特別企画
ロケ撮影で威力を発揮 バッテリー式ストロボ「B1X」の進化ポイントは?
強力な光を外で使いこなす 光量アップの新アクセサリーも登場
2017年5月31日 08:00
新発売のプロフォト「B1X 500 AirTTL」は、ロケ撮影で最強のバッテリー式のモノブロックストロボだ。2015年発売のB1 500 AirTTLの後継モデルとなる。今回は新たに追加された2つのOCFアクセサリーと共に、B1X 500 AirTTLの特徴や強化された機能について具体的に解説していく。
外観・操作性
まずB1X 500 AirTTLで強化された部分がバッテリーの容量だ。サイズや重量を変えず、前モデル比で50%も容量が増した。フル出力で最大325回の発光が可能となる。これでよりバッテリーを気にせず撮影に集中できるようになった。なお、このバッテリーは前モデルのB1 500 AirTTLにも対応する。
外観で前機種から大きく変化したところは、発光部周辺のフロントリングがメッキパーツからマットブラックになったことだろう。物撮りなどで接写する際も映り込みがより軽減できるようになった。
上記の他、アンブレラホルダーもマットブラックに変更。筐体部分のズームスケールも必要最低限の数値を残し、横ラインをなくしたデザインになっている。
なおB1X 500 AirTTLをはじめとするプロフォトの製品の多くはTTL発光やHSS(ハイスピードシンクロ)が可能だ。ここも大きな特徴となっているが、利用するには専用の無線送信機「Air Remote TTL」が必要なので注意。カメラメーカーはこれまでのキヤノンとニコンに加え、ソニーとオリンパスでも利用可能になった。なお、今回はオリンパスのミラーレスカメラを使って作例を撮影していく。
9段の出力レンジに対応するハイスピードシンクロ
ここからはポートレート撮影を題材にB1X 500 AirTTLの特徴を見ていこう。B1X 500 AirTTLが前モデルから大きく進化した機能の1つがHSSレンジの拡張だ。HSSは高速シャッターを利用しながらストロボが発光できる機能。この機能を利用することで、背景ボケを利用した日中シンクロなどが気軽に行えるようになる。
前モデルのB1 500 AirTTLでは、3〜4段(10が最大となる本体の光量表示で7.0〜10または8.0〜10)の間でしかHSSが利用できなかった。つまり、光量を落とした発光には対応できなかった。
その点、B1X 500 AirTTLでは9段の出力レンジすべてにHSSが対応できるようになった。これは夕方や日陰など、それほど光量を必要としない場面や補助光的にHSSを活用したい場面などで便利だ。日中シンクロによる表現が、より幅広いシーンで利用できるようになった。
下の作例は、日陰を利用しHSSで撮影したものだ。絞りはF1.8。自然光をベースにストロボを補助的に入れている。肌にメリハリを付けながら、自然な仕上がりを演出できた。
それほど光量は必要なく、出力レンジは5(16Ws)だ。今回撮影で使用したOLYMPUS OM-D E-M1 Mark IIは最低常用感度がISO200になる。明るいレンズの開放値を使おうとしたら、その分シャッター速度は高速となる。こうした場面では、HSSが大きな効果を発揮する。
ライティングは左からビューティーディッシュ(ホワイト)を1灯。特にこのアイテムは被写体に対し、近めに当てたほうがアイテムの効果が出る。そういった意味でも、この描写は光量を弱められなければ、成り立たないわけだ。
LEDモデリングライトの出力が80%増加
LEDモデリングライトの光量が大幅にアップしたことも大きなポイントだ。前モデル比で80%、ハロゲンランプの70Wから130W相当まで出力が増した。正しい色味で表現するための演色性の指数(CRI)も80から90に改善。一般的なモデリングライトとしてだけでなく、メインライトやビデオライトとしても利用できる。
下の作例ではLEDモデリングライトを補助光として直接照射した。木陰を使い、フル出力でライトを照射したが、目視で見てもかなり明るい。あえてオートホワイトバランスで撮ってみたが、色の偏りもなく違和感のない仕上がりだ。LEDのため、被写体に長時間照射していても熱くならないのもいい。
2種類のOCFハードリフレクターについて
さて、今回B1X 500 AirTTLと合わせて新投入されたのが2種類のOCFハードリフレクターだ。OCFシリーズはロケ撮影に最適化された小型軽量モデルのアクセサリーを指す。
ソフトボックスやビューティーディッシュ、フィルターなどの既存のラインナップに、ズームリフレクターとマグナムリフレクターの2種類が加わった。OCFハードリフレクターはプロフォトB1、B1X、B2、D1、D2での使用を推奨している。
