【新製品レビュー】ソニーNEX-3

Eマウントミラーレス“α”のカジュアルモデル
Reported by 北村智史

 ソニーが2モデル発売するレンズ交換式ミラーレス機のうちの下位モデル。PMA2010やCP+2010で姿を見せたモックアップに近いスタイリングで、ボディ外装はプラスチック製となっている。

 交換レンズは手ブレ補正機構を内蔵した標準ズームのE 18-55mm F3.5-5.6 OSS、パンケーキタイプの単焦点広角レンズのE 16mm F2.8の2本が用意されている。E 16mm専用の魚眼と超広角(それぞれ15mm相当と18mm相当となる)のコンバージョンレンズが用意される。また、秋には手ブレ補正機構内蔵の高倍率ズームのE 18-200mm F3.5-6.3 OSSが登場予定だ。

 カラーバリエーションはホワイトとレッド、ブラックの3色に加えて、直販サイト「ソニースタイル」のオリジナルカラーとしてシルバーがラインナップされる。

 レンズ付きキットのみでの販売で、大手量販店の店頭価格は、E 18-55mm付きキットが6万9,800円前後、E 16mm付きキットが6万4,800円前後、2本のレンズが同梱されたダブルレンズキットは7万9,800円前後となっている。上位機種のNEX-5より、それぞれ1万5,000円前後廉価になる。


小さなボディなのに安定したホールドが可能

 レンズの位置をめいっぱい左手側に寄せたレイアウトで、かつてのサイバーショットPシリーズを彷彿させる。マウントの外径がボディの高さとほぼ同じ(兄貴分のNEX-5はボディのほうが小さい)という独特のデザインは、正直なところアンバランスな印象を受けた。ソニーらしいデザインといえなくもない。

 グリップは幅が広めで、手に持った感じは悪くない。無理にレンズをセンター配置にしていない分、持った手に窮屈な感じがないからかもしれない。E 16mmもE 18-55mmも安定したホールディングができる。

 撮像素子は23.4×15.6mmサイズのExmor CMOSセンサーで有効1,420万画素。画像処理にはBIONZが搭載されている。一眼レフのαと違って、センサーシフト式の手ブレ補正機構は省略されている(2本のズームにはレンズシフト式手ブレ補正機構が内蔵されている)。ソニーはボディ内手ブレ補正の優位性を主張してきた側なので、これには驚かされた。

 ボディの奥行きがとても薄い関係で、アクセサリーシューの代わりに「スマートアクセサリーターミナル」を装備している。上面のカバーを開いて付属の小型ストロボや別売の光学ファインダー(E 16mm専用)、ステレオマイクが装着できる。ただし、着脱は容易とはいいがたい。ストロボの場合、発光部をポップアップ状態にして、あごの下の部分に隠れているノブを回して固定するのだが、一眼レフのαのオートロックアクセサリーシューのほうが、よほどスマートなのではないかと思う。

パンケーキタイプのE 16mm F2.8を装着したNEX-3。パナソニックのLUMIX DMC-GF1+LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.の組み合わせより78g軽いこちらは標準ズームのE 18-55mm F3.5-5.6 OSSを装着した状態。これで491g(いずれも電池とメディア込みの重さ)

 液晶モニターは16:9比率の3型ワイドのエクストラファイン液晶で、92.1万ドット。静止画は3:2比率なので(16:9比率にもできるけど)、表示映像の大きさは約55×37mmとなる。従来から定評のあるARコーティングに加えて、強化ガラスと液晶パネルの隙間に樹脂を封入することでさらに反射を低減(キヤノンのEOS 7Dに採用されているクリアビュー液晶IIと同じような手法だ)。

 バックライトの輝度は「オート」「マニュアル」「屋外晴天」から選ぶ。「オート」では直射日光が当たる条件ではさすがに見づらさを感じたものの、手などで影をつくれば良好な視認性が得られた。「屋外晴天」は室内では明るすぎにしか思えないが、天気のいい野外ではびっくりするぐらいにくっきり見えた。ややつくりものめいた印象にはなるが、被写体と構図をきちんと確認しながら撮れる安心感は素晴らしい。

