやすい利点があった。

カメラバッグは収納性を考えるとどうしても無骨な箱型でマチも広くなりやすい。今回のLUXXe グリッドシリーズは、素材にこだわりがあり、少し細身のシェイプが良いのでとてもスッキリした印象だ。

一番大きなジップバックパック Lでもマチはそれほど広くない。その見た目以上に収納力は高いが曲線や面の角度の使い方が絶妙でその大きさを感じづらく、街中で使っていても違和感なくスマートに見える。

LUXXe グリッド ジップバックパック L(カラー:ブラック)

ブラックは素材の印象で真っ黒ではなく少しグレーが入ったようなガンメタリックに近いカラーなので、重たい雰囲気にならず、明るいファッションでも違和感なく使える。個人的には赤など派手な服装が多いのでとても嬉しく思えたポイントだった。

LUXXe グリッド シリーズの素材には、共通してHONEYWELL社「SPECTRAファイバー」とINVISTA社のCORDURAファブリックという2つの素材が使われている。

バッグ表面は非常に滑らかな肌触りで少しすべすべした感じだ。この滑らかさは心地よく意味もなくスリスリしたくなるほどだった。強度は鉄の15倍という強さを持っており、表面の滑らかさは引っ掻き傷などができにくい印象がある。そして、驚くほど軽い。

防水素材ではないが、撥水効果はあるので、多少の雨であればそのままで大丈夫。ただ、カメラ機材と同じようにカメラバッグも積極的に濡らすような使い方は避けたほうが良いと思う。フィールドなどであまり傘を使えない条件の場合は別途防水カバーを使うのもひとつの方法だと感じた。ジップバックパック Lには、登山用品店などで購入できる30L用の防水カバーがジャストサイズだった。

ジップバックパック Lが採用するフルオープンスタイルの良さは、カバンの中を隅々まで確認できること。例えば、家で機材の準備をしているときもフルオープンでバッグの中を全て確認できると忘れ物の確認もしやすい。

さらにインナーバッグは面ファスナーで好きな場所に付けられるので、機材の量や撮影スタイルに合わせたカスタマイズがしやすい。

個人的にはジップバックパック L は、収納力が高いので、インナーバッグを2つ使う。そんなスタイルが選べると良いと感じた。

インナーバッグを上につけた状態。機材を上から出し入れできる
インナーバッグを下につけた状態。機材を横から出し入れできる

ジップバックパック Lのサイドアクセスはフルオープンで使うジッパーをそのまま兼用している。このために左右どちらからのサイドアクセスだけでなく上からのアクセスにも対応できる利点がある。この自由度も撮影条件に合わせたカスタマイズがしやすく活用範囲が増える。バッグを肩にかけた状態での機材の出し入れはとてもスムーズにおこなえた。

インナーバッグには蓋(蓋は背面に収納できる)が付いておりマチは意外に広い。最近多くなっている小型のミラーレスシステムでは遊びの部分が多くなると感じるほどの収納力がある。

例えば、フルサイズ一眼レフのPENTAXの K-1 Mark IIは、ボディーが縦でも横でも入り、レンズ径が77mmなど少し大きなレンズでも余裕がある。

今回はLimitedレンズが中心でそれほど太いレンズがなく、インナーバッグの仕切りは2枚なので、今回のように少しコンパクトなレンズを入れるときは移動中にレンズが動くのを防ぐ工夫が必要だと感じた。

ノートPCスペースは背面にメインのコンパートメントとは別で、サイズも15インチ程度のノートパソコンが余裕で入る。大きく開くので出し入れもしやすい。

(ノートPC収納例)

ポケットが多くなるとバッグ全体のシェイプがスマートでなくなるが、そのスマートさを保ちながら必要最低限のポケットがあるのが特徴で、側面のポケットは付属のストラップを使って三脚が固定できる。

背負った感じはショルダーや背面のパッドに厚みがあり、しっかりしているのでとても良好だった。先に書いたように私は体にフィットさせるように背負うので、ストラップの上側にフィット感を調整するハーネスが付いているのが好印象だった。この部分には、首にかかるカメラストラップの負担を軽減する「くびの負担がZEROフック」(別売)も装着できる。

