マニュアルレンズギャラリー

MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical

上質な操作感触の大口径ハーフマクロレンズ

デジタルカメラだからこそ使いたいマニュアルフォーカスの交換レンズ。自分の意思と努力と根性でピントを合わせる撮影行為には、不思議とAFにはない魅力があるものです。本連載で、描写性能はもちろん、プロダクトデザインなどなど、MFレンズならではの拘りを感じてもらえればと思います。

ウットリしてしまうほど…

高度なアポクロマート設計(3色の色収差補正)が施されたアポランターのマクロレンズ「MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical」。コシナ・フォクトレンダーの“MACRO APO-LANTHAR”は標準マクロと中望遠マクロ(110mm)の2種類があり、本レンズはそのうちの標準マクロの方になります。標準マクロというにはちょっと微妙な焦点距離ですが、まあそのへんは深く考えず。ソニーEマウント用が2017年8月に、ニコン Z マウント用が2022年11月に発売されています。

本レンズの最大撮影倍率は0.5倍、つまりハーフマクロです。等倍でないことに物足りなさを感じるかもしれませんが、かつてのMFレンズには名マクロと称えられたハーフマクロがいくつか存在するだけに、MFレンズ好きとしては「コシナは良く分かっている」と称賛したくなるところです。

その代わり(?)なのかどうか、F2の大口径を実現しており、なおかつ撮影した画像を見るたびにウットリしてしまうほどの優美な高画質を見せてくれます。AF機構も手ブレ補正機構もないわりには重量級なのですが、上質なフォーカスリングの操作感触を味わうと「だがそれがいい!!」と納得してしまうのですから不思議です。

外観

作例

美しく大きな背景ボケと、アポランターらしいピント面の切れ味のハーモニーが本レンズの持ち味。手ブレが不安なマクロ撮影ですが、距離エンコーダー内蔵でカメラの5軸手ブレ補正に対応しているため安心感があります。

α7C II/MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical/65mm/絞り優先AE(1/640秒、F2.0)/ISO 400

主な仕様

焦点距離:65mm
最小絞り:F22
画角:38°
最短撮影距離:0.31m
最大径×全長:φ78.0×91.3mm
重量:625g
電子接点:あり
Exif情報:対応
5軸ボディ内手ブレ補正対応:対応(5軸対応ボディに限る)
口径比:1:2
レンズ構成:9群11枚
絞り羽根構成:10枚
最大撮影倍率:1:2
フィルター径:φ67mm
レンズフード:付属
フォーカス拡大機能:対応
レンズ補正選択:可能
希望小売価格:税込13万2,000円

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。