新製品レビュー

マンフロット befree GT アルミ三脚

4万円でおつりが来る、耐荷重10kgのトラベル三脚

カメラの高感度化や手ブレ補正の高性能化によって手持ちで撮れるシーンは非常に多くなったが、風景写真や夜景の撮影では三脚があったほうがいいことは言うまでもない。とはいえ、小型化したカメラに対して大きく重たい三脚を使いたくない! というユーザーも多いだろう。そうしたことから近年人気が高まっているのが“トラベル三脚”だ。

トラベル三脚といえば、その名の通り旅行用の小型軽量な三脚。しかしその需要は旅行だけにとどまらず、カメラ入門者用や長時間歩く撮影用、はたまたガッツリ使うメインの三脚としてなど、幅広いニーズに応えるカテゴリーにまで成長している。

ただ、これまで強靭な三脚を使用していたユーザーからは、強度面の不安などからやや敬遠されていたカテゴリーでもある。そんなプロクオリティーを求めるユーザーにもおすすめしたいのが、今回紹介するハイエンドトラベル三脚「マンフロット befree GT」だ。

大きさ・重さは?

コンパクトなサイズ感はbefreeシリーズならでは。2013年に登場した初代「befree」が縮長40cmなのに対し高機能版のbefree GTは43cmと少し長くなっているが、この違いはごくわずかと言える。脚の1本には滑り止めと凍りつき防止用のラバーが巻かれている。後述するパイプ径の太さにより重量は1,850gとトラベル三脚としてはやや重め。ちなみにカーボンモデルは1,550gだ。

片手で軽々と持てるサイズ感。

トラベル状態から三脚状態への展開動作もスムーズになった。脚をそれぞれ170度ほど開けば自動的にロックが掛かる仕組みで、展開するスピードはすこぶる早い。初代のbefreeは開脚したあとに脚の角度を決めるためのレバーを回転させる動作が必要だったが、最新モデルのbefree GTではそうしたわずらわしさがなくなった。また本体部分にはマグネシウムが採用され、軽量性と堅牢性が確保されている。

脚を反転したトラベル状態。
いわゆる三脚状態に脚を展開したところ。

脚パイプのロックには、最新のツイストロック「Mロック」が採用されている。軽い力と少ない動作でロックと解除ができ、スムーズな操作感だ。ツイストロックのため収納時もすっきりする。ちなみにセンターポールの上下を固定るするツイストロックは、ロックと解除の感覚がややわかりにくい印象だった。

最大のパイプ径はこれまでのbefreeシリーズで最も太い26mm。これは同社のトラベル型ではない小型三脚の190シリーズと同じ太さである。そのため最大耐荷重は10kgを達成。初代befreeの耐荷重は4kgだったので、この差はかなり大きい。ちなみに190シリーズは耐荷重6kg、中型の055シリーズでも9kgであり、ここでは下剋上現象が起きている。なお、同じく2018年の新モデルとして、最大パイプ径21.7mm・耐荷重8kgの「befreeアドバンス」もある。

スッキリした見た目と操作感に優れる「Mロック」を採用。

雲台には、こちらも新しく登場したMH496-BHセンターボール雲台を標準装備。もちろん雲台も耐荷重10kgを達成し、三脚キットとして耐荷重10kgを実現している。ボールの動きはやや軽めな印象もあるが、フリクションコントロールで機材重量に合わせて動作の重さを変えられる。メインノブやフリクションコントロール、パンノブの形状がつまみやすく操作しやすい。

標準装備のMH496-BHセンターボール雲台。
クイックシューの200PL-PROプレートは、カメラ取付面にライン状の滑り止めラバーが埋め込まれた優れものだ。

肝心の高さはというと、最低高が43cm、センターポールを伸ばさない全伸高が140cm、センターポールも伸ばした状態で164cmと、思った以上に高さがある。身長165cmの筆者としては通常の使用において十分な高さだ。脚チューブが26mmと太めにできているため、全部を伸ばしきった状態でも安定度は良好だ。

右から開脚なし最低高、センターポールなし全伸高140cm、センターポールあり全伸高164cm(合成写真)。

最低高は43cmとあまり低くない。これは同社055シリーズや190シリーズに採用されている「90度センターポール」のようなセンターポールが倒せる機構がないためだ。センターポールを分割する機構もないため、基本状態での最低高はセンターポール+雲台の高さの43cmとなる。ローアングル撮影も楽しみたいユーザーは、別売の「befree用 ショートセンターポール」を用意するのがいいだろう。

befree GTはプロユースの強靭な三脚だが、携帯性はさすがトラベル三脚といったところ。カメラザックのサイドポケットにも収まりやすいし、専用バッグごと旅行用キャスターバッグにだって入れられる。
カメラザックのサイドポケットにも収まりやすいサイズ感。
付属の専用バッグに収納したところ。おしゃれでコンパクトだ。
中型キャスターバッグにも収まる。

手が出しやすい本格トラベル三脚

トラベル三脚が面白くなってきた。タフな使用環境であっても、重量のある機材を乗せても問題ない強靭さを確保し、収納時はひときわコンパクトという新しい立ち位置だ。それでいて、マンフロットの三脚はスマートでおしゃれなイタリアンデザイン。コンパクトさが欲しくても強度やデザイン面で二の足を踏んでいた本格派ユーザーにもしっかりと使ってもらえる三脚に仕上がっている。

マンフロットと同じヴァイテックグループのジッツオには、トラベル三脚の元祖である「トラベラー」シリーズがあるが、こちらは価格が10万円以上となかなか手が出しにくいと感じていた。その点befree GTはアルミモデルで3万円台、カーボンモデルで5万円台と比較的手が出しやすい。普通の三脚に負けない10kgの耐荷重を持つトラベラー三脚。持ち運びしやすい“安心感”が、日々の撮影をもっと気軽で楽しいものにしてくれそうだ。

今浦友喜

1986年埼玉県生まれ。風景写真家。雑誌『風景写真』の編集を経てフリーランスになる。日本各地の自然風景、生き物の姿を精力的に撮影。雑誌への執筆や写真講師として活動している。