【新製品レビュー】パナソニックLUMIX DMC-FT20

〜防水タフネスモデルながら、日常でも使えるスリムコンパクト
Reported by 本誌:折本幸治

 パナソニックの防水タフネスカメラといえば初代LUMIX DMC-FT1から現行のLUMIX DMC-FT4ま(以下DMC-FT4)で継続する「FT一桁系」が思い浮かぶ。今回紹介するLUMIX DMC-FT20(以下DMC-FT20)は、FT一桁系とは別に設けられた新しいタフネスカメラの系列だ。

 特徴は、スリムでコンパクト、そして低価格なこと。海水浴やプールといった身近なイベントのため、防水タフネスカメラを物色する購入予備軍は少なくない。しかし、本格的な防水タフネスカメラは、その大きさと価格が購入のネックになっていた。DMC-FT20はそこをついた製品といえるだろう。

 発売は2月23日。価格はオープン。実勢価格は2万円前後。


需要の高そうな「ごつくない」防水モデル

 本機の特徴は、防水タフネスカメラでありながら、まるで一般的なスリムモデルのような薄さを実現していることだろう。同じく現行モデルのDMC-FT4と比べてみると、その大きさの違いは一目瞭然。「タフネスカメラ=ごつい」というイメージを覆すスリムでさりげない見た目のボディだ。

 もっとも、これまでにも「ごつくない」タフネスカメラは存在した。国内ではオリンパスのμTOUGH-310(現在はTG-320)、富士フイルムFinePix XP10、ソニーサイバーショットDSC-TX5などがその先駆けといえる。

 パナソニックも2010年7月、海外でLUMIX DMC-FT10というスリム防水モデルを発表していたが、日本での発売は見送られていた。後継機種のDMC-FT20で初めて、国内での発売が決まった。

 外観はFT一桁系の流れを汲みつつも、よりライトでタフさをあまり強調しないスタイリングとなっている。奥行きは19.2mm。その辺のスリムコンパクトに匹敵する薄さだ。ちなみにDMC-FT4の26.5mmとなっている。

 重量もDMC-FT4の約197gに対して、約142gと大幅に軽量化されているのがわかる。確かに水中では重量はあまり関係ないが、陸上での使用を考えると、重量も普段使いにおいては重要な要素といえるだろう。

 外装のうち、前カバーと後ろカバーは金属。前カバーの一部はヘアライン加工が入っており、値段の割に高級感はなかなかのものだ。表面がサラサラした質感で滑りやすいが、左手端には簡単な指掛かり用のパーツが設けられており、陸上・水中ともそれほど気にならなかった。

 ボタン類は防水カメラとして比較的軽め。ぐらつきも少ない。ただし背面の各ボタンが小さめで、4方向ボタンとズームボタン以外は出っ張りが少なく、慣れるまで押しづらく感じた。

 動画ボタンはボディ上部。背面操作部と独立しているのは、誤操作を防ぐ意味でうれしい配慮だ。

シャッターボタン周り。動画ボタンは上面に存在する

 バッテリーおよび記録メディア室のロックは2重式。ロックが確実にかかっているかを確認させるメッセージがでたりと、このあたりは上級機と変わらない。

バッテリーおよび記録メディア室のロックは、流行のダブルロックを採用

 撮像素子は1/2.33型の有効約1,610万画素CCD。今季の防水タフネスカメラのいくつかは裏面照射型CMOSセンサーを搭載しており、その点では少々不安が残る。最高感度はISO1600、高感度モードで最高ISO6400での撮影に対応する。

 レンズは25-100mm相当(35mm判換算)F3.9-5.7の光学4倍ズーム。開放F値が物足りないが、画角が狭くなる水中において25mm相当からスタートするのはありがたい。

レンズは屈曲光学系の25-100mm相当(35mm判換算)F3.9-5.7の光学4倍ズーム

 液晶モニターは2.7型約23万ドット。いまとなっては古めスペックで、精細感は低い。ただし直射日光の下や水中でも、とにかく明るくて見やすかった。屋外で使用する防水タフネスカメラは、精細感よりも撮影時の明るさの方が重要だと思う。


上位モデルから機能を省略

 気になるのは兄貴分のDMC-FT4と、どれくらい機能が省略・簡略化されているかだろう。

 まず耐水深は、DMC-FT4の12mに対して5mとなっている。耐落下衝撃高は2mに対して1.5mだ。耐寒温度は同じく-10度。確かにスペックは落ちているが、海水浴やプール遊びなら水深5mでも問題ないだろう。

 「日常でも使える防水カメラ」としてボディの小型軽量化を推し進めたのがDMC-FT20だとしたら、ある程度のタフネス性能の低減は妥協するしかない。むしろ、「過剰なタフさは必要ないが、とりあえず防水性能は欲しい」という人には、DMC-FT4より適していると思う。

 惜しいのは、FT一桁系の特徴でもあるGPS機能が省略されている点だ。また、動画記録も1,280×720・30pに抑えられている(DMC-FT4はフルHD記録に対応)。上位モデルとの差別化とコスト削減のためだが、これらの差をどう捉えるかで、DMC-FT20の評価は変わるだろう。


まとめ

 画質は例によって「等倍で見なければ」というエクスキューズがつくものの、防水タフネスモデルとしてはそれなりに精細感が高い。特にISO800ぐらいまでなら十分実用的だ。手ブレ補正もよく効く。

 防水タフネスカメラが各社から発売され、店頭では一般的な存在となった。その一方で手軽な低価格モデルが求められ、日常使える防水タフネスカメラの存在に結びついたのが本機の立ち位置だろう。

 ちなみにDMC-FT4との価格差は2万円ほどと大きい。コンパクトなボディを求める人や、DMC-FT4ほどの防水性能やGPS機能が必要ない人は、検討に値する製品だ。


実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

・画角

広角端 / DMC-FT20 / 約6.0MB / 4,608×3,456 / 1/1,000秒 / F3.9 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm望遠端 / DMC-FT20 / 約6.2MB / 4,608×3,456 / 1/640秒 / F5.7 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 18mm

・近接画質/ボケ

DMC-FT20 / 約6.0MB / 4,608×3,456 / 1/20秒 / F3.9 / 0.0EV / ISO400 / WB:オート / 4.5mm

・料理モード
DMC-FT20 / 約6.3MB / 4,608×3,456 / 1/13秒 / F4.6 / 0.0EV / ISO400 / WB:オート / 7.3mm

・逆光
DMC-FT20 / 約5.5MB / 3,456×4,608 / 1/250秒 / F3.9 / 0.0EV / ISO160 / WB:オート / 4.5mm

・水中

DMC-FT20 / 約6.1MB / 4,608×3,456 / 1/100秒 / F5.4 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 11.9mmDMC-FT20 / 約6.4MB / 4,608×3,456 / 1/100秒 / F5.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 12.8mm
DMC-FT20 / 約6.1MB / 4,608×3,456 / 1/100秒 / F5.6 / 0.0EV / ISO160 / WB:オート / 14mmDMC-FT20 / 約5.7MB / 4,608×3,456 / 1/500秒 / F5.7 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 15.3mm

・動画

  • 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードします。再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
約20.7MB / 1,280×720 / H.264





本誌:折本幸治

2012/3/14 00:00