特別企画
旅行のおともに!カメラバッグに入る30cmの三脚
小さいのに本格派 色んなシチュエーションで使ってみた
2019年4月19日 07:00
小型軽量が魅力のベルボンのウルトレック三脚シリーズに最小・最軽量の「UT-3AR」が登場しました。カメラバッグの空きスペースにも収まるこの小型三脚は、小旅行でどのように力を発揮するのか、さっそく検証のためミラーレスカメラ1台とズームレンズ2本、超広角単焦点レンズを手に熱海での撮影行とあいなりました。
今回、熱海を旅するのは街角写真家として知られる佐々木啓太さんです。市街地や海辺、ハイキングコースなど、熱海周辺をさまざまなシチュエーションで撮影してまわりました。ふだん三脚は持ち歩かないという佐々木さんですが、UT-3ARを使ってみて、どのような感想を抱いたのでしょうか。(編集部)
500mlペットボトル1本半ほどのサイズと重さ
この3月末に発売されたばかりの、ベルボン ウルトレック UT-3ARと共に熱海に一泊旅行。気軽な一泊旅行のおともというのがUT-3ARのイメージに合っていると感じたからです。
UT-3ARについてもう少し解説すると、ベルボンのヒット商品でもあるウルトレックシリーズの最新にして最小・最軽量のモデルです。ウルトレックシリーズは足を180度反転させてコンパクトに折りたためる収納のしやすさが売りです。
UT-3ARの収納時のサイズは295mmで、500mlのペットボトル1本半程度の大きさで、重量はわずか786g(これも500mlのペットボトル1本半程度)と、とても小さく軽いのが特徴で、三脚ケースも付属しています。
持ち歩いているときは数値以上に軽く感じて、使用時もコンパクトなので何のためらいもなくカバンに入れて持っていけます。
今回は、こうした点を意識しながら、三脚があると便利な場面で使ってみたいと思います。
渓流でファーストショット
熱海到着時の天候は雨。まずは気持ちを引き締めるため、この旅の成功祈願もかねて来宮神社にお参りしました。
その後、樹齢2,000年と言われる大楠にパワーをもらい、近くの川でのファーストショット。
目で見た印象では勢いよく流れている水流も、シャッター速度を遅くすることで糸を引いたような滑らかなイメージで表現できます。下の作品はシャッター速度を0.5秒まで落として撮影していますが、このシャッター速度だと手持ちではブレが目立ってしまいます。こうしたシーンや撮影意図がある場合には三脚が不可欠です。
撮影中は小型ながらも安定感があるのに驚き、傘をさした状態は三脚を使った方がゆったり安心して撮影できるとの再確認もあって、雨で下がり気味だったテンションは復活傾向に。
コンパクトなサイズのため、欄干の上に据えて使用することもできました。ちょうど目線の高さになり、使い勝手の面でも良好です。サイズが大きめの三脚だとこうした使い方はできないため、旅のおともとしてのUT-3ARの利便性を実感。
長時間露光に便利
そうこうする内に雨もあがり、雲間に太陽がうかぶように。来宮神社を後にして、来宮駅方面へと向かいました。熱海は起伏に富んだ土地で、水も豊か。水流や草木といった三脚があると撮影イメージのひろがる被写体が多くみられます。
山間部に竹をみつけました。少し風のある状況を利用して長時間露光でブラして撮影しました。NDフィルター(ND1000)を使って風に揺れる竹のイメージを捉えています。
坂を下って海へ出ました。水面に漂うカモメもNDフィルター(ND1000)を使って露出時間1秒でブレを利用した、印象画のようなイメージを狙いました。いつもとちょっと違う表現にチャレンジするためにも、三脚はあると便利なアイテムです。
その他、港での何でもないひとコマも長時間露光でイメージを変えながら、「やっぱり三脚楽しいかも」とテンションは上昇。
とにかく小さく軽いので、付属のカラビナとミニストラップで腰のベルトなどにぶら下げていても気になりません。
構図を安定させたいときや被写体待ちで有利になる
