特別企画
GoPro MAX
360度以外も充実 オールラウンダーなVlog向けカメラ
2019年11月14日 07:00
10月25日、GoProから2つの新機種が発売された。ひとつは言わずと知れたアクションカメラHEROシリーズの「GoPro HERO8 Black」で、もうひとつが360度撮影が可能な「GoPro MAX」だ。
試用した機材はメディア向けのVIPキットであり、実際に販売されるパッケージとは異なるとのこと。ケース、透明のレンズ保護カバー、自撮り棒兼ミニ三脚のShortyは別売りとなる。
360度カメラなので位置づけとしては「GoPro Fusion」の後継機種となる。パッと見た目は同じ様に感じるかも知れないが、比べてみるとだいぶ進化している。まずは外観からチェックしていこう。
Fusionと比べてみると、光軸をずらして前後に配置されたレンズは変わっていないが、高さ69mm、幅64mm、奥行き24mmと、だいぶコンパクトになった。
そしてすぐに目につくのがタッチスクリーン。最近のアクションカメラには当たり前のように搭載されているが、360度カメラとしてみるとはじめてではないだろうか。これで撮影画面の確認だけでなく、各種撮影条件の変更なども本体のみで簡単に操作できる。
物理的なボタンは電源/モードボタンとシャッターボタンのふたつだけだ。
他のGoProシリーズ同様に本体に三脚ネジ穴はなく、いわゆるGoProマウントを使用することになる。このマウントはHERO8 Blackと同じ様に本体に格納できるデザインになった。
ケースに入れずに本体のみで水深5mまで動作する防水仕様。とは言え水中撮影というよりも、雨や泥がついても大丈夫という程度に考えておいた方が良さそうだ。
左側面のドアを開けると、USB Type-Cポート、バッテリー、microSDカードスロットにアクセスできる。
Fusionは前後のレンズを別々に2枚のSDカードで記録したため撮影後の処理がとても面倒だったが、MAXでは記録メディアはmicroSDカード1枚となり、転送も全天周映像への変換も容易だ。
また前後左右上下の6chのマイクを搭載しており、360度撮影では空間音声記録にも対応。このマイクが後述するHEROモードで活躍する。
360度撮影
通常のアクションカメラと大きく違う点が、前後のレンズで全天周360度の撮影が可能なことである。撮影モードは静止画、動画、タイムラプスの3種類。
静止画解像度は5,760×2,880ピクセルで、他社製コンシューマー機と比較してもまずまずといったところ。全天周撮影されるのでカメラを傾けて撮影しても後から水平は修正可能だが、編集は他社製品よりもひと手間余計にかかる印象だ。スマートフォンに転送してすぐにSNSに投稿したい場合には少し煩わしい。
動画解像度は5.6K@30fps。流石に手ブレ補正に定評のあるGoProシリーズなので、手持ちで移動撮影してもかなり安定して撮影できる。タイムラプスの解像度も動画と同じ5.6Kだ。
360度撮影した動画やタイムラプスは、スマートフォンやパソコンの専用アプリで後からアングルを自由に変更できるだけでなく、キーフレームを打ってパン/チルト、ズームといったカメラワークを付けることも可能だ。操作はとても直感的で分かりやすいが、逆に正確なコントロールとなると難しい。
数値入力などでキッチリとした動きを表現したいのであれば、Adobe Premniere Pro/After Effects用のプラグイン「GoPro FX Reframe」を使用すると良いだろう。本プラグインでは、1つの360度動画からメイン映像以外にサブ画面を追加することもできる。
HEROモード
液晶画面の左下にあるアイコンをタップすると、シングルレンズで使用するHEROモードに切り替わる。
液晶モニターを見ながら前面のカメラで撮影すれば、通常のアクションカメラと同じ様な使い方ができることになる。使用していないレンズにはキャップを被せて保護しておくとよいだろう。
ただし記録できるのはフルHD@60fps(アスペクト比4:3では1,440p@30fps)となり、4Kやハイスピードには対応していないので注意が必要だ。スポーツなどの激しいアクションで使用するには少し物足りないスペックかも知れない。
しかしHERO8より優れている点もある。スマートフォンでインカメラに切り替えるのと同じ様な感覚で、背面カメラに切り替えると、液晶モニターで画角を確認しながらの自撮りが可能になる点だ。
HERO8でも自撮りできるようになるディスプレイモジュラー(アクセサリーパーツ)も発表されているが、MAXなら追加アクセサリー不要である。スマートフォンと違って前後のカメラの画質が変わらないのも良い。
さらに6つ搭載されているマイクを切り替えて使用することができ、前面カメラで撮影しながら背面側のマイクで音声収録するといった使い方も可能だ。
さらに水平維持機能をオンにすれば、カメラを傾けても水平は維持されたまま記録できてしまう。これはオリジナル映像が円周魚眼である360度カメラならではだろう。
これだけスムーズに水平を維持してくれるなら、もう電動ジンバルも不要と思えてしまう。自撮り棒を使えばとても手軽にクレーンショットも撮影できてしまう。これは色んな用途が考えられそうだ。
まとめ
総合的に評価してみると、実はアクションよりもVlog用途に最適なカメラに思えてくる。
360度で記録しておけば撮りこぼしの心配も少なくなるし、後からパソコンやスマートフォンで自由なアングルを切り出すことも簡単。カメラひとつでマルチアングルの様な効果も作り出せる。
強力な手ブレ補正と水平維持機能、さらには5m防水で水辺や雪山でも使えるので旅の記録にも最適。前後のカメラを同じ画質で切り替えて使用でき、狙った音声も収録できる。
突出した性能はないがオールラウンドに使用できる。それが最大の特徴と言えるだろう。