マグネット式のチェストハーネスは初体験ではじめは少し手間取ったが、慣れると付け外しが楽なので使い勝手は良かった。

今回メインで使ったジップバックパック Lは、収納力がありながらとてもスマートなスタイルになっているので、街中から旅まで多様に使える。いかにもカメラバッグ的な感じが少なく、軽さもあるので、幅広いユーザーに使っていただきたい。コヨーテも落ち着いた色合いで、どちらのカラーも素材の良さが光るバッグなので、実は女性の皆さんにも一度は手にしていただきたいと感じた。


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その他のLUXXe グリッド シリーズ

上に挙げたジップバックパック L以外のLUXXe グリッドシリーズのラインナップを紹介したい。

LUXXe グリッド ロールトップバックパック M カメラバッグ

インナーボックスの位置を変えられるアタッチメントシステムを踏襲しつつ、ロールトップ式のカジュアルなデザインを採用したバックパック。カラーはブラックとコヨーテ。

LUXXe グリッド ロールトップバックパック M カメラバッグ(カラー:コヨーテ)
インナーボックスの収納例
「首の負担がゼロフック」を装着できる

サイズ的には街中や女性にはこちらの方があっていると感じた。バッグ上部の開閉は、今流行りのロールトップ式でよりカジュアルな印象だ。ロールトップは機材の素早い出し入れには不向きだと感じることもあるが、機材の出し入れはバッグ側面からのアクセスで対応できるので、こちらも気にならず使い勝手は良い。インナーバッグはジップバックパック Lよりはマチが少し小さくなるが、カメラ1台とレンズ2本程度であれば十分収納できる。(佐々木さん)

LUXXe グリッド ジップショルダーバッグ

ショルダーバッグはLとMの2サイズ。どちらもインナーボックスが付属し、そこにカメラやレンズを収めるタイプだ。Lには14インチのノートPC、Mには11インチのタブレットを収納できる。どちらもキャリーバッグのハンドルに装着可能なキャリーバーホルダーを備えている。

LUXXe グリッド ジップショルダーバッグ L(カラー:ブラック)
LUXXe グリッド ジップショルダーバッグ M(カラー:マスタード)
インナーボックスの収納例
キャリーバッグのハンドルに固定できる

ショルダーバッグは基本的に斜めがけに対応した作りになっている。しっかりと弾力のある肩パッドの両サイドからストラップの長さを調整できる。

インナーバッグは小型の一眼レフやミラーレスカメラ1台とズームレンズ2本が収納できるサイズ。インナーボックス(こちらは蓋なし)は面テープで固定してその周辺には少し余裕がある。

ノートパソコンやタブレット用のスリーブもあるので、機材以外の小物の収納能力も高く、キャリーバーホルダーもあるので、様々なシーンで活躍してくれそうだ。(佐々木さん)

LUXXe グリッド マルチポーチ M

ジップバックパック Lやロールトップバックパック Mとデザインを合わせたポーチ。コンパクトデジタルカメラ、スマートフォン、モバイルバッテリーなどを収納可能だ。

ジップバックパック Lと同様、大きく開くため収納した機材を取り出しやすい。背面のベルト通しを使ってバックパックやショルダーバッグに取り付けられる。

LUXXe グリッド マルチポーチ M(カラー:ブラック)
LUXXe グリッド マルチポーチ M(カラー:コヨーテ)

コンパクトデジタルカメラを想定していると考えていたが、GR IIIを入れるとかなり余裕があって、DJI Pocket 2が収まる長さがある。

内部には仕切りがあるのでスマートフォンとカメラを同時に収納できる。しっかりとした作りで、固定には面ファスナーベルトを使い、落下防止用のフックも付いているので万が一の対策もしっかりされている。

デザイン的な意匠も揃えてあるので、他のシリーズのストラップにつけて一緒に持ち歩きたいと感じた。

佐々木啓太

(ささきけいた)1969年兵庫県生まれ。街角写真家。写真専門学校を卒業後、貸スタジオ勤務、写真家のアシスタント生活を経て独立。雑誌での執筆と作品作りが主な活動。Facebookページ