新製品レビュー
Kodak PIXPRO S-1(実写編)
コダックらしい色彩モードを楽しめる個性派
上田晃司(2014/11/21 07:00)
前回はKodak PIXPRO S-1の外観と機能を中心に本機の魅力をご紹介した。色彩効果のKodacolorやKodachrome、Ektachromeなどを見て、本機種が気になっているKodakファンも少なからずいるはずだろう。
今回はキットレンズであるKODAK PIXPRO Aspheric ED Lens 12-45mm/3.5-6.3で撮影した画像を中心に、マイクロフォーサーズ単焦点レンズを使用した画像もご紹介していく。では、本機で撮影した実写画像を見ながら本機の魅力を見ていただきたいと思う。
解像力
まずは、本機の解像感から見てみよう。本機のキットレンズ「KODAK PIXPRO Aspheric ED Lens 12-45mm/3.5-6.3」を使用してマンション群を撮影している。同レンズは広角端が35mm判換算で24mm相当と広角に強いのが特徴。実写画像はF8.0まで絞って撮影している。
驚くべきは描写力の高さだろう。レンズ中央から周辺にかけてシャープに結像していることがわかる。レンズ周辺のタイルも、流れなどの乱れはなく、ハイライト部分の木々も細かく見れば若干の色収差はあるが、パープルフリンジなど擬色は発生しておらずシャープな印象。レンズ中央部分もこのクラスであることを考慮すれば十分な解像感があると言えるだろう。
テレ端は35mm判換算で90mmの中望遠として使用できる。レンズ周辺に少しモヤッとしている部分はあるが、中央周辺の描写力は高い。こちらもマンションのタイルなどディテールまでしっかりと解像している印象だ。トータルで見て、このクラスのレンズとしては十分なパフォーマンスを発揮しており、不満に感じる方は少ないだろう。
感度
次に高感度性能を見てみよう。感度はISO200からISO12800まで設定できる。スタジオにて高感度テストを行ってみた。
ISO200からISO800くらいまではノイズや画像の質などに大きな変化はない印象だ。ノイズのないクリーンな画像を求めている方は、ISO800くらいまでであれば全く気にならないはずだろう。
ISO1600になると少しノイズが確認できる。細かく見てみると、カラーノイズが暗部に出ているのが分かる。ノイズリダクションのお陰でざらつきはないが、少しノッペリしている印象だ。ISO3200になるとノイズリダクションが強くなりシャープさが少し失われている。ISO6400になると、Web程度であれば使用できそうだが全体的にノイジーになり、ノイズリダクションによりノッペリ感が増す。色の彩度もやや失われて浅くなっている印象だ。
ISO12800では、ノイズのざらつきと強いノイズリダクションにより常用は難しい印象。どうしても被写体の動きを止めたい状況など、緊急避難的に使用するとよいだろう。個人的には実用はISO1600くらいまでがベストな印象だ。
独自の色彩効果を楽しみたい
様々なバリエーションを楽しめるのが色彩効果だ。本機には、普通、鮮明、白黒、ドリーム、ぼかし、Ektachrome、Kodachrome、Kodacolor、スタジオ、パンク、ネガ、反射、スケッチ、魚眼、4グリッド-スタイリッシュ、4グリッド-部分的カラーの16種類から色彩モードを選択できるようになっている。
冒頭にも少し述べたが、KodacolorやKodachrome、EktachromeなどKodakらしい色彩モードをはじめ、色に関する設定や魚眼効果のような様々なエフェクトも用意されている。中にはなかなか使いにくそうな効果もあったが、本機の個性とも言えるだろう。
特にKodacolor、Kodachrome、Ektachromeは使用していて楽しかった。同名フィルムの個性に近いエフェクトになっている印象で、仕上がりも普通などと違い雰囲気がある。個人的には、このカメラをKodacolor、Kodachrome、Ektachromeの専用機としてもよいくらいだ。
今回は、少し天気が悪かったこともありスナップ中心で作例を撮影してきた。写りは良く、個性的な色合いの色彩効果などこだわりを感じる部分もあり、とても楽しめた。厳しく見れば高感度性能は現行の他社製マイクロフォーサーズ機と比べて少し弱い部分もあるが、解像感などはこのクラスのカメラとしては十分な印象を受けた。個性的な色味などを求めているユーザーにはオススメである。