 液晶モニターの可動範囲は上向き約80度、下向き約45度。例によって、横方向には動かないので縦位置には対応できない。とはいえ、これだけの薄型ボディでありながら可動式としているところは素晴らしい。薄型の液晶ユニットを支えるヒンジ部分を本体側に食い込ませる設計にするなど、開発陣の努力と熱意が感じとれる。

撮像素子は23.4×15.6mmサイズのExmor。有効1,420万画素。ローパスフィルターの電磁振動によるゴミ取り機能を備えている手ブレ補正はレンズシフト方式を採用。なので、E 16mmやマウントアダプター併用では手ブレ補正が効かない
上面の「スマートアクセサリーターミナル」。付属の小型フラッシュや別売の外部マイク、光学ファインダーが装着できる
付属の小型ストロボを装着したところ。上から差し込んで、付け根部分のノブを回して固定する方式。あまりスマートじゃないストロボは装着したままたたんでおくこともできる。
液晶モニターは3.0型ワイドの92.16万ドット。「明るさ」を「オート」にしておくと、環境光に合わせて輝度が変わる「屋外晴天」にすると、あ然とするぐらいに明るくなる。が、天気のいい日の野外だと、素晴らしい視認性が得られる。必見です
液晶モニターは例によって左右方向には動かない。もうひと頑張り欲しいです。でも、液晶ユニットをこれだけ薄く仕上げているのは立派
バッテリーは容量1,080mAhのリチウムイオン電池。CIPA基準で約330コマの撮影が可能となっている。記録メディアはSDメモリーカードとメモリースティックデュオ。ただし、一眼レフのαと違ってシングルスロット仕様だ

ボタンの役割が臨機応変に変化

 一眼レフのαやサイバーショットとは違う操作系を採用しているのも注目のポイント。十字キーの機能も兼ね備えたコントロールホイールと、状況に応じてボタンの機能が変わるソフトキーを組み合わせたもので、少ないボタンで多くの機能を効率よく使えるのが特徴だ。

 例えば、フルオートの「iAUTO(おまかせオート)」のとき、上のボタンは「メニュー」、ホイールの中央ボタンは「背景ぼかし」、下のボタンは「撮影アドバイス」になる。この状態ではホイールは何の機能も持たないが、中央ボタンを押して「背景ぼかし」を選ぶとボケ具合の調整となる。同時に上のボタンが「戻る」に変わる。

 また、絞り優先のときは、上ボタンが「メニュー」、下ボタンが「撮影アドバイス」なのは同じだが、中央ボタンは「撮影モード」に変わる。AFを「フレキシブルスポット」にしているときは、下ボタンが測距点の位置を変更するための「フォーカス設定」になる。

 こんなふうに、カメラの設定状況などに応じて、ボタンの機能が臨機応変に変わるようになっている。なかなかによくできている感じで、いろいろなシーンを想定しながら操作してみたが、「なんでそんなふうになるわけ?」という状況には出くわさなかった。

 おもしろいのが、ホイールを回したり、ボタンを押したりするときの操作音。これは物理的な音ではなくて、擬似的なつくった音がスピーカーから出てくるようになっている。それだけでなく、ホイールを右に回したときと左に回したときとで微妙に音が変えてあったりする。ボタンを押すときの音も、「OK」の音と「キャンセル」の音が違っている。カメラいじりが楽しくなる仕掛けを盛り込んでくれているのを見つけると、なんとなくうれしくなってしまう。

 ただ、メニューの「操作音」の設定はちょっと残念。操作音は消して合焦時の「ピピッ」音だけにする設定はあるのだけれど、その逆はない。筆者の好みからすると、「操作音のみ」という選択肢がないのが物足りないのである。

