特別企画
Lensbaby OMNI クリエイティブフィルターシステム
魅惑の前ボケを両手フリーで作り出す
2019年11月11日 17:05
「OMNI(オムニ)クリエイティブフィルターシステム」は、普段愛用しているレンズの前面に配置・撮影することで、特殊な効果を写真にもたらしてくれるアイテムのセットです。特徴的な交換レンズを世に出しているLensbaby(レンズベビー)ブランドの製品になります。
今までレンズ前にかざすフィルターや小物を自作していたカメラマンも多いかと思いますが、このセットを使うことで、そうした写真が写真が簡単に撮れるようになります。
箱の中身は?
マウント
このシステムを楽しむには、まずは「マウント」をレンズ前面のフィルターネジ枠に装着する必要があります。「マウント」は、磁石を付けることのできる素材でできています。
2種類のサイズが用意されており、Smallはフィルター径58mmに対応。Largeはフィルター径77mmに対応しています。
ステップアップリング
マウントをレンズ前面につける際、径が合わない場合はステップアップリングを使用できます。
Small、Largeそれぞれで付属するステップアップリングが異なります。
Small
→49mm、53mm、55mm
Large
→62mm、67mm、72mm、82mm
エフェクトワンド
このシステムの主役が、写真に印象的な効果を作り出すエフェクトワンドです。
OMNIクリエイティブフィルターシステムには2種類の製品構成があり、それぞれで付属するエフェクトワンドが違います。
クリエイティブフィルターシステム
→クリスタルシーホース、ストレッチグラス、レインボーフィルム
クリスタルエクスパンションパック
→クリスタルスピア、トライアンギュラープリズム、スカラップウィンドウ
使い方
レンズの径に合わせて必要であればステップアップリングを使用し、レンズ前面に土台であるマウントを装着します。
マウント部分にエフェクトワンドを置きたい場所にマグネットマウントを配置し、そのくぼみ部分にエフェクトワンドを装着します。距離を作りたい場合はマグネットマウントにアームを付け、アームの先にエフェクトワンドを装着します。
アームの長さは2種類。組み合わせにより、エフェクトワンドの効果が思い通りの場所に配置しやすくなります。
また、マグネット部分は半球状になっているため、さまざまな角度の微調整が可能です。
強度の強いマグネットなので、多少くるくるしてもエフェクトワンドが落ちることは少ないでしょう。実際、わたしが試用している際中に、マウントからエフェクトワンドが落ちてしまうことはありませんでした。マウントから外す際には気合が必要です……!
エフェクトワンドは、いずれもレンズの前で前ボケを作り出す効果を持ちます。その前ボケがカットされた透明なガラス(またはフィルム)であることで、不思議なフレアやにじみ、像のブレなどが生まれ、写真に写りこむわけです。
コツとしては、なにかしらの光源がある環境で、エフェクトワンドを使用すると大きい効果が得られます。
エフェクトワンドごとの作例
クリスタルシーホース
名前の通りタツノオトシゴのようなフォルム。何かの動物の尻尾のようにも見えます。
角面が多く多方向から光を取り入れ、フレアや反射を得ることができます。
ホース違いですが、馬を撮ってみました……!「クリスタルシーホース」を画角の中央・垂直に配置すると……1頭の馬が分身しているようになりました。
こちらは「クリスタルシーホース」の先端の多角面を使っています。撮影時の西日は弱かったのですが、複雑なフレアが出たことで、光に包まれたような表現になりました。
ストレッチグラス
かまぼこを薄くしたようなドーム型の形状は、平らな面や曲面を使い分けることで光の筋の強さを変えることができます。
ドームの曲面側を使い、ゆるやかなカーブを描く優しい光の筋を作り出し、神秘的な空間をより一層演出することができました。
平らな面を使った例です。力強い朝の木漏れ日のような光を作り出しました。
こちらはストレッチグラスなしの状態です。
レインボーフィルム
写真に虹のような色を付けられるフィルムです。角度を微調整することで虹の大きさや強さを調節できます。
斜め右上からレインボーフィルムを置くことで虹色の印象的な光の差し込みを作り出せます。虹色の濃さも角度で調節することができますが、より自然さを出すために薄めに出るようにしました。
クリスタルスピア
多方面から光を受けやすい形状なので、配置する場所によってフレアの量を調節しやすいのが特徴です。
画角の下側に「クリスタルスピア」を置いて撮影。多角面からたくさん光を受けて光の風の中でコスモスが1輪印象的に咲いているように演出することができました。
トライアングルプリズム
三角の面の部分の幅がすべて異なり、配置する角度によって大きさの違う長い反射を作ることができます。
夜景撮影の際、本来見えている世界を少しだけ上の方にフレーミングし、下に湾曲した水鏡の世界が見えるようにしました。通常の水面の写り込みは波のゆらぎなどが干渉しやすいので、この「トライアングルプリズム」を使って水鏡を演出するのも良いですね。
「トライアングルプリズム」を画面左側に縦に配置し、屈折した反射を使い一部だけ万華鏡で覗いたかのように仕上げ、画面右側からは「レインボーフィルム」を覗かせて縦に虹の光線がスッと入るようにし、東京の夜景をおもちゃ箱の中のような世界観で撮影しました。
まとめ
いままで写真に変化を持たせるため、アストロフィルターをレンズの前にかざしつつもう片方の手でカメラを持って撮影をしたり、ビーズのブレスレットやレースをレンズ前にたらしたりと、試行錯誤していました。
今回このOMNIの発売を聞いて「なんて便利でいろんなアイテムが詰まったセットなんだろう!」とわくわくしていました。
35mmよりも長い焦点距離のレンズで使うことが有効的ですが、フィルター径さえ合えば色々な手持ちのレンズに適用することができるので、複数のメーカーのカメラを持っている人や、デジタル/フィルム問わず色んな撮影に使える可能性があるのも魅力のひとつです。
自作したアイテムをレンズ前に置いて撮っていた人には、両手が自由に使える上、微調整をしながら工夫する余裕が生まれるセットだと思います。また、今までその手の撮影をしたことがない人たちにとっても、新しく想像力をかき立ててくれるアイテムになるでしょう。
クリエイティブフィルターシステムの3種類セットは色んなシーンで使いやすいベーシックなセットで、クリスタルエクスパンションパックの3種類セットはちょっとクセのある印象的なシーンで活躍してくれる印象です。
それぞれのエフェクトワンドの特徴が活かせる撮影シーンで有効的に使いたいアイテムたちです。
撮影協力:silent-music、東京ロリィタ、ルミナス東京
モデル:はらともこ