私がOM-Dを使う理由。- My Style, My Olympus -
Vol.01:地元の隠れた“絶景”を探して〜木村琢磨さん
身近な自然風景をストレートに美しく
2015年11月25日 07:00
今月から始まった新連載「私がOM-Dを使う理由。」では、新進気鋭の作家たちに、作品の意図・使用機材・制作過程・写真への考えなどを語っていただきます。OM-Dを手にした作家それぞれの作品への思いとは、どのようなものでしょうか。
最初に登場するのは、独自の美意識で風景を再現する、木村琢磨さんです。(編集部)
※作品はAdobe Photoshop Lightroomで現像しています。
写真を撮るようになったきっかけは?
デザインの専門学校でデザインの素材用に写真を撮り始めて、それからデザインよりも写真に惹かれ本格的に撮り始めるように。
同時期に岩合光昭さんの写真と出会った影響も大きいです。
現在、どのような写真関連の仕事をされていますか?
今は岡山の広告写真スタジオにてチラシやパンフレット、Webなどさまざまな媒体に使われる広告写真を撮っています。
仕事ではクライアントさんからご依頼があればどんな被写体でも撮影しています。
影響を受けた写真家、写真集、メディアは?
写真を本格的に撮影するきっかけを与えてくれたのは岩合光昭さんのネコの写真ですね。いままで見てきたネコの写真とは違い、ただカワイイだけではないネコの生態やネコの住む環境、風土などを盛り込んだ写真に素人ながら惹かれるものがありました。
写真を撮り始めてからは、先輩からのアドバイスで、アンリ・カルティエ・ブレッソンや、エド・ヴァン・デル・エルスケンなどの海外の写真家の作品を見るようにもなりました。
写真以外にも、絵画や音楽からも影響を受けています。
絵画からは特にルネ・マグリットの作品から受けたイメージが強烈に頭の中に焼きついてます。
音楽はパット・メセニーの自然を感じさせる音楽(個人的にそう解釈しています)からさまざまなインスピレーションを受けていて、風景を撮影していると頭の中に彼の音楽が自然と流れてくることがあります。
その影響は自分の作品のどんなところに現れていますか?
岩合さんからの影響は見ての通り非常に大きく、オリンパスカメラをメインで使うようになりましたね。初めてのレンズ交換式カメラはオリンパスのE-300でしたし。
岩合さんは動物写真家である前にネイチャー写真家ですので、自然風景との向き合い方を作品を通して学ばせていただきました。
よく、自分の作品を見てくれた人から『絵』のようですねと言われることがよくあるのですが、絵画の表現を写真にも取り入れて仕上げています。
その要素の一つに極力パンフォーカスで撮ることを意識していますね。
近日、OM-D E-M1のVer.4.0で深度合成モードが追加されるので期待しています。
作品のテーマ、コンセプトは?
自分の作品のテーマは身近な自然風景、身近な絶景を探すことでしょうか。
自分が住んでいる場所の隠れた魅力をカメラ片手に探すのが楽しいですね。
県外の方はもちろんですが、やっぱり地元の方にも“こんなに素晴らしい場所に住んでいるんだよ”ということを伝えたいですし、有名な場所だけが絶景・名所であるとは限りません。
風景写真を撮っていると、僕たちは自然に生かされているんだということがよくわかります。そういうメッセージを作品に込めています。
撮影や作品づくりで心がけていることは?
ストレートな写真を撮ること。
何を撮りたいのか、何を見せたいのか、パッと見たときに誰にでも意図が伝わるような写真を心がけています。
なので基本的には日の丸構図が大好きだったりします。
真ん中に被写体をメインに持ってきてあげて、あとは周りに何を配置してどう引き立ててやるのか。
あまり要素の足し算にならないように、引き算をするようにしています。
主な使用ボディ、使用レンズは?
ネイチャー撮影ではボディは主にOM-D E-M1を使い、レンズはM.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROがメインです。ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4.0も使用しています。
それらの製品を使う理由は?
やはりネイチャー撮影には防塵防滴は必須なので、E-M1にPROレンズ、ZDレンズの組み合わせは安心感があります。撮影場所は足場が悪い山道や森の中も多く、この組み合わせだと全体的にコンパクトにまとまるので撮影を快適に進める重要なポイントですよね。開放から安定した画質に加えて、マイクロフォーサーズならではの深い被写界深度も魅力的です。
身軽さ優先のスタイルなので、意図しない限り基本的には夜景や星景写真以外で三脚を使うことはあまりありません。
オリンパスの強力な手ブレ補正は、三脚が使えない不安定な足場でも安定した撮影をサポートしてくれるので表現の幅が広がります。
OLYMPUS AIR A01も使われていますが、そのメリットは?
アングルからの開放、これが一番のメリットですね。
手元のスマートフォンで構図確認しながら、カメラを自由に動かせる、つまりカメラと向き合わなくてもよいのでそれだけで今までと違う写真が撮れるわけです。
長い一脚にAIRを取り付けて極端なハイアングルや、地面に置いて超ローアングルでの撮影、今までカメラが入れなかった狭い場所への設置など、必要最小限のコンパクトボディだからこそ可能な撮影方法があるわけなんですよね。
あとはノーファインダーでの撮影も楽しいので是非一度体験してもらいたいですね。
ドローンを使った作品制作も行なわれています。その意図は?
地形を被写体として撮影してみたいと思ったことがきっかけです。
どんな場所でも空から地上を撮影できる、今までと100%違う写真が撮れることを確信していたので導入しました。
他社製品のカメラ一体型のモデルを使用していますが、やはりマイクロフォーサーズセンサーを搭載したオリンパスのカメラを備え付けたドローンがあれば理想的ですよね。
今使っているOM-Dがそのまま空を飛ぶ感覚で使えれば画質にも期待できますし、オリンパスのカラーや表現力を生かした作品が撮れそうです。
オリンパスにしか作れないドローンが今後開発されることを期待しています。
写真以外に興味あることは?
本格的な動画撮影に挑戦してみたいですね。
映画が好きで、子どもの頃から好きな特撮映画の監督なんてしてみたいです。
子どもの頃、特撮映画の真似事で砂埃を作ったり、釣り糸で怪獣を宙吊りにしたりして、フイルムカメラで怪獣の人形を撮影したりしてました。
いま思うと、あの頃から写真の道に進むことが決まっていたのかもしれません。
今後取り組みたいテーマや目標は?
僕の作品を通じて、いろいろな人に写真に興味を持ってもらったり、写真を始めるきっかけを少しでも多く作る事でしょうか。
僕が岩合さんの写真と出会って、写真を撮り始めたように、僕も誰かのターニングポイントになれたら幸せですよね。
カメラを手にすることで日常が作品になります。身近に存在するさまざまな絶景、シャッターチャンスを探す楽しみを一人でも多くの人に伝えたいです。
チャンスがあればいろいろなジャンルのメディアや雑誌の仕事などにもチャレンジして、より多くの人に作品を楽しんでもらえればと思っています。
写真展の開催や写真集の発売など、告知があればどうぞ
2016年に東京での個展を考えていますが、まだまだ作品を撮りためている最中です。
せっかくなので大きなプリントで作品をじっくり見てもらえるような計画をしています。
発売中のデジタルカメラマガジン 2015年12月号にも、「私がOM-Dを使う理由。」が掲載されています。そこでは木村琢磨さんが、OM-D E-M1による撮影テクニックを解説。ぜひごらんください!