 メニューの構造もいただけない。各メニューは全体の見通しがよくない縦スクロールタイプで、「セットアップ」メニューなどはかなり項目数も多い。そのうえ、循環選択(一番上の項目から、さらに上キーで一番下の項目にジャンプするタイプ)ができない。さらに、最後に使った項目を覚えてくれない。「フォーマット」などはかなり下のほうなので、たどりつくのもひと苦労だし、内容を変えて動作をチェックして、やっぱりもとに戻したい、なんてときには骨が折れる。

「スイングパノラマ」の設定も、「パノラマ撮影方向(カメラを振る向きである)」は「カメラ」メニューに入っていて、「標準」サイズと「ワイド」サイズの切り替えは「画像サイズ」メニューに入っている。よくよく考えればどうしてそうなっているかは理解できる。が、だからといって、設定を変えるためにいちいちメニューの違うページをたどる手間を無視していいわけではないはずだ。それに、こういうのこそソフトキーで対処すればいいのであり、例えば、中央ボタンを「パノラマ撮影方向」にして、下ボタンを「画像サイズ」にすればと思うのだ。

 基本的な操作系がよくできているだけに、メニューのいまいちさがよけい目立ってしまうというのはあるだろう。それに、ソフト部分の問題なわけだから、修正も難しくない。次の世代には改善されているだろうし、本機でもファームウェアアップデートで修正が加えられる可能性もなくはない。

背面の操作部。3つのボタンは状況に応じて機能が変わるソフトキーになっている
メニューの最初のページ。モードダイヤルがないので、「撮影モード」はバーチャルダイヤルで切り替える基本は全自動の「iAUTO(おまかせオート)」。シーンモードのほか、上級者向けのPASMモードも備えている
「iAUTO」時は「人物」「風景」「夜景」「逆光」「マクロ」などからシーン認識で最適な設定を選んでくれる「iAUTO」で中央ボタンを押すと「背景ぼかし」。実際のボケ具合を見ながら被写界深度を調整できる。これの露出補正バージョンも欲しい
「撮影アドバイス」の画面。撮影している状況などに合わせて表示するページが変わるようになっているこれは絞り優先AE時の表示。ホイールを回すと被写界深度が変わるんだよ、っていうのを教えてくれている
「オートフォーカスエリア」モード(測距点選択モード)の画面。25点の「マルチポイント」「中央重点」「フレキシブルスポット」から選ぶ「フレキシブルスポット」にすると下ボタンが「フォーカス設定」に変わる。撮影情報表示はこういうのもある
撮影情報表示モードは3種類あるが、結局いちばん情報量の少ないタイプのが使いやすい感じ「フレキシブルスポット」の「フォーカス設定」で測距点の位置を変更中。1ボタンで呼び出せるのでかなり快適
こちらは露出補正時の画面。ホイールを回すと画面が明るくなったり暗くなったりする、というのが伝わりやすいホイールを回したときやボタンを押したときの「操作音」の設定。残念ながらAF合焦音だけを消すモードはない
「フォーカス切換」は「DMF(ダイレクトマニュアルフォーカス)」が便利。シングルAFで合焦後、そのままMFでピントの微調整ができる「シングル」AFと「コンティニュアス」AFが選べる。ただし、「DMF」時は「シングル」で固定になるので要注意
「MFアシスト」を「入」にしておくと、フォーカスリング操作で選択した測距点(またはピントが合った測距点)を中心に拡大表示となる「MFアシスト」での拡大倍率は7倍と14倍。下ボタンを押すことで切り替えられる。1秒ほど無操作だと全画面に復帰する
「明るさ・色あい」メニューの内容。わりと普通のリスト表示。感度やホワイトバランスの設定を変えるにはここに入ってこないといけない再生時に表示するのを「静止画」のみにするか「動画」のみにするか、という設定。どうして別々にしているのかは謎
動画再生時に下キーを押して一覧表示にして、左キーを何度か押して左端のタブにいって、上キーを押して中央ボタンを押すと……静止画の一覧表示に切り替わる。静止画と動画をまぜこぜで(つまり撮った順番で)表示するモードがあってもいいと思う
サイバーショットで好評の「スイングパノラマ」を搭載。記録画素数が最大で12,416×1,856ピクセル(約2,304万画素)にアップしたカメラを振る方向を選ぶ「パノラマ撮影方向」は「カメラ」メニューの中。しかも、結構下のほう。なので、たどりつくのが大変
「標準」サイズと「ワイド」サイズの切り替えは「画像サイズ」メニュー内。頭では理解できるが、使い勝手はいまいちいちばんの謎はこれかもしれない。なんたって、レンズ外すだけで即クリーニングできるカメラなんですから
ゴミ取り機能は電源オフ時に作動する。オン時にも作動するようにして欲しいところ。右側に動画専用ボタンを備えている横長のスリット状の穴がマイク。コンパクト機感覚で構えると、左側のマイクの穴を人差し指でふさぐことになりかねないので注意
動画はMP4形式で1,280×720ピクセルの約30fps。パソコンで利用するにはAVCHDより扱いが楽動画撮影時は必ず「グリッドライン」を「入」にしておくこと。そうしないと動画の撮影範囲の確認ができないからだ
これは「16:9」比率にしているときの画面。動画にすると、静止画よりも写る範囲が狭くなる。その範囲を四隅の十字マークで表示しているわけこちらが撮影した動画の再生時の画面。静止画のときと画面に写る範囲が違っているのがわかる
「16:9」比率の静止画や動画の表示方法を選択する画面。「標準」だと画面の上下に黒い縁付きで表示される「ワイド」にすると、画面いっぱいを使っての表示。動画はこっちのほうが見映えがいいです
こちらは「3:2」比率で撮った静止画の再生画面。もちろん、情報表示はオフにもできる。ソフトキーは「拡大」と「削除」になる輝度とRGBのヒストグラム付きの画面。もう少し空間を上手に活用して欲しかった気がしないでもない
拡大表示はホイールの回転で倍率の変更。上下左右押しでスクロール。残念ながら中央からしか拡大してはくれない