OCFハードリフレクターは出力を増長できるのが最大の特徴だ。強い太陽光下で撮影を行う場合や離れた位置から光を被写体に照射したい場合など、大きなパワーを必要とする場面で存在感を発揮する。内蔵リフレクターと比較して、OCFズームリフレクターで最大約2倍(1.2段)、OCFマグナムリフレクターで最大約4倍(1.8段)の出力アップが可能となる。
通常のものに比べ、OCFハードリフレクターは非常に軽くてコンパクトだ。共に専用ケースが付属する。ズームリフレクターに関しては、装着したままB1専用バックに収納可能だ。
OCFマグナムリフレクターは下の写真のように、専用ケースを使うとバックに括り付けて携帯できる。
OCFハードリフレクターのズーム機能
OCFハードリフレクターはセットするズームスケールに合わせ、照射角度を自由に調整できることも覚えておこう。より自分好みの光を演出できるのだ。OCFズームリフレクターで55〜85度、OCFマグナムリフレクターで40〜80度の間で調整できる。合わせるズームの数値が小さくなるほどスポットになり、出力が増す。
具体的な光の広がり方を同じ位置から撮影して比較した。カメラ側の設定は1/250秒、F8、ISO200で固定。シチュエーションは晴天下の日陰を使った。TTL発光のためその都度出力は変化しているが、スポットになるほど集光性が増し、低出力で露出が割り出せているのがわかる。
さらに上と同じ条件のもと、OCFマグナムリフレクターをズーム4にセットし最大出力で、どの距離まで離して被写体にストロボを照射できるかの目安をチェックしてみた。
すると、およそ9mの位置からほぼ全身を明るくできた。同じ位置からズーム4にセットしたOCFズームリフレクターと内蔵リフレクターのみのものでも比較してみた。露出の違いから、パワーの差が見て取れる。
作品
晴天下の青空を背景にB1X 500 AirTTLを使いHSSで撮影。OCFマグナムリフレクターをズーム4にセットし、正面上からストレートに1灯ライティングで撮影した。開放F値を使って人物を浮き上がらせたかったのと、背景のみを暗く落としたかったため、ISO感度はISO64に拡張。シャッター速度も最速の1/8,000秒に設定して撮影している。このような非常に明るい場面でも、出力約4倍のパワーで思い通りの描写が可能になった。
向かって右側の側面にハイライトを入れたくて、OCFマグナムリフレクターをB1X 500 AirTTLにセットし、モデルの右後方に配置して照射。小川を挟むシチュエーションで距離があったが、きちんとハイライトを入れることができた。ズームは4にセット。出力レンジは7だ。これだけ離れていても余裕を持った出力になった。
こちらもHSSの効果を利用したカット。全体的な露出を高速シャッターで落とした上で、写したい要素をストロボで浮き上がらせていく。B1X 500 AirTTLを2灯使ったライティングだ。
モデルに対してはビューティーディッシュ(ホワイト)を使い、向かって右奥の樹木にはOCFマグナムリフレクターを使った。広角レンズを使う場合、離れた位置にライトをセットしないと写り込んでしまう。こんな場面でもOCFハードリフレクターは出力がアップできて重宝する。モデルに向けたライトは出力レンジ8、樹木に向けたライトは出力レンジ10だ。
まとめ
B1X 500 AirTTLでは、前モデルB1 500 AirTTLで残されていた課題がすべてきれいに払われている。特にバッテリー容量のアップとHSSでの全レンジ対応は、屋外でロケを行う際には非常に心強い。より自由度の高いストロボ表現が楽しめるはずだ。
携帯しやすいOCFハードリフレクターもよくぞ作ってくれたという出来栄えだ。これで大光量の必要な場面もまったく怖くない。安価に購入でき、ハードリフレクターを使う敷居が低くなったと感じる。
ちなみにB1 500 AirTTLを持っている方は、ファームウェアのアップデートでHSS時の全レンジ対応が可能となる。容量アップの新バッテリーにも対応することを考えると、B1 500 AirTTLに新しいバッテリーのみを購入して使い続けるのも1つだろう。出力の増したLEDモデリングライトは利用できないが、それ以外の基本仕様は既存モデルでまかなえる。なお、B1とB1バッテリーは在庫終了し次第、廃番となる。
制作協力:プロフォト株式会社
モデル:EVA(MA-Spanky)
告知
初期に製造されたB1X用バッテリーに問題がみつかり、一時中断していたB1Xの販売が、5月29日に再開した。ただし当面は、B1X用バッテリーの代わりにB1用バッテリーが同梱される。B1用バッテリー同梱版のB1X購入者には、後日B1X用バッテリーが送付される。その場合、B1用バッテリーを返送する必要は無い。