三脚を使うと構図が意図通りにしっかりするメリットもあります。
花の揺れが止まるのを待ったり、画面の中に人が入ってくる瞬間を狙ったりなどする場面で、最初に決めた構図位置から撮影時の画面がずれることもありません。
桜は少し旬を過ぎていましたが、アップにすればその雰囲気を伝えることができます。
人の絡みを待つときも手持ちで待ち続ける必要がないため楽ですし、求めていた瞬間を撮りやすかったです。
三脚を使うときは、ブレを抑えるためにリモートレリーズを使うのが基本ですが、なければ2秒のセルフタイマーを使うのもオススメです。
夜景や星景にも便利
夜景や朝景は開放F値の明るいレンズを絞り開放で使って、かつ感度を上げれば手持ちでも撮影できます。ですが、そこに三脚があると長時間露光で流れや揺れを表現できるので、その場の雰囲気を強調できるようになります。
星の撮影でも三脚は欠かせません。もちろん、何時間もかけて星の軌跡を表現するのが目的であれば、しっかりとした三脚を選んだ方が良いと思います。そもそもそんな撮影をするためには熱海では街の光が強すぎました(笑)。と言いながらも、せっかくなので少し暗い場所を選んでプチチャレンジ。露光時間が1分程度の星景撮影ならUT-3ARは十分に期待に応えてくれました。なお、星景撮影にはリモートレリーズも必須アイテムです。
日の出前の撮影。シャッター速度を遅くして露光時間を長くすることで、目で感じる以上の空の色みを再現できます。
絞り込むことが多い自然風景で便利
自然風景は、低感度である程度絞り込んで撮影すると、暗部や細かい部分の描写再現に余裕がでます。
高感度画質が上がり、手ブレ補正の効果が高まったいまでも、この基本は変わりません。特に薄暗い森の中は三脚の出番です。
自然風景の撮影では傾斜地で三脚を据えることが多く、出来るだけ三脚を水平に保つように脚の長さを調整します。こんなときもUT-3ARは伸縮時の操作が滑らかで調整しやすく扱いやすいと感じました。
伸縮の調整は調整用グリップ以外でも任意の段で可能です。三脚を伸ばすときは脚の先端の石突きをひねるだけのウルトラロックがスムーズに動きます。固定も同じところをひねるだけです。
三脚禁止の場所でロッカーに楽々収納
熱海にある起雲閣は旅館として使われた歴史もあって、少し歪みのある大正ガラスや和と洋の雰囲気を楽しむことができます。手持ち撮影であれば室内での写真撮影はOKとのことです。
起雲閣のような文化財では、室内での三脚の使用が禁止されていることがあります。そうすると、中で三脚を持ち歩くことすら気になります。
幸い、起雲閣にはロッカーが備えつけられており、荷物を収めることができます。ここでコンパクトなUT-3ARが威力を発揮。荷物と一緒にロッカーに入れることができました。長い三脚だとこうはいきません。
自撮りでも活躍
インスタグラムの影響もあって自撮りの記念撮影は今や旅の定番です。スマホやアクションカムであれば一脚にスタンドがついた、さらに小型の製品でも十分かもしれません。
しかしミラーレスカメラで自撮りする場合は、直接カメラを持って撮影するシーンが多くなります。そんなときにUT-3ARがあれば、カメラから離れて全身を入れての記念写真が撮れます。アラフィフにはこの条件でジャンプするという発想がありませんでした(笑)。
まとめ
デジタルカメラの高感度耐性の向上で、三脚のお留守番比率が高まっています。が、今回の旅を通じて三脚のありがたさを再認識しました。その中でも軽量コンパクトなUT-3ARの存在は見逃せないと感じました。
そう思ったのは、そのサイズや軽さもありますが、なによりも工作精度の高さからくる安定感に理由があります。小型軽量の三脚はガタつきが大きく結局長時間露光では使いづらいことがあります。そんな不安感がなく使えるのがUT-3ARの最大の魅力でした。それでいて超小型・超軽量です。
メインの三脚に、という発想はないとは思いますが、その値段設定からも1本あると重宝する存在だと感じながら熱海を後にしました。
制作協力:ベルボン株式会社
撮影協力:起雲閣