まとめ

 上位機種のNEX-5を含め、まずはこのデザインをどう評価するかだろう。好き嫌いはかなりはっきり出るのではないかと思う。個人的にはもっとカメラっぽいのが好みだが、今の若い人たちの目には、また違ったふうに映るかもしれない。ストラップを付けてぶら下げると、デフォルトでレンズが下を向くというのは少し奇異には感じるが、こういうのも含めて使っていれば慣れるものだ、ということにしておこう。

 もうひとつ。上位モデルのNEX-5と比べてどうなのよ、というのも気になるポイント。まだ、NEX-5の実機が手もとにない状態なのでたしかなことはいえないが、静止画の画質は変わらないはずだし、機能面での違いも大きくない。動画のフォーマットと解像度、それから外装の素材の違いで、実売価格が約15,000円高くなっていると考えれば、本機のほうがお買い得感は上だろう。

上位機種のNEX-5。外観が異なるほか、AVCHD動画記録に対応する

 それと、グリップの造形の違いも見逃してはいけない。NEX-5はグリップの幅が狭く握りやすそうに思えるが、爪長女子には本機のほうが持ちやすいかな、という印象。NEX-5に比べてカラーバリエーションが多いのも、女性ユーザーを意識したからかもしれない。

 交換レンズのサイズも要チェックな問題。ボディの小型軽量化については、ソニーは良く頑張ったと思うし、ボディと同時発売の2本は、それなりに小型軽量だから悪くはない。が、秋発売予定のE18-200mmは75.5×99mm(最大径×全長)、重さ524gと発表されている。これはα用のDT 18-200mm F3.5-6.3(最大径73×長さ85.5mm、重さ405g)よりも長くて重いのだ。たぶん、動画関連の仕掛けが隠されているからではないかと予想はしているのだが、フランジバックの短縮やレンズ内手ブレ補正、金属鏡胴が理由で+119gだったら切ない。

