マニュアルレンズギャラリー

Tokina SZ 33mm F1.2 MF

重厚な造りと高いコストパフォーマンスの大口径レンズ

デジタルカメラだからこそ使いたいマニュアルフォーカスの交換レンズ。自分の意思と努力と根性でピントを合わせる撮影行為には、不思議とAFにはない魅力があるものです。本連載で、描写性能はもちろん、プロダクトデザインなどなど、MFレンズならではの拘りを感じてもらえればと思います。

描写性能は想像よりもずっと…

2022年6月に発売されたトキナーのマニュアルフォーカスレンズ。ソニーEマウント用もラインナップされていますが、今回は富士フイルムXマウント用。XマウントはAPS-Cサイズですので、35mm判換算での焦点距離は50mm相当、つまり大口径標準レンズということになります。

「シネマレンズのエッセンスを詰め込んだ」からか、絞りリングを搭載しているのは良いことなのですが、クリックがないため静止画撮影ではいつの間にか絞り値がズレてしまうことがあるかもしれません。電子接点もないためExif情報は一部記録されず、電子先幕シャッターでは露出ムラや玉ボケ欠けが発生するかもしれません。

それでもなお本レンズに素晴らしさを感じることができるのは、F1.2の大口径ながら控えめなその価格。しかも、価格に対して描写性能は想像するよりもずっと良好で、重厚な造りの金属鏡筒はむしろ満足感すら与えてくれます。もし、勢い余って買ったとしても、後悔するようなことはまずないでしょう。

5月7日修正:記事初出時に「富士フイルムのカメラは電子先幕シャッター非搭載」としていましたが、こちらの記載に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

外観

作例

低価格ながらF1.2の大口径を存分に楽しめます! 絞りリングのクリックや電子接点がないのは残念でも、価格を考えれば納得というもの。ウッカリで買ったとしても「得したな」と思わせる魅力、アリです。

X-H2S/SZ 33mm F1.2 MF/33mm(50mm相当)/絞り優先AE(1/75秒、F1.2)/ISO 400

主な仕様

焦点距離:33mm
画角:48°
最小絞り:F16
レンズ構成:7群9枚
フィルター径:62mm
最短撮影距離:0.5m
最大撮影倍率:1:13
絞り羽根:11枚
対応マウント:ソニーE、富士フイルムX
外形寸法:φ71×87.2mm(E)、φ71×87.5mm(X)
重さ:605g
希望小売価格:税込7万2,600円

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。