気になるデジカメ長期リアルタイムレポート
OLYMPUS PEN E-P5【第4回】
高感度ノイズ低減とシャープネスの設定を考える
Reported by 北村智史(2013/9/6 08:00)
オリンパスのカメラの画質設定を考えるうえで重要なポイントになるのが「高感度ノイズ低減」機能と「シャープネス」の設定だ。と言うのは、高感度ノイズ低減の設定による画質の変化が他社に比べて大きく、「Off」にしたほうが解像感がよくなることは、オリンパスのユーザーのあいだではわりと知られている。
高感度ノイズ低減は、使用説明書には「高感度撮影時のノイズ低減レベルを選択できます」とだけ書かれているが、他社のカメラの使用説明書を見ると、すべてのISO感度で作動すると書かれている(厳密に書くと、キヤノンは「高感度撮影時のノイズ低減」、ソニーは「高感度ノイズリダクション」、ニコンは「高感度ノイズ低減」)。キヤノンは「低ISO感度撮影時は、低輝度部(暗部)のノイズをさらに低減できます」と書いているし、パナソニックは「ノイズリダクション」をプラス側に設定すると「解像感が僅かに低下する場合があります」、マイナス側に設定すると「より解像感のある画質を得ることができます」と説明している。
ざっくりまとめると、高感度撮影時のノイズの低減が目立った仕事だけれど、低感度時にも働いていて、暗い部分のざらつきを抑えてくれる反面、解像感は多少落ちる可能性もある、といったところである。ただ、筆者が知っている範囲では、高感度ノイズ低減機能の影響による解像感の低下が低感度で気になりそうなのはオリンパスぐらいで(パナソニックも使用説明書に書くぐらいだから影響はあるのだろうが、確認はしていない)、APS-Cサイズや35mmフルサイズのカメラではそれほど気になったことはない。もしかすると、フォーサーズ/マイクロフォーサーズに特有の現象なのかもしれない。
もう1つ。高感度ノイズ低減を「Off」にした場合のシャープネスの設定をどうするか、というのも考えどころだと思う。以前にOLYMPUS PEN E-P3の長期レポートで同じネタをやったときには、高感度ノイズ低減は「Off」、シャープネスは「-1」に決めたが、撮像素子が新型の有効1,605万画素Live MOSセンサーに変わったOLYMPUS OM-D E-M5あたりから画像処理が少し変わったようで、E-P3ではやや太めに感じられたシャープネスの線が細くなった(あるいはシャープネスが弱めになった)気がしている。というのを考えると、シャープネスは少し上げ目のほうがいいのかなぁとか考えているわけだ。
で、高感度ノイズ低減(Off、弱、標準、強)とシャープネス(-2、-1、0、+1、+2)をばらして撮ってみた。正直言って、違いはそんなにない。思っていたよりも差は小さくて、20コマの画像の違いは、ピクセル等倍にしてあっち見てこっち見てを繰り返してなんとなくここ違うよな、と言うのがわかる程度だ。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
高感度ノイズ低減「強」は見分けが付きやすいが、残りの3コマの違いは目を皿にしてやっとである。空の部分は、「Off」が少しだけざらつきが感じられるが、見比べなければほとんど気にならないだろう。一方、建物の外壁のテクスチャーなどは、「Off」がいちばんよく出ている。と言っても、これも微妙な違いでしかなくて、結局は好みの問題なのだけれど、筆者個人としては、多少ノイズが多くても解像感が高いほうが好みなので、高感度ノイズ低減は「Off」にしておこうと思う。
もっと微妙なのはシャープネスのほうで、前々回書いたように、初期設定の「0」のままだとちょっとやっぱりぴりっとしない。高感度ノイズ低減を「Off」にする分、解像感は少し上がるはずなので、シャープネスは「0」のままでもいいような気もするが、もう少しぴりっと感が欲しいとも思う。ニコンもシャープネスがわりと控えめで、やっぱりちょっとぴりっとしない感があるのだが、なぜかニコンはニコンでそれでいいように思えてしまう。が、オリンパスだともう少しきりっとして欲しい。勝手な言い分なのだが、オリンパスにはきりっとでお願いしたい。と言うわけなので、シャープネスは「+1」にしようと思っている。
※高感度ノイズ低減:Off、シャープネス:+1で撮影しています。