 とはいえ、何本ものレンズを持ち歩くタイプのカメラでもないだろうし、むしろ、ちょっと大きいけど写りはすごいんですみたいなレンズ(ツァイスの単焦点とか期待したいです)を出してくれたほうが、オヤジ的にはうれしい。

 まあ、本機はどちらかといえば、コンパクト機からのステップアップユーザーをメインターゲットにしたカメラだろうから(上から目線であれこれいっても意味がない部分もあるわけ)、背景が大きくボケてくれるとか、高感度でも画質がいいとかの、コンパクト機とはひと味もふた味も違うところを楽しめばいいと思う。身軽に気軽にレンズ交換式デジタルカメラの写りを味わいたい人にはベストチョイスなカメラだといえる。


実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。

・絞りによる描写の違い(E 16mm F2.8)
 絞り開放では全体的にアマめで、少しイトマキ型の歪曲収差が見られる。1段絞るとシマリが出てきて、画面中央部はF5.6からF8あたりがもっともシャープになる。四隅は絞り開放では解像が悪く、F5.6でまあまあといったところ。倍率色収差、パープルフリンジは少し出ているものの、目くじらを立てるほどではないと思う。

※共通設定:NEX-3 / E 16mm F2.8 / 4,592×3,056 / 0EV / ISO200 / WB:オート
F2.8F4F5.6
F8F11F16
F22  

・絞りによる描写の違い(E 18-55mm F3.5-5.6 OSS)

 広角端は絞り開放からまずまずの解像感が得られるが、やはりF5.6ぐらいまで絞ったほうがいい。望遠端は周辺部の崩れが目立ち、F11でも四隅はアマさが残る。キット同梱のコンパクト標準ズームとしてはまずまずの画質だろう。歪曲収差は広角端でタル型、望遠端でイトマキ型という一般的なタイプ。量もそれほどは多くない。

※共通設定:NEX-3 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 4,592×3,056 / 0EV / ISO200 / WB:オート/ 18mm
F3.5F4F5.6
F8F11F16
F22  
※共通設定:NEX-3 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 4,592×3,056 / 1/20秒 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート/ 55mm
F5.6F8F11
F16F22F32

・感度

 ベース感度はISO200と高め。減感はなし。オート時の上限はISO1600、マニュアル時はISO12800。実写では「高感度ノイズリダクション」は「オート」で撮影した。ISO1600あたりからノイズが目につきはじめるものの、全体的には悪くない描写。ISO3200では暗部のディテール再現が若干アマくなってくるが、それなりに常用できそうなレベルといえる。ISO6400も条件次第では使えそうな印象で、断言はできないが、α550よりも高画質化しているように思える。

感度の設定範囲はオート時はISO200〜1600まで。マニュアルではISO12800まで。1EVステップでの設定のみ「高感度ノイズリダクション」は「オート」と「弱」という設定なのがちょっとおもしろい
※共通設定:NEX-3 / E 16mm F2.8 / 4,592×3,056 / F8 / WB:晴天 / 16mm
ISO200ISO400ISO800
ISO1600ISO3200ISO6400
ISO12800  

・背景ぼかしコントロール

 全自動の「iAUTO」で中央ボタンを押すと「背景ぼかし」に移行する。ホイールを半時計回転させると絞りが開いて背景がボケていき、時計回転させると絞り込んで背景までくっきり写るようになる。絞りF22まで設定できるが、あまりシャッター速度が遅くならないように、感度が自動的にアップしていく(ISO1600まで)。簡単な手順で、しかも絞りを変えることの効果を目でたしかめながら撮れるのはいいところだ。

※共通設定:NEX-3 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 4,592×3,056 / 0EV / ISO200 / WB:オート
通常撮影背景ぼかし:絞りF5.6背景ぼかし:絞りF22

