新製品レビュー

instax mini Evo Cinema

レトロ風の「ジダイヤル」エフェクトが肝 フォト/ムービー両対応の縦撮り“チェキ”

「instax mini Evo Cinema」

富士フイルムが動画撮影対応の“チェキ”「instax mini Evo Cinema」を1月に発売した。短期間だが実機をお借りできたので使用感などをお伝えしたい。実勢価格は5万5,000円前後だ。

“チェキ”シリーズといえばインスタントカメラの代表格として国内外で非常に人気のあるカメラだ。その中でフラッグシップとして登場したのが「Evo」シリーズである。

高級感のあるデザインなどを採用した既存の「instax mini Evo」は男性ユーザーにも人気で販売を伸ばしているという。今回のinstax mini Evo Cinemaは、そんなEvoシリーズの最新版にして動画撮影機能を前面に押し出したモデルとなっている。

新鮮な縦持ちデザインを採用

まず特徴的なのはその外観で、同社の8mmカメラ「フジカシングル-8」をモチーフにしているとのこと。筆者自信、8mmカメラを使ったことはなく、構えると縦型になるカメラは新鮮だ。

レンズは28mm相当で使いやすい画角。レンズ周りのダイヤルを回すとジダイヤルの効果の強さを変えられる
背面にはモニターや各種のボタンがある

グリップは短めだが、同梱のグリップアタッチメントを付けると格段に持ちやすくなる。

また同梱のファインダーアタッチメントを付けるとファインダーを覗くイメージで撮影できる。明るい場所でモニターが見にくい時には重宝するし、没入的な“動画を撮影している感”も味わえるだろう。

グリップとファインダーのアタッチメントを装着したところ

タイムマシンのような効果の「ジダイヤル」

本機のもう1つの特徴は「ジダイヤル」だ。映像にエフェクトを適用できるダイヤルなのだが、各年代に撮影されたかのようになるのが興味深い。1930年代~2020年代まで10年ごとに10種類のエフェクトが搭載されている。

年代がずらっと並んだ「ジダイヤル」が見える

どれもかなり凝っていて、まるのでその時代の映像を見ているかのようだ。現代の景色を手軽に昔風に撮れるので、何を撮っても面白みがある。なお、2020年代はエフェクトの無い映像が撮れるモードでもある。

またグリッドやカメラの画面表示をその時代のフレームとして記録することもできる。下の作例はそのフレームをONにして記録しているが、各時代の“メディアの元ネタ”に思いを巡らせるのも一興だ。

ジダイヤルの作例(フレームON)

動画撮影だが、カメラ前面のシャッターボタンで録画を開始する。普通のカメラと違って押している間だけ記録するという設定も可能。短いクリップとして撮影するには使いやすい操作方法だった。

短い動画を複数撮影して下のように最大15秒の動画を記録する機能もある。スマホアプリでオープニングやエンディングの映像を加えて作品風にもできる。

15秒の動画に専用アプリでオープニングとエンディング映像を付けたもの。QRコード経由でダウンロードするとこのようにチェキフィルムの枠が付く
専用アプリでは簡単な動画編集も可能

静止画も動画同様に撮影でき、ジダイヤルのフレームにも対応している。ここではフレーム無しでいくつか撮影してみた。画質はそれなりだが、チェキプリントやスマホで見るぶんには十分という印象だ。

2020年代
1930年代
1970年代
1980年代

プリントのQRコードでシェアも

instaxの名を冠している通り、プリンター内蔵というのも大きな特徴だ。instax miniタイプフィルムを使う。サイズは86×54mm。

撮影した画像またはメモリーから選んだ画像をプリントできるが、そのときプリントレバーを回すというアナログな操作をするのもまた楽しい部分だ。

つまみを起こして回すというギミックが楽しめる
プリント操作をした際にQRコードの有無や位置を設定できる
プリントは上部から出てくる
フィルムは側面からセット

写真はもちろん動画もプリント可能で、プリントする位置(フレーム)も選べる。プリントするとQRコードも含めてプリントされる(QRコードなしの設定も可能)。

専用アプリ「instax mini Evo」と本機を接続すると、プリントした動画や写真はサーバーにアップロードされ、先のQRコードを読むことで2年間シェアができる。アプリではポスターテンプレートも適用できるので、雰囲気のあるプリントも可能だ。

専用アプリの画面。本機をスマホプリンター(スマホ内の画像をプリント)としても使える
動画からプリントしたもの。左から2020年代、1960年代、2000年代。右端はポスターテンプレートを適用している
専用アプリでポスターテンプレートを設定しているところ
プリントのQRコードを読むとブラウザでその写真や動画が見れるほか、ダウンロードも可能

軽さを生かして日常で使いたい

撮像素子は約500万画素の1/5型CMOSセンサーということで、作例を見て分かる通り一般的なデジタルカメラほどの画質ではなく、どちらかというとトイデジカメ的な写りだ。あまり高画質で撮れても、それはそれでつまらないということだろう。

撮影時のモニター表示

撮影時に露出補正はできるが、プログラムAEでの撮影となる。なので、本機は画質も含めてちゃんとした動画作品の制作に使うといったものではなく、気軽にオートで撮影してプリントも楽しむというコンセプトを理解して選びたいところだ。

ジダイヤルのエフェクトはかなり効果的で、ショート動画などでも目を引くことと思う。一方で、ジダイヤルを回してから撮影可能になるまで数秒間待つ必要があった。このあたりは次回作での改善を期待したいところだ。

こちらは1970年代で撮影。電車の音もしっかり録れている

ほかにはない特徴を備えた新しい切り口のカメラで、チェキシリーズに対する同社の力の入れようを感じた。重さも300gを切るほどの軽さであり、Xシリーズともまた違った感覚でバシバシ撮れるのは面白い体験だった。

フォト、ムービー両対応ということで、初めてのチェキに本機を選ぶのもありだろう。そして、すでにチェキを使い倒しているユーザーにもぜひ試してほしいと思えるプロダクトだった。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。