・オートHDR

 輝度差が極端に大きいときに威力を発揮するのが「オートHDR」。露出違いの3コマの画像を自動的に合成して白飛びや黒つぶれを抑えた画像を生成する。普通なら白飛びしているはずの雲の濃淡まできれいに描写してくれているのは素晴らしい。ただし、全体的にネムイような不自然な感じになってしまうので、トーンカーブを調整するなど手を加えたほうがいいかもしれない。

α550にも搭載されていた「オートHDR」。撮影コマ数が2コマから3コマに増えているのが注目のポイントだ
※共通設定:NEX-3 / E 16mm F2.8 / 4,592×3,056 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 16mm
通常撮影(手持ち撮影)オートHDR(手持ち撮影)
※共通設定:NEX-3 / E 16mm F2.8 / 4,592×3,056 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 16mm
通常撮影(三脚撮影)オートHDR(三脚撮影)

・スイングパノラマ

 サイバーショットで好評の「スイングパノラマ」も搭載。サイバーショットDSC-WX1などでは左右方向のワイドサイズで7,152×1,080ピクセルだったのが、本機では1万2,416×1,856ピクセル(左右方向・ワイドサイズ)に大幅アップ。より高精細なパノラマ写真が撮れるようになった。細かく見れば、上手くつながっていない部分があちこちあるのはわかるが、シャッターボタンを押しながらカメラを振るだけの簡単操作で撮れる簡便さを考えれば文句なしだ。

スイングパノラマ(左右方向・ワイド)
E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 12,416×1,856 / 1/200秒 / F10 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 18mm

・E 16mm F2.8

上方視野外に太陽がある条件で、画面上部に若干フレアが出ている。一般的な広角レンズとは設計が異なるためだろう、歪曲収差はイトマキ型だ
NEX-3 / E 16mm F2.8 / 4,592×3,056 / 1/500秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 16mm
パンケーキで24mm相当というのは珍しいが、フランジバックから考えれば、このあたりがもっとも薄型化しやすい焦点距離なのだろう
E 16mm F2.8 / 4,592×3,056 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 16mm
薄型化を頑張っているだけに近接撮影はちょっと弱いのかなぁ、という印象。でも、サビの浮いたザラツキ感とかはよく出ていると思う
E 16mm F2.8 / 4,592×3,056 / 1/100秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 16mm
撮影はすべて「49分割ライブビュー分析測光」で行なったが、8割ぐらいのコマは露出補正なしだった。かなり信頼できそうな感じだ
E 16mm F2.8 / 4,592×3,056 / 1/640秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 16mm
さすがにこういうシーンはAEのままではだめで、雲のトーンを出すために大幅なマイナス補正をしている
E 16mm F2.8 / 4,592×3,056 / 1/1600秒 / F9 / -1.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 16mm
空を大きく入れたカットとかはマイナス補正が必要になるが、これは曇ってる関係か、珍しくプラス補正したカット
E 16mm F2.8 / 4,592×3,056 / 1/100秒 / F11 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 16mm

・E 18-55mm F3.5-5.6 OSSの作例

さすがにこういうシーンではオートホワイトバランスだと色が浅くなってしまうが、普通はオートで不満のない結果が得られる
E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 4,592×3,056 / 1/160秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 28mm
コントラストAFはまずまずのスピード。レンズ駆動音も静かだし、DMFにしておくと切り替えなしでMF操作に移行できるのも便利
E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 4,592×3,056 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 55mm
「フレキシブルスポット」AFで光の当たっている部分にピントを合わせて撮った。タッチパネル液晶ならもっと便利かも
E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 4,592×3,056 / 1/250秒 / F5.6 / -2.0EV / ISO200 / WB:晴天 / 55mm
予報どおりに午後の雨。なので、屋根のある場所から。手ブレ補正がレンズシフト式に変わったのはやはり動画対策なんですかね
E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 4,592×3,056 / 1/50秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 18mm
最短撮影距離は0.25mで最大撮影倍率は0.3倍。少しアマさはあるが、キット同梱のコンパクトズームとしては十分な描写だ
E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 4,592×3,056 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 55mm


北村智史
北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら

2010/